「苦しんでいる者のための信条」(詩) [今日の言葉(詩・その他)]

「私は何かを成し遂げようとして神に力を求めたが
私が謙遜になって従うようにと弱くされた。

私はより大きなことを成そうとして健康を求めたが
私がより良いことを成すようにと病を授かった。

私は幸福になろうとして富を求めたが
私が賢明になるようにと貧困を授かった。

私は人々の賞賛を得ようとして権力を求めたが
私が神の必要を感じるようにと弱さを授かった。

私は人生を楽しもうとしてあらゆることを求めたが
私があらゆることを喜ぶようにといのちを授かった。

私が求めたものは何一つ得られなかった
しかし願ったことはすべてかなえられた。

こんな私であるにもかかわらず
私の数々の暗黙の祈りは答えられた。

私はあらゆる人々の中にあって
最も豊かに祝福された者だ!」

このブログに過去に何回か掲載していますが再掲載いたします。これは正確には詩ですが、「祈り」に通じるものがあると思います。アメリカの南北戦争で負傷した南軍の無名兵士が、収容先の病院の病室に書き残したとされる詩です。現在は、ニューヨーク州立大学病院物理療法リハビリテーション研究所の受け付けの壁に展示されているそうです。私のような凡人には、この詩のような境地にはなかなか達することはできません。心を無にし、子どものような純真さを持って、たえず祈り続ける信仰心ある人のみが達することができるのでしょうね。
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永井隆のことば(第1日目) [キリスト者(クリスチャン)]

「平和を祈る者は、一本の針をも隠し持っていてはならぬ。自分が…たとい、のっぴきならぬ破目に追い込まれたときの自衛のためであるにしても…武器を持っていては、もう平和を祈る資格はない。」

永井隆(1908年~1951年)は、キリスト教カトリック教会のクリスチャンで医学博士です。島根県松江市で5人兄弟の長男として生まれ、父親は開業医(医師)でした。長崎医科大学(現在の長崎大学医学部)に入学。卒業後、助手として放射線医学教室に入って放射線物理療法の研究に取り組み、26才でキリスト教カトリック教会の社会奉仕団体である聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ会に入会して洗礼を受けました。(洗礼名はパウロ)
◯在りし日の永井隆氏です。お祈りをしているところですね、手にはロザリオがあります。
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昭和20年37才の時、長年の放射線研究による被爆で白血病と診断されて余命3年の宣告を受けました。その年に長崎市に原子爆弾が投下され、右側頭動脈切断という重傷を負いましたが、瀕死の状態にもかかわらず救助活動に当たっていたそうです。その後、一時的に危篤状態に陥りながらも奇跡的に回復し、その後、長崎医科大学の教授に就任しました。しかし、長崎駅で倒れて病床に伏すことになり、大学を休職して療養に専念しました。

浦上(長崎市)の人たちやカトリック教会の協力により、永井博士の療養を行なうための庵が完成し、イエス・キリストの教えである「己の如く人を愛せよ(新約聖書:マタイによる福音書・第22章・第39節「隣人をあなた自身のように愛しなさい」)」の言葉から、庵の名前を「如己堂(にょこどう)」と名付けました。白血病の進行と共に、永井隆博士の執筆活動が始まり、病床についてから書き上げたのが最初の著作『長崎の鐘』です。

それ以後、病状は悪くなる一方でしたが、執筆活動は被爆した経験から平和への願い(思い)が堰を切ったかのように、いよいよ盛んになり、最後の『乙女峠』を書き終えた1週間後に亡くなりました。他にも『この子を残して』、『ロザリオの鎖』など、4年間で13冊の著作を残しています。その見舞いには昭和天皇をはじめ、見舞いのために派遣されたローマ教皇の特使である枢機卿や大司教、来日したヘレン・ケラーも訪れたそうです。

永井博士は、原爆の投下を「神のみ摂理」と解釈しました。そして、原爆での死亡者を「汚れなき小羊の燔祭(ホロコースト)」、生き残った被爆者は「神が与えた試練であり神に感謝すべき」と話していたことが、元長崎大学教育学部高橋眞司教授が提起した「浦上燔祭説」の中で論評されています。永井博士は、昭和21年に病床についてからも戦後の戦災からの物質的な再建、平和のための精神的な復興のためにご尽力されたのでした。

原爆によって家も妻も失い、病床の身にありながら二人の幼子を抱え、自分ばかりではなく、周囲の人々みなが同じようにどん底に落ちているという状況の中で、再び、このような悲惨な戦争をしてはならないと、瀕死の病床で弱りゆく指の力を鈍りがちの脳をコーヒーで刺激しながら、大きくは世界平和確立のために欧米にまで訴え続けました。永井博士の著作には、どの作品にも子どもを慈しむ心と平和を想う気持ちがよく描かれています。
今日の言葉に説明はいりませんね。永井博士の信念と気魄の言葉です。
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