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『使徒的書簡 わたしはせつに願っていた』のご紹介 [キリスト教と読書]

この本の本文に入る直前のページで、教皇フランシスコは、次のとおり書いています。
「神の民の典礼的養成について
司教、司祭、助祭、男女奉献生活者、
そしてすべての信徒の皆さんへ」

この書籍は、四六版・全72ページ・本文62ページです。時間があれば一日で読めます。内容については、次に掲載する「カトリック中央協議会出版部ブログ」に要点をまとめて書いてありますので、私の読書感想文?は省きますが、この書簡は、聖職者を含めたカトリック教会信徒を対象にしているということです。ですから、ミサに与るすべての信徒が読むべき教皇の書簡です。ちなみに、2回読むときちんと頭に入ります!
◯カトリック中央協議会のホームページから
「象徴的な行為」に参与する能力を失ってしまった現代人に対し、キリスト教の祭儀がもつ真実の美しさに対する驚きを再び呼び覚ますよう促す、典礼的養成についての使徒的書簡。ミサへの参加の根底にある、わたしたちをご自分のもとに集めたいというキリストの強い望みに気づくよう招いたうえで、自己の内面だけにとらわれたり、救いは自身の努力によって獲得するものと考えたりする、「霊的な世俗性」の解毒剤としての典礼の意義を説き、人格主義の高まりによる両極端の逸脱に警鐘を鳴らす。
【原文の発表年月日】2022年6月29日
◯カトリック麹町・聖イグナチオ教会で、ミサ前に撮影しました。
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書名:『使徒的書簡 わたしはせつに願っていた』
著者;教皇フランシスコ
訳者:宮内 毅
発行;カトリック中央協議会
発刊:2023年12月12日
定価:450円+税

◯カトリック中央協議会出版部ブログから
これは、典礼的養成についての書簡です。しかし、ミサの司式者である聖職者だけに向けられたものではありません。典礼への「行動的参加」を促されている信徒も含めた、すべての神の民に向けられたものです。
本書において教皇はまず、第二バチカン公会議『典礼憲章』の重要性を強調します。そのうえで、これまでたびたび繰り返してきた「霊的な世俗性」、すなわちグノーシス主義や新ペラギウス主義の誘惑に警鐘を鳴らし、典礼はこうしたものに対する「もっとも効果的な解毒剤」であると述べています。グノーシス主義や新ペラギウス主義の個人を中心に据えた信仰理解に対し、典礼はキリストの教会に属するものであり、聖体のいけにえへの参加は自力で得たものではないからです。
ここに加えて教皇は、大切な点への注意を促しています。「解毒剤としての典礼が効果的であるためには、キリスト教典礼の祭儀の真の美しさを、わたしたちが日々、再発見していく必要があるのです」
美しさを再発見することによって、わたしたちは過越の神秘に対し驚くことができる、この驚きが大切なのだと教皇は説きます。信仰における驚きの必要性、これもフランシスコ教皇がたびたび訴えていることです。
本書においてきわめて印象的なのは、「典礼的養成」には二つの側面があるという教えです。一つは、文字どおり典礼について学ぶ、典礼についての知識を習得するということです。そしてもう一つの面は「典礼祭儀への参加によって、わたしたちはそれぞれの召命に応じて養成されるということ」です。典礼にあずかることそれ自体が、典礼についてわたしたちを「養成する」のです。
そこにおいて求められるのは、象徴(シンボル)を読み解く力です。「わたしたちはもはや、聖フランシスコのまなざしをもっていません」と教皇は述べて、次のように教えています。
「身体とすべての被造物の象徴的(シンボリック)な価値を理解する能力を失ったことによって、典礼の象徴的(シンボリック)な言語は、現代のメンタリティにとって遠く離れたものとなってしまいました。それでも、このような言語を放棄するということはありえません。なぜ放棄できないかといえば、それは聖なる三位一体がみことばの肉体を通してわたしたちに達するために選んだ方法だからです。むしろ、典礼のさまざまな象徴(シンボル)を使い、理解するための能力を回復することが問題なのです」。
ある種の厳しさが込められたことばだと思います。ここで批判されている現代人のメンタリティは、時代の流れとともに、日々いっそう幅を利かせているのではないでしょうか。ということは、わたしたちは知らぬうちに、どんどんと典礼の美しさを味わうことができなくなっているのでしょうか……。
長い文書ではありません。日々の忙しい生活の中で、少し時間を作れば読むことができます。ぜひご一読ください。
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2023クリスマス・シリーズ:その16「クリスマス文学⑤・靴屋のマルチン」のお話し [キリスト教と読書]

今年もこのブログに「クリスマス・シリーズ(特集)」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっています。今日は最終回、その16「クリスマス文学⑤・靴屋のマルチン」のお話しです。
ロシアの有名な作家のレフ・ニコラエヴィチ・トルストイの『愛あるところに神あり』というお話しですが、日本では「靴屋のマルチン」として知られているお話しです。
◯女子パウロ会発行の『人は何によって生きているか トルストイ民話集(4編)』です。
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書名:『人は何によって生きているか トルストイ民話集』新書版
<収録民話4編>
1.『愛のあるところに神はまします』
2.『人間には多くの土地が入用か』
3.『ろうそく』
4.『人は何によって生きるか』
原著:レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ
訳者:小沼 文彦
発行:女子パウロ会
発刊:2018年6月25日第26刷(初版1975年6月25日)
定価:880円(税込)
【小沼 文彦(こぬま ふみひこ・1916年~1998年)】
ロシア文学者。埼玉県浦和市に生まれ、慶応大学文学部卒業後、政府留学生としてブルガリアのソフィア大学ロシア文学科に入学、昭和18年卒業。同地で約10年間、ロシア文学を研究し、帰国後に金沢大学及び中央大学でロシア文学を講じました。日本翻訳者協会会員。主要訳書に「ドストエフスキー全集」があります。

◯あらすじ
「ある町にマルチンという靴屋さんが住んでいました。ですから「靴屋のマルチン」と呼ばれます。マルチンは地下室の小さな部屋に住んでいました。その小さな部屋には、小さな窓が一つだけありました。そして、その窓からは道を通る人の足だけが見えるだけでしたけれども、マルチンは、その履き物を見ただけで誰が通ったか、すぐ分かりました。なぜか?みんなマルチンが作ったり、直したりした、見覚えのある靴ばかりだったからなんですね……なるほどね!

トントン、トントン。朝から晩までトントン。ていねいにトントン。しっかりギュッ、ギュッ。やさしくキュッ、キュッ。マルチンの靴は一生懸命のいい靴ばかり。けれども、本当は、マルチンはとてもとても悲しい気持ちで暮らしていました。マルチンの奥さんも子どもも、ずっと前に死んでしまいました。マルチンは一人ぼっちだったんですね。マルチンの心はひとりぼっちでした。それに、なんだかなんだか寂びしくて、心の中に悲しい涙がつまっていました。

ある日、マルチンは聖書(新約聖書)を読み始めました。聖書には、神様の言葉が書いてあります。その聖書をマルチンは、毎晩、毎晩、夢中になって読みました。なぜだか心が安まりました。ある日、マルチンは夢の中で、イエス様の声を聞きました。「マルチン、マルチン。あした行くから待っておいで」。それで、次の日、マルチンは朝から窓の外ばかり気になっていました。「本当にイエス様は来てくれるのだろうか」。マルチンは胸がいっぱいになりました。

ふと、窓の外を見ると、雪かきのおじいさんが、疲れてぼんやりしていました。「年をとって雪かきなんて、疲れることだろう。ちょうどお茶があったまっている。そうだ、あのおじいさんにご馳走しよう」。マルチンは、おじいさんに声をかけました。「少しあったまって行きませんか」。「ありがとう。助かるよ。なにしろ外は寒くてね」。おじいさんが家に入って来ました。「さあ、さあ、こっちがあったかだよ。あたたまっておくれ。おいしいお茶もどうぞ」。マルチンはおじいさんに熱いお茶を入れてあげました。「フーッ、うまい。寒いときには、熱いものが何よりのごちそうだ」。ところで、マルチンが、窓の外ばかり気にしているので、おじいさんが聞きました。「誰か待っているのかい」。マルチンは、恥ずかしそうに答えました。「なんだかイエス様がおいでになるような、そんな気がしてね。イエス様って方は、ワシたちのような貧しい者を特別愛してらっしゃるようだ。聖書に、そう書いてあるんだよ。さあ、元気が出るから、もういっぱいどうだね」。マルチンはお茶をもういっぱい勧めました。雪かきのおじいさんは、心も身体もあったまって帰って行きました。

時々、北風がビュウーと吹いて行きます。マルチンが仕事の手を休め、窓の外を見ると、女の人が赤ちゃんをあやしているのが見えました。赤ちゃんは泣きやまないし、女の人は、寒そうなかっこうをしています。「もし、おかみさん。うちに入りなさいな」。女の人は、夕べから何も食べていなかったので、赤ちゃんにあげるお乳がでませんでした。マルチンは、パンとスープを出してあげました。「さあ、お食べ。みんな食べてもいいんだよ」。女の人は食べて元気になりました。「でも、おまえさん、この寒さに上着もないなんて寒いだろう」。そう言って、マルチンは、自分の上着を女の人に渡しました。女の人は上着を受け取ると、泣き出してしまいました。マルチンも泣きそうになりました。その女の人は、マルチンに何度も何度も御礼を言って、それから、上着を赤ちゃんにしっかりくるんで、帰って行きました。

マルチンは、また仕事にかかりました。しばらくすると、窓の外で何か声が聞こえます。男の子が、おばあさんのリンゴを取ろうとしたので、おばあさんがひどく怒っていました。マルチンは、飛び出して行って、叫びました。「まあ、まあ、おばあさん、ゆるしておやんなさいよ」。「いいや、今日という今日は、ゆるせんよ。せんだっても、この小僧はワシのリンゴを盗んだんだよ」。「坊や、それは本当か。それは悪いことだよ。誰も見ていないと思っても、天の神様はちゃんと見ておられる。でも、今日は、ワシがそのリンゴを買って、お前にあげるからな」。そして、マルチンは、男の子にリンゴを一個持たせました。「おばあさん、許すって事は難しいけど、とても大切なことのようだ」。マルチンは、小さな声で、そんなことを言いました。すると、おばあさんは「そうだ」とため息をついて、なんだかやさしい気持ちになりました。その時です。「おばあさん、ボクが荷物をもってあげるよ」と男の子は言いました。男の子も、やさしい気持ちになって、二人で仲良く帰って行きました。

マルチンは、家に帰り、また、仕事を始めました。暗くなってきたので、ランプをともし、道具を片付け、そして、棚から聖書を取り出して、きのうの続きを読もうとしました。その時、急に、きのうの夢の中のイエス様の声を思い出しました。そして、マルチンは、ふと誰かがいるような気がしました。その時です。昼間の雪かきのおじいさんが現れ、にっこり笑いながら言いました。「マルチン、マルチン。お前は、私に気がつかなかったのか」。「誰に?」。「わたしに…、あれは私なんだよ」。そして、フッーと消えました。次に、赤ちゃんを抱いた女の人も、また、おばあさんと男の子も現れ、にっこり笑いながら言いました。「マルチン、私が分からなかったのか。あれはみんな私なんだよ」。マルチンは叫びました。「夢ではなかったんだ!本当に、本当に、ワシはイエス様にお会いできた!」。マルチンの心は、喜びでいっぱいになりました。

マルチンの机の上の聖書には、イエス様のこんな言葉が記されておりました。『お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。…… わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである』と。」

◯この民話物語は、新約聖書:マタイによる福音書・第25章・第31~第46節の聖句(イエス・キリストの言葉)から採られています。この聖句は、イエス・キリストの教えの真骨頂です!
「人の子が栄光に包まれ、すべてのみ使いを従えてくるとき、人の子は栄光の座に着く。そして、すべての民族がその前に集められ、羊飼いが羊と山羊(ヤギ)を分けるように、人の子は彼らを二つに分け、羊を右に、山羊を左に置く。
その時、王は自分の右側の者に言う、『わたしの父に祝福された者たち、さあ、世の初めからあなた方のために用意されている国を受け継ぎなさい。あなた方は、わたしが飢えていた時に食べさせ、渇いていた時に飲ませ、旅をしていた時に宿を貸し、裸のときに服を着せ、病気のときに見舞い、牢獄にいた時に訪ねてくれたからである』。
すると、正しい人たちは答える、『主よ、いつわたしたちは、あなたが飢えておられるのを見て食べさせ、渇いておられるのを見て飲ませましたか。いつあなたが旅をしておられるのを見て宿を貸し、裸でおられるのを見て服をお着せしましたか。また、いつあなたが病気であったり、牢獄におられるのを見て、あなたをお訪ねしましたか。』
すると王は答えて言う、『あなた方によく言っておく。これらのわたしの兄弟、しかも最も小さい者の一人にしたことは、わたしにしたのである。』
それから、王はまた左側にいる者にも言う、『呪われた者たち、わたしから離れ去り、悪魔とその使いたちのために用意されている永遠の火に入れ。お前たちは、わたしが飢えていた時に食べさせず、渇いていた時に飲ませず、旅をしていた時に宿を貸さず、裸の時に服を着せず、病気の時、牢さまた牢獄にいた時に、訪ねてくれなかったからである』。
その時、彼らもまた答えて言う、『主よ、いつわたしたちは、あなたが飢えたり、渇いたり、旅をしていたり、裸であったり、病気であったり、牢獄におられたりしたのを見ても、お世話をしませんでしたか』。
すると、王は答えて言う、『お前たちによく言っておく。これらの最も小さい者の一人にしなかったことは、わたしにしなかったのである。』こうして、これらの者たちは永遠の刑罰に、正しい人たちは永遠の命に入る。」
『原文校訂による口語訳フランシスコ会聖書研究所訳注聖書』から

◯解釈をしますと、
冒頭にある「人の子は、栄光に輝いて天使たちを皆従えて来るとき」というのは、終末(この世の終わり)に、人の子=イエス・キリストが再臨するということです。その時に天使たちを従えて来て “ 最後の審判 ” をするのです。分かりやすく説明すると、この世の終わりに、イエス・キリストが再び現れて、天国に入る者と地獄に落ちる者とを選別するということです。「王」とは、イエス・キリストのことです。「兄弟であるこの最も小さい者」とは、苦しんでいる人たち、弱い立場にある人たち、病にある人たちなど、救い・助けを求めている人たちのことです。「永遠の刑罰に」というのは地獄に落ちるということで、「永遠の命に入る」というのは天国に入るということです。
自分のためではなく、人の為に<善い行い(救うこと、助けること>をすること。特に貧しい人たち、苦しんでいる人たち、弱い立場の人たち、病にある人たち、そのような人たちを救い、助けることです。それがイエス・キリストにすることと同じことになるのです。イエス・キリストは、そういう弱い人たちの中にいてくださるのですね。クリスマスはイエス・キリストがこの世にお生まれになった素晴らしい日です。私たちも、靴屋のマルチンのように、イエス・キリストとお会いできるといいですね。祈りましょう。

◯2023クリスマス・シリーズ(特集)の過去の記事は、次のアドレスをクリックして読んでください。
1.2023クリスマス・シリーズ:その1「クリスマス・マーケット」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-11-16
2.2023クリスマス・シリーズ・その2「アドベント・キャンドル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-02-1
3.2023クリスマス・シリーズ・その3「クリスマス・ツリー」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-03
4.2023クリスマス・シリーズ・その4「クリスマス・リース」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-04
5.2023クリスマス・シリーズ・その5「クリスマス・ケーキ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-05
6.2023クリスマス・シリーズ・その6「クリスマス・デコレーションの緑色と赤色」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-09
7.2023クリスマス・シリーズ:その7「クリスマス料理の七面鳥」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-10-1
8.2023クリスマス・シリーズ:その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-11
9.2023クリスマス・シリーズ:その9「クリスマス・キャンドルサービス」のお話し 
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-12-1
10.2023クリスマス・シリーズ:その10「クリスマス・イルミネーション」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-13-1
11.2023クリスマス・シリーズ:その11「シュトーレン」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-15
12.2023クリスマス・シリーズ:その12「クリスマス文学①・クリスマスキャロル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-16
13.2023クリスマス・シリーズ:その13「クリスマス文学②・クリスマスの鐘」
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-17
14.2023クリスマス・シリーズ:その14「クリスマス文学③・シークレット・サンタ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-19
15.2023クリスマス・シリーズ:その15「クリスマス文学④・賢者お贈り物」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-20
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2023クリスマス・シリーズ:その15「クリスマス文学④・賢者お贈り物」のお話し [キリスト教と読書]

今年もこのブログに「クリスマス・シリーズ(特集)」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっています。今日は、その15「クリスマス文学④・賢者お贈り物」のお話しです。
この「賢者の贈り物」は、オー・ヘンリー(本名:ウィリアム・シドニー・ポーター:アメリカ:1862年~1910年)の短編小説です。小説家で主に短編小説を得意とし、381編の作品を残しています。市民の哀歓を描き出した短編が多く、短編の名手と呼ばれています。映画化されたものも少なくありません。

「12月24日のクリスマス・イヴのこと。
アメリカにヤングという若い夫婦がいました。
夫の名はジェイムズ、妻は彼のことをジムと呼んでいました。
妻の名はデラ。
ジムは貧しいサラリーマンでした。
しかも、ヤング夫妻が迎えたその年は特別に景気が悪く、給料も減ってしまいました。
二人はいつもより厳しいクリスマスを迎えなければなりませんでした。
それでも、デラは、このクリスマス・イヴを、なんとか楽しく過ごしたいと思っていました。
そして愛する夫のために何かすばらしいプレゼントを買いたいと思いましたが、1ドル87セントしかありません。
何度数え直しても、1ドル87セント。これでは何も買えません。
デラの目から涙が出て来ました。
しかし、デラが姿見の前に立ちお化粧を直していたとき、すばらしいことを思いつきました。
デラには膝の下までとどく美しい髪の毛があったのです。
すぐにその長い髪の毛はある品物に変っていました。
それは、ジムが大切にしている金の懐中時計に付ける「プラチナの鎖」でした。
一方、ジムも愛する妻・デラのために何かすばらしいプレゼントをしようと考えていました。
でもお金がありません。
ジムは、祖父と父から受け継いだ大切な金の懐中時計を質に入れ、デラが欲しがっていた「鼈甲の櫛」を買いました。
デラは、ジムにプレゼントする「プラチナの時計鎖」を用意し、ジムの帰りを待っていました。
ジムは定刻通りにアパートに帰って来ました。
しかし、扉を開いたジムは、デラの顔を見て、棒立ちになってしまいました。
デラのあの美しい髪の毛が無くなっていたからです。
でもそれだけではありません。
髪の毛を売って買った「プラチナの鎖」をつけるはずの、ジムの金時計もなくなっていたのです。
ジムが金時計を売って、デラの髪に飾ろうとした「鼈甲の櫛」。デラが自分の髪を売って買った「プラチナの鎖」。
どちらもムダにになってしまいました。
デラの美しい髪の毛はなく、ジムの金時計もないからです。
しかし、彼らはお互いの「思いやり」を受け取りました。
自分の一番大切にしていたものを犠牲にしてまで、愛する者を喜ばせようとした、その何ものにも代え難い素晴らしい「思いやりの心」を互いに受け取ったのです。
彼らはその二つのプレゼントを机の引き出しにそっとしまったということです。」

作者のオー・ヘンリーは最後にこう言っています。「現代の賢者たちに言おう。贈りものをする人々の中で、この二人こそ「賢い人々」であったのだと。贈りものを与え、贈りものを受けとる人々のなかで、彼ら二人のごとき者こそが「最も賢き人々」であるのだと。

◯2023クリスマス・シリーズ(特集)の過去の記事は、次のアドレスをクリックして読んでください。
1.2023クリスマス・シリーズ:その1「クリスマス・マーケット」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-11-16
2.2023クリスマス・シリーズ・その2「アドベント・キャンドル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-02-1
3.2023クリスマス・シリーズ・その3「クリスマス・ツリー」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-03
4.2023クリスマス・シリーズ・その4「クリスマス・リース」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-04
5.2023クリスマス・シリーズ・その5「クリスマス・ケーキ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-05
6.2023クリスマス・シリーズ・その6「クリスマス・デコレーションの緑色と赤色」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-09
7.2023クリスマス・シリーズ:その7「クリスマス料理の七面鳥」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-10-1
8.2023クリスマス・シリーズ:その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-11
9.2023クリスマス・シリーズ:その9「クリスマス・キャンドルサービス」のお話し 
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-12-1
10.2023クリスマス・シリーズ:その10「クリスマス・イルミネーション」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-13-1
11.2023クリスマス・シリーズ:その11「シュトーレン」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-15
12.2023クリスマス・シリーズ:その12「クリスマス文学①・クリスマスキャロル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-16
13.2023クリスマス・シリーズ:その13「クリスマス文学②・クリスマスの鐘」
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-17
14.2023クリスマス・シリーズ:その14「クリスマス文学③・シークレット・サンタ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-19
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『キリスト教書総目録2024』のご紹介 [キリスト教と読書]

今日は、「キリスト教書総目録2024」のご紹介です。
2023年12月8日に2024年版が発行されていますのでご紹介いたします。この総目録は、キリスト教書総目録刊行会が毎年発行しているもので、2024年版(写真)で35冊目(35年目)となっています。内容は名称のとおり、キリスト教に関する出版されている書籍の年間目録です。国内のキリスト教関係の出版物はすべて収録されています。
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◯次のとおりキリスト教関係書籍の分野別に掲載されています。
総記・年鑑、辞典・事典、図説・年表
全集・著作集、叢書・講座
聖書
聖書学
神学
宗教哲学、思想・倫理
伝記(ノンフィクション)、歴史
信仰・入門書、人生論、説教集
文学(小説・評論・エッセイ・詩・劇)
音楽、美術、建築
教育・保育、心理、社会福祉
児童、絵本
讃美歌、式文
DVD、CD、点字
キリスト教関係雑誌、新聞
書名索引
著者索引
掲載出版社名簿
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この総目録の活用法は、
①キリスト教の歴史に関する書籍を探す
②聖書の解釈に関する聖書注解書を探す
③祈りや黙想に関する内容の書籍を探す
ことに役立っています。
そして新刊書情報もありますし、特に探している本が総目録に掲載されていない場合は、絶版書ということになりますから、その時は「日本の古本屋」というサイト又は神保町にある古本屋街の古書店で調べることになります。この総目録は、掲載されている書籍には説明文がありますから、総目録を読むだけでキリスト教の知らないことが分かったりして楽しいですよ。あれば何かと便利ですね。私は、入門講座を受講していた2011年から毎年書店でもらっています。ほとんどの書店は無料でもらえると思います。なければ書店で注文すれば取り寄せてくれます。1冊286円+税です。是非ご活用ください。
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2023クリスマス・シリーズ:その14「クリスマス文学③・シークレット・サンタ」のお話し [キリスト教と読書]

今年もこのブログに「クリスマス・シリーズ(特集)」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっています。今日は、その14「クリスマス文学③・シークレット・サンタ」のお話しです。
アメリカで、ある町にラリーという青年がいました。1971年11月、23歳のラリー・スチュワートは、会社が倒産して路頭に迷ってしまいました。彼は貧しい家で育ち、「いつかお金持ちなってやる!」という野望を抱き、「お金持ちになれば幸せになれる!」と固く信じて会社を設立したのでした。
一週間余も何も食べていなかった彼は、気がつくとレストランで食事をしていました。お腹いっぱいになった彼の前には、19ドル少々の数字がかかれた伝票があります……が、お金はまったく持っていません。このままでは無銭飲食で捕まってしまう!……逃げようか?正直に話そうか?と思っていた彼に、レストランの店主が……。
「あの、これ落としましたよ。」と言って、20ドル札を差し出したのでした。内心<これは店主の勘違いだ!>と思ったラリーは平常心を装って、その20ドル札を受け取って無事に勘定をすませたのでした。無銭飲食の難を逃れた。「ラッキー!」と、その時はただそう思いました。

そして4年後……そして再び会社を設立しますが、また倒産してしまいます。莫大な借金を負ってしましまって今度こそもう駄目だと思い、銀行強盗をしようとします。そして、銀行に行ってピストルを出そうとしたまさにその時!ある記憶がよみがえりました……あのレストランでのことが……<あの20ドル札は本当に落し物だったのか?>、<本当に店主の勘違いだったのか?>と。
そこで、あの時のレストランに行って確かめたら、店主は意外なことを話しました。「クリスマスは誰もが幸せになれる日なんだよ。」と……彼は本当のことを知って号泣しました。無銭飲食で捕まらなかったのも、銀行強盗をしなくてすんだのも、あの20ドル札のおかげ……。

ラリーは今度こそ回心し、貧しくてもコツコツと働くことを決心しました。やがて結婚して子どもにも恵まれました。そんなあるクリスマスの日、ラリーはサングラスと帽子で素顔を隠し街に出ました。そして銀行の預金を全額おろして、20ドル札に替えたのです。そうです!お金に困っている人たちに20ドル札を配り歩いたのでした。人々に感謝されてラリーは嬉しさや喜びを感じました。
ところが、妻に黙ってやっていたものですから、ある時、気づかれてしまいます。<これは怒られるだろうな……>と思いましたが、予想外に妻の言葉は「あなたを誇りに思う。素敵なことじゃない。これからはもっと節約してたくさんの人を助けられるように協力するわ。」と。ラリーは、人々の役に立つ仕事をしたいと長距離電話の会社を設立しましたが、今度は大当たりして年収もかなり稼ぐ会社になりました。裕福になってからも、ラリーは27年間、名前を明かさず20ドル札を配り続けました。およそ約700万人の人に、総額約130万ドル(日本円で約1億8千万円)も!

名前を明かさない彼を、人々はいつしかこう呼びました。「シークレット・サンタ」と。そして、2007年1月12日、ラリーは癌のため58歳で静かに帰天(きてん:死ぬこと)しました。シークレット・サンタはもういなくなるのか……しかし、その年のクリスマスにもシークレット・サンタは現れたのです!彼の遺志を引き継いだ人達が、20ドル札を配ったのでした。
” クリスマスは全ての人が幸せになれる日 ” といわれています。経済的な貧困による不安定な社会、生活難からくる心理的苦痛等々、世の中にはそのような人々がたくさんいるのです。自分だけが幸せならばそれでいいと思う人は仕方ないのかもしれません。しかし、苦しい大変な時はお互い様です。そのような時にこそ人の為に尽くしせば、それ以上のものが返ってくるのではないでしょうか?!このクリスマスをあなたも誰かのために想いを馳せ、幸せがくるようお祈りしましょう!

【帰天】
天から授かった命が天に帰ること。つまり死ぬこと。

◯2023クリスマス・シリーズ(特集)の過去の記事は、次のアドレスをクリックして読んでください。
1.2023クリスマス・シリーズ:その1「クリスマス・マーケット」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-11-16
2.2023クリスマス・シリーズ・その2「アドベント・キャンドル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-02-1
3.2023クリスマス・シリーズ・その3「クリスマス・ツリー」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-03
4.2023クリスマス・シリーズ・その4「クリスマス・リース」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-04
5.2023クリスマス・シリーズ・その5「クリスマス・ケーキ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-05
6.2023クリスマス・シリーズ・その6「クリスマス・デコレーションの緑色と赤色」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-09
7.2023クリスマス・シリーズ:その7「クリスマス料理の七面鳥」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-10-1
8.2023クリスマス・シリーズ:その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-11
9.2023クリスマス・シリーズ:その9「クリスマス・キャンドルサービス」のお話し 
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-12-1
10.2023クリスマス・シリーズ:その10「クリスマス・イルミネーション」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-13-1
11.2023クリスマス・シリーズ:その11「シュトーレン」のお話し
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12.2023クリスマス・シリーズ:その12「クリスマス文学①・クリスマスキャロル」のお話し
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13.2023クリスマス・シリーズ:その13「クリスマス文学②・クリスマスの鐘」
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2023クリスマス・シリーズ:その13「クリスマス文学②・クリスマスの鐘」のお話し [キリスト教と読書]

今年もこのブログに「クリスマス・シリーズ(特集)」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっています。今日は、その13「クリスマス文学②・クリスマスの鐘」のお話しです。
「昔々、アメリカのある町に、大きな教会がありました。教会には天にそびえる高い塔があって、立派な鐘(かね)がつるされています。その鐘には『クリスマスの夜にだけ鳴る』という、不思議な言い伝えがありました。ところがまだ一度も、この鐘が鳴る音を聞いた人はありませんでした。クリスマスが近づくと、町の人たちは塔を見あげて話し合います。
「今年こそは、あの鐘の鳴る音が聞けるかなあ?」
「わしは八十年も生きているが、まだ一度も聞いたことがない。なんでも、わしのじいさんが子どもの頃に聞いたそうだが、それは素晴らしい音色だったそうだ」
「どうすれば、あの鐘はなるのだろう?」
「神さまに贈り物をすれば、鳴るという話だよ」

さて、この町のはずれの小さな村に、ペドロという男の子と弟がいました。
ある日、ペドロは弟に言いました。
「クリスマスの教会って、とってもにぎやかなんだってさ」
すると弟は、目を輝かせてせがみました。
「わあ、ぼく、行ってみたいなあ」
「よし、連れて行ってあげるよ」
ペドロは、弟と約束しました。
そして、待ちに待ったクリスマスの前の夜。
ペドロと弟は、しっかりと手をつなぐと町へ向かいました。

町の入り口までいった時、二人は女の人が倒れているのを見つけました。
「どうしたのかな? この人、動かないよ。お兄ちゃん、どうしよう?」
「このままほうっておいたら、凍え死んでしまう。困ったなあ?」
あたりには、誰もいません。
ペドロはポケットから銀貨を取り出すと、弟に差し出しました。
「この銀貨は、神さまへの贈り物だよ。ぼくはこの人を助けるから、一人で行っておいで」
「えっ、ぼく、一人で行くの? お兄ちゃんだって、あんなに行きたがっていたじゃないか」
「いいんだ。さあ、行っておいで」
弟は仕方なく、一人で町の中へ入っていきました。

教会の中は、たくさんの人でにぎわっていました。どの人も神さまへの立派な贈り物を、得意そうに持っています。キラキラと、まぶしく光る宝石。山のような、金貨。立派な、銀食器。誰もが素晴らしい贈り物をして、鐘を鳴らそうと考えていました。
けれど、鐘は鳴りません。
「今年こそ、鐘を鳴らしてみせるぞ!」
最後に王様も、命の次に大切にしている金の冠をささげました。
(さすがに、これで鐘が鳴るだろう)
みんなはジッと、耳をかたむけました。
でも高い塔の上は、シーンと静まり返ったままです。
「ああ、なんと、王さまの金の冠でもだめなのか」
「きっとあの鐘は、永久に鳴らない鐘なんだ」
「そうだ。そうに違いない」
人々があきらめて帰りかけた、その時です。

♪カローン、コローン、カローン、コローン・・・・・・。
突然、塔から美しい鐘の音が響いてきたではありませんか。
「あっ!鳴った。とうとう鳴ったぞ!」
「なんて、美しい音色なんだ」
「それにしても、鐘を鳴らすほどの贈り物をしたのは、いったい誰だろう?」
王様をはじめ、人々はいっせいに振り返りました。
するとそこにはペドロの弟が、はずかしそうに立っていました。
「ぼく、お兄ちゃんから預かった銀貨を一枚、神さまにささげただけだよ」
弟は、そう言ったあと、お兄ちゃんの助けてあげたあの女の人は、きっと大丈夫だろうなと、思いました。素晴らしい贈り物というのは、高価だからよいのではありません。大した物ではなくても、贈る人の心がこもっていればよいのです。
メリークリスマス」
う~ん!とっても感動的な良いお話しです!でもアメリカには王様はいないのですが………(⌒-⌒; )

◯2023クリスマス・シリーズ(特集)の過去の記事は、次のアドレスをクリックして読んでください。
1.2023クリスマス・シリーズ:その1「クリスマス・マーケット」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-11-16
2.2023クリスマス・シリーズ・その2「アドベント・キャンドル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-02-1
3.2023クリスマス・シリーズ・その3「クリスマス・ツリー」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-03
4.2023クリスマス・シリーズ・その4「クリスマス・リース」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-04
5.2023クリスマス・シリーズ・その5「クリスマス・ケーキ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-05
6.2023クリスマス・シリーズ・その6「クリスマス・デコレーションの緑色と赤色」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-09
7.2023クリスマス・シリーズ:その7「クリスマス料理の七面鳥」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-10-1
8.2023クリスマス・シリーズ:その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-11
9.2023クリスマス・シリーズ:その9「クリスマス・キャンドルサービス」のお話し 
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-12-1
10.2023クリスマス・シリーズ:その10「クリスマス・イルミネーション」のお話し
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11.2023クリスマス・シリーズ:その11「シュトーレン」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-15
12.2023クリスマス・シリーズ:その12「クリスマス文学①・クリスマスキャロル」のお話し
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2023クリスマス・シリーズ:その12「クリスマス文学①・クリスマスキャロル」のお話し [キリスト教と読書]

今年もこのブログに「クリスマス・シリーズ(特集)」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっています。今日は、その12「クリスマス文学①・クリスマスキャロル」のお話しです。
「キャロル(英語: Carol)」の語源は、フランス語の単語Caroller(歌で伴奏されたサークルダンス)に、さらにはラテン語のChoraulaに由来すると考えられています。元々は踊りのための民謡でしたが、宗教的な礼拝の中で歌われて、祝歌、頌歌(しょうか)と訳される聖歌・賛美歌の一種とされています。キャロルは、1150年代から1350年代までのダンスソングとして非常にポピュラーでしたが、それが後に、教会のお祭りの時に歌われた<行列聖歌>として、その使用が徐々に拡大していきました。現在では、キャロルの語は “ クリスマス・キャロル ” に代表されていますね。

クリスマス・キャロルとは、キリスト教文化圏においては、クリスマス・イヴの夜に人々が歌うキャロル(歌)で、 “ クリスマス聖歌 ” というような意味ですね。キリスト教の救世主キリストの誕生を祝い、誕生にまつわる様々な場面や逸話を歌詞にした歌をいいます。代表的な歌は、「聖しこの夜(Stille Nacht, heilige Nacht)』、『もろびとこぞりて(Joy to the World)』などがありますね。クリスマス・イブの夜、教会に集まった子供たちが、街の家々を訪ねてクリスマス・キャロルを歌う慣習が欧米にはあり、これを英語では「キャロリング(Caroling)」と言います。

その他にも、クリスマス・キャロルとして、幼児虐殺の逸話を歌った『コヴェントリー・キャロル(Coventry Carol)』や、ボヘミア公であったヴァーツラフ1世(Wenceslaus I)をモデルにしているとされる『ウェンセスラスはよい王様(Good King Wenceslas)』、チャールズ・ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』に出てくる『世の人忘るな(God Rest Ye Merry, Gentlemen)』などがあります。では、今日は歌の方ではなくディケンズの小説の方をご紹介します。

チャールズ・ディケンズ( イギリス:1812年~1870年)は、ヴィクトリア朝時代を代表するイギリスの小説家・文豪です。主に下層階級を主人公とし弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表しました。この『クリスマス・キャロル」は、1843年12月17日に発刊され、たちまち大ベストセラーになりました。作品は他にも『二都物語』、『大いなる遺産』や『オリバー・ツイスト』が有名です。皆さんも小説を読んだり、映画などをご覧になった方も多いのではないでしょうか。
◯チャールズ・ディケンズです。
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この『クリスマス・キャロル』のあらすじですが、一言で言って主人公である冷酷で非人情なスクルージ氏の回心を描いたもので、クリスマス前に亡霊によって回心を迫られ、やがて徐々に人間らしい心を取り戻すという内容です。 私は、回心を込めて毎年クリスマス前に読むことにしています。短い小説ですからすぐ読めますよ。ぜひ皆さんもお読みください………ということで、私は新潮文庫版で読みました。ちなみに、ディズニーからDVDも出ています。小説を読んでから観た方がいいのかな?
◯DVDと文庫本です。
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◯2023クリスマス・シリーズ(特集)の過去の記事は、次のアドレスをクリックして読んでください。
1.2023クリスマス・シリーズ:その1「クリスマス・マーケット」のお話し
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2.2023クリスマス・シリーズ・その2「アドベント・キャンドル」のお話し
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3.2023クリスマス・シリーズ・その3「クリスマス・ツリー」のお話し
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4.2023クリスマス・シリーズ・その4「クリスマス・リース」のお話し
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5.2023クリスマス・シリーズ・その5「クリスマス・ケーキ」のお話し
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6.2023クリスマス・シリーズ・その6「クリスマス・デコレーションの緑色と赤色」のお話し
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7.2023クリスマス・シリーズ:その7「クリスマス料理の七面鳥」のお話し
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8.2023クリスマス・シリーズ:その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話し
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9.2023クリスマス・シリーズ:その9「クリスマス・キャンドルサービス」のお話し 
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10.2023クリスマス・シリーズ:その10「クリスマス・イルミネーション」のお話し
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11.2023クリスマス・シリーズ:その11「シュトーレン」のお話し
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『今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡』と『特攻隊 最後のことば 祖国に殉じた若者たちの真情』を読む [キリスト教と読書]

『今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡』と『特攻隊 最後のことば 祖国に殉じた若者たちの真情』を読みました。最初に読んだ『特攻隊 最後のことば 祖国に殉じた若者たちの真情』を仕事帰りの電車に乗って読んだのが大きな間違いでした。あふれる出る涙を抑えかね、車中の視線が気になって次の駅で降り、そして、寒さに耐えながらホームのベンチで気を静めたのでした。
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特攻(とっこう)と呼ばれる若き特別攻撃隊員たちは、上官から命令されたから特攻隊員になったのではなく、国を護るために、親、兄弟姉妹、妻、愛する人を守るために、それはもう純粋すぎるほど純粋で、ほとばしる熱い気持ちで、居ても立ってもおられず自ら志願したのでした。

ただ、実際に特攻隊員としてお亡くなりになられた方のご遺族のお話しを聞いたことがありますが、すべての特攻隊員がそうではなく、不本意に志願された方もいたとのことでした。決して美化されれべきことではないとお話しされていました。さぞかし悔しい思いだったことでしょう。

その時代の特異な世界情勢もあったと思いますが、確実に言えることは、やはり日本の指導者が愚かだったということです。戦争で亡くなられた方は、相手である敵国の人も含めて犠牲者です。愚かな指導者のもとでは悲惨な犠牲者を作ってしまうのです。いかに戦争が愚かで悲惨かです。

戦争で散った若き英霊のことを想うと、まったき平和な世に生きている自分の信仰は「これでよいのか!」と自問し、すこぶる真面目に考えるのです。受洗してからこの方、世界中で絶えることのない戦争や紛争に対し、平和を願う祈りしかできないこの身にむなしさを感じるのです。

平和の尊さを知るには、戦争の悲惨さを知ることです。自ら命を捧げた若き英霊に想いを馳せ、戦争の悲惨さを後世に伝えるとともに、私たちの使命である平和を願う祈りをとおして、恥じることのない信仰を続けてまいりたいと思います。皆さんに是非ともご一読をお勧めいたします。

書名:『今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡』
著者:神坂次郎
発行:株式会社新潮社
発刊:第二版・令和元年8月25日(単行本は昭和60年7月発刊)
定価:590円(税別)※中古で購入

書名:『特攻隊 最後のことば 祖国に殉じた若者たちの真情』
(単行本『特攻隊員語録』光人社刊行の改題)
著者:北影雄幸
発行:株式会社潮書房光人新社
発刊:平成30年5月24日(単行本は昭和60年7月発刊)
定価:800円(税別)※中古で購入
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『教会法で知るカトリック・ライフQ&A40』のご紹介 [キリスト教と読書]

今日は、『教会法で知るカトリック・ライフQ&A40』をご紹介いたします。
8月のある日のこと、ある信徒の方に「昨日は3回もミサに与っちゃいました~!」なんて話したら、その方から「一日に3回もミサに与るのは教会法違反ですよ。」と言われてしまいました。この本を読んでみると、教会法ではミサに与るのは「一日に2回まで」と書いてありました( ̄▽ ̄;) 過去に、このブログに堂々と「今日は3回も、4回もミサに与りました~(*^▽^*)」とか自慢げに書いていましたね~( ̄▽ ̄;)………今まで教会法違反をしていたわけです!Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン!知らないというのは恐ろしいことです!反省の日々です。
◯右側は続編です。
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◯ドン・ボスコ社のホームページから
信仰生活に深くかかわりながら一般にはなじみの薄い教会法を、Q&A形式でわかりやすく説明。勉強会のテキストや豊かな信仰生活ための解説書として、条文に触れながらカトリック教会の生活について理解を深めます。
<もくじ>
・はじめに
第1部 教会の生活
・教会と教会法
  カトリック教会の法律、教会法の制定者、カトリック信者の義務、カトリック信者の権利裁治権へ
  の協力、
・教会の組織
  教皇の選出、聖務者と聖職者、司祭の義務、教会内の「運動」、属人区
・小教区
  小教区の成立条件、主任司祭の任務、司祭の定年、複数の小教区の主任司祭
・修道生活
  修道者身分、修道会の創立の精神、修道会の使徒職、修道会の消滅
・教会の出版物
  聖書の位置づけ、出版の許可
第2部 秘跡
・秘跡の権利と義務
  秘跡と聖油、秘跡の権利、洗礼名、洗礼の代父母、幼児洗礼の規定、堅信の義務
・ミサ
  聖体拝領の回数、聖体の保存、ミサの意向
・ゆるしの秘跡
  ゆるしの秘跡の規定、重大な罪の告白、病者の塗油の規定、叙階される資格
・結婚
  婚姻の原則、有効な婚姻・婚姻の合意と方式、異宗婚と混宗婚、婚姻無効訴訟

著者:菅原裕二
出版:ドン・ボスコ社
発行:2014年7月1日
定価: 770円(税込)
<著者紹介>
菅原裕二(すがわら・ゆうじ)
イエズス会司祭。1957年に宮城県生まれ、上智大学法学部卒業後、イエズス会に入会。1987年より9年間ローマへ留学。1991年司祭叙階。1998年教皇庁立グレゴリアン大学教会法学部講師、2008年同教授、2013年より同学部長を務め現在に至っています。

続編もご紹介します!『続・教会法で知るカトリック・ライフQ&A40』
◯ドン・ボスコ社のホームページから
一般信徒もなじみの薄い教会法を、教皇庁立グレゴリアン大学教会法学部教授のイエズス会司祭菅原裕二師が説明。教会法入門の第2弾!現行教会法を公布した聖ヨハネ・パウロ二世は、法典は教会において信仰や愛や霊的な賜物が第一の場を占めるように秩序を与えることを目指すものだと教えています(法典公布の「使徒憲章」参照)。1巻に続きQ&A形式で教会生活や信仰にかかわる教会法をわかりやすく解説する本書は、信仰生活の本質をより豊かなものにするでしょう。勉強会のテキストや豊かな信仰生活を送るための解説書としても最適!
<もくじ>
・はじめに
第1部 教会の生活
・教会法の特徴と教会組織
  教会法と神学
  教会法の訳文
  聖座とバチカン
  大司教区
  シノドス
  司教の任命
  司教の任務
  裁判員制度
  聖職者の登簿
・修道生活と宣教活動
  貞潔の誓願
  清貧の誓願
  従順の誓願
  修道会入会
  修道院外居住
  宣教地
  宣教の目的
・教会財産と教会刑法
  教会の財産
  教会財産の存在理由  
  会計報告
  経済問題評議会
  犯罪と罪
  司教叙階の指令
第2部 秘跡・準秘跡
・秘跡
  秘跡の授与者
  他宗派の秘跡
  代父と証人
  洗礼台帳
  ミサの場所
  ホスチアの材料
  告白の秘密
  共同回心式
  典礼の奉仕者
  終身助祭
  婚姻の目的
  無効障害と召し出し
  婚姻の合意の内容 
  方式の免除
  夫婦の別居
・準秘跡
  祝別の祈り
  葬儀と埋葬
  聖人

著者:菅原裕二
出版:ドン・ボスコ社
発行:2021年9月1日
定価: 770円(税込)
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『ミサ聖祭 聖書にもとづくことばと所作の意味』のご紹介 [キリスト教と読書]

このブログにミサに関する内容の書籍を何冊かご紹介してきましたが、今日ご紹介する『ミサ聖祭』は、ミサで司式される司祭の言葉や所作、また、会衆の応唱などの言葉を中心に、聖書にある聖句との関係に基づく起源を明らかにして、その本質的な意味を説明しています。今までご紹介してきたミサ関連書よりも。より専門的に書かれた書となっています。一見難しそうですが、私のような一般的な信徒でも読みやすい、大変ためになる本です。これを読み終わると、ミサに臨む姿勢が変わります!是非とも皆さんにお読みいただきたいと思います。
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◯Webサイトから
「教会はその長い歴史の中で、とくに聖書に由来する言葉やしるしに基づきながら、注意深くミサの典礼を整え、練り上げてきました。本書はアメリカのカトリック信徒である聖書学者、エドワード・スリ博士によって著された『ミサを巡る聖書的散策――典礼における言葉と所作の理解』に基づいた、ミサの典礼で用いられている言葉と所作の聖書的意味を明らかにする案内書です。一人でも多くの方々が本書を通して、ミサにおける典礼の言葉と所作の聖書的意味をこれまで以上に深く学び、噛みしめながら、より意識的・行動的にミサに参加することができるよう導かれていくことを願ってやみません。」
◯目次(本文202ページ)
序 神の国の体験としてのミサ
第1部 出発点
第2部 開祭の儀
第3部 ことばの典礼
第4部 感謝の典礼
第5部 閉祭の儀
結び 福音宣教の源泉であるミサ

書名:『ミサ聖祭 聖書にもとづくことばと所作の意味』
出版:株式会社フリープレス
著者:エドワード・スリ
訳・共著:田中昇/湯浅俊治
発売:2020年9月14日
定価:2,000円+税

◯訳・共著者の田中昇神父様をご紹介いたします。かなり異色なご経歴をお持ちの神父様です。神父様のご趣味はフルート演奏で、私が以前所属していたカトリック町田教会で、田中神父様のフルート演奏を2回聴いたことがあります。以前、町田教会で助任司祭をされていたこともあって、ローマに留学されていた時期、一時帰国された時は町田教会を訪れ、フルート演奏をご披露されていました。50年ほど吹奏楽演奏に関わってきた私が聴いても、プロなみの素晴らしい演奏であったことを覚えています。ちなみに、私は高校・大学でフレンチホルンを吹いていました。
〈プロフィール〉
埼玉県出身
1997年  大学生時代にカトリック教会と出会い関口教会で受洗
1999年    早稲田大学理工学部卒業
2001年  早稲田大学大学院理工学研究科博士前期課程修了 (応用化学専攻)
2001~2004 年 化学メーカーに勤務 (医薬の研究開発)
2004年   東京カトリック神学院入学
2010年   同神学院卒業 
2010 年  カトリック東京大司教区司祭として叙階される。町田教会助任司祭着任
2011 年  教皇庁ウルバノ大学にて神学学士号(STB)取得、同大学院に留学 
2014 年  教皇庁立ウルバノ大学にて教会法学教授資格課程修了・修士号(JCL)取得、帰国後、目黒教会助任司祭着任
2016年   北町教会主任司祭着任
2023年4月 豊島教会主任司祭着任(北町教会主任司祭を継続、兼務)   
*趣味はフルート演奏
宗教法学会、アメリカ教会法学会(CLSA)会員、上智大学神学部・同大学院神学研究科、南山大学人文学部 (在名古屋教皇庁認可神学部) 非常勤講師、東京カトリッ ク神学院教員、行政書士(入管申請取次資格者、著作権相談員)、墓地管理士、火葬技術管理士 1級、終活アドバイザー、甲種危険物取扱者等の資格
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