モーツァルト作曲『アヴェ・ヴェルム・コルプス・ニ長調・K.618番』・『レクイエム ニ短調 K.626番』のご紹介! [キリスト教と音楽]

この記事は、このブログに過去に掲載した記事を一部修正・加筆して掲載しています。後でご紹介するCDの収録順が前後しますが、まずは『アヴェ・ヴェルム・コルプス・ニ長調・K.618番』からご紹介します。
この曲は、1791年(6月17日)にモーツァルトが妻コンスタンツェの療養を世話した合唱指揮者アントン・シュトルのために作曲したもので、曲としてはわずか46小節の小品ですが、モーツァルト独特の絶妙な転調による静かで落ち着いたゆったりとした曲調から、モーツァルト晩年の傑作とされています。編成は、混声四部合唱、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス、オルガン(通奏低音)です。演奏時間は約3分。
◯歌詞
<ラテン語>
「Ave verum corpus natum de Maria Virgine.
Vere passum immolatum in cruce pro homine:
cujus latus perforatum fluxit aqua et sanguine.
Esto nobis praegustatum mortis in examine.
O Iesu dulcis
O Iesu pie,
O Iesu Fili Mariae.
Amen.」
<日本語訳>
「めでたし、乙女マリアより生まれ給いしまことのお体よ。
人々のため犠牲となりて十字架上でまことの苦しみを受け、
貫かれたその脇腹から血と水を流し給いし方よ。
我らの臨終の試練をあらかじめ知らせ給え。
優しきイエスよ。
慈悲深きイエスよ。
マリアの子イエスよ。
アーメン。」

このモーツァルトの『アヴェ・ヴェルム・コルプス』は、是非とも次のCDを聴いてください!それは、リッカルド・ムーティ指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるモーツァルト『レクイエム』です。このCDの一番最後のところに収録されています。
レクイエム.jpg
モーツァルト『レクイエム』
リッカルド・ムーティ指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱は、スウェーデン放送合唱団・ストックホルム室内合唱団
ソプラノ:パトリシア・パーチェ
メゾソプラノ:ヴァルトラウト・マイヤー
テノール:フランク・ロバート
バス:ジェイムス・モリス
レーベルはEMIです。

なんと!この名演で500円です!このCDが世界最高のモーツァルトのレクイエムの演奏です!ムーティー指揮のベルリン・フィルにエリック・エリクソンが率いるストックホルム室内合唱団とスウェーデン放送合唱団とのコラボは最高水準の出来ばえです!カラヤンの指揮したCDもありますが、このCDに比べればカラヤンの指揮したCDは小学生の演奏に聴こえます。レクイエムは「死者のためのミサ曲」ですが、そのようなことにかかわらず、人を癒す力がある曲です。ぜひ、心静かにして落ち着いて聴いてください。涙があふれてきます。
収録曲
1.レクイエム ニ短調 K.626
1 入祭文:永遠の休息
2 キリエ
3 続誦:怒りの日
4 続誦:不思議なラッパが
5 続誦:おそるべき大王よ
6 続誦:思いたまえ
7 続誦:呪われた者どもを
8 続誦:涙の日
9 奉献文:主イエズス
10 奉献文:いけにえ
11 聖なる
12 ほむべきかな
13 神の小羊
14 聖体拝領誦
2.アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
以上です。

次に、『レクイエム』の意味をご紹介します。
「レクイエム(ラテン語: Requiem)」とは、ラテン語で「安息を」という意味の語で、次の意味において使われています。
1 死者の安息を神に願うキリスト教カトリック教会のミサ。“死者のためのミサ”という意味です。
2 上記のミサで用いる聖歌のこと。またそれに想を得て作られた楽曲。「死者のためのミサ曲」などと訳されます。
3 宗教的な意味を離れて、単に「葬送曲」又は「死を悼む」という意味でレクイエムという語が使われています。
上記1番のミサは、仏教でいうお葬式のことですね。そして2番は、そのお葬式の音楽ということです。ところで、たくさんの作曲家がレクイエムを作曲していますが、特に有名なのは“三大レクイエム”といわれるモーツァルト、ヴェルディ、フォーレの3人が作曲したレクイエムです。そこで、お勧めCDをご紹介します。ヴェルディのCDだけは紹介していません。もしもお聴きになるのでしたら、レクイエムの中の「怒りの日」を聴いてください!YouTubeで聴けます。ものすご~く恐ろしい怖い曲で、聴いているとそのまま地獄に落とされそうになります( ̄◇ ̄;)

では、次にレイクエムの曲の内容を説明いたします。ミサの司式にしたがって曲が進んで行きます。
◯入祭唱 (Introitus)
その日のミサの内容を歌うものです。固有文。死者のためのミサでは歌い出しが"Requiem æternam"(永遠の安息を)であるため、ミサ曲全体が「レクイエム」と呼ばれます。
※固有文:ミサを構成する種々の祈りの祈祷文のうち,そのミサが行われる日(曜日や季節)や目的(祝祭の種類)などに応じてそのミサだけに固有な内容をもつ祈りの祈祷文。したがって毎日変化しない「通常文」に対して変化する祈祷分のこと。

Requiem æternam dona eis, Domine,
et lux perpetua luceat eis.
Te decet hymnus, Deus, in Sion,
et tibi reddetur votum in Jerusalem.
Exaudi orationem meam,
ad te omnis caro veniet.
Requiem æternam dona eis, Domine,
et lux perpetua luceat eis.

主よ、永遠の安息を彼らに与え、
絶えざる光でお照らしください。
神よ、シオンではあなたに賛歌が捧げられ、
エルサレムでは誓いが果たされます。
私の祈りをお聞き届けください
すべての肉体はあなたの元に返ることでしょう。(詩編65:2-3)
主よ、永遠の安息を彼らに与え、
絶えざる光でお照らしください。

◯キリエ (Kyrie)
日本では「いつくしみの賛歌」と言います。いつくしみ深い神への賛歌、あるいは罪びとがいつくしみを乞う歌のことです。唯一、ギリシア語による通常文です。

Kyrie eleison.
Christe eleison.
Kyrie eleison.

主よ、いつくしみを。
キリスト、いつくしみを。
主よ、いつくしみを。

◯続唱 (Sequentia)
固有文。最後の審判を歌ったもの。「トリエント公会議」で公認された4つの続唱のうちの1つ。「第2バチカン公会議」における典礼の刷新で、「死後の恐怖を不必要に強調することはキリスト教本来の思想から外れている」ことと、「葬儀は、キリスト信者の死の復活的性格をより明らかに表現する(『典礼憲章』第81条)」という理由でこの続唱は除かれ、三部に分けられて教会の祈り(聖務日課)の賛歌となっています。なお「怒りの日」は Dies Iræ ... Amen. までで1つの典礼文ですが、作曲の便宜上、以下のように細分されることがあります。フォーレのレクイエムには「怒りの日」がなく、初演当時はレクイエムの伝統にふさわしくないということで、教会の司祭から厳しく批判されたそうです。

Absolve Domine, animas omnium fidelium defunctorum
ab omni vinculo delictorum. 
Et gratia tua illis succurrente,
mereantur evadere judicium ultionis.
Et lucis aeternae beatitudine perfrui.

主よ、全ての死せる信者の霊魂を
ことごとく罪のほだしより解いてください。
彼らが主の聖寵の助けによって
刑罰の宣告をまぬがれ、
永遠の光明の幸福を楽しむにいたらんことを

・怒りの日 (Dies iræ)
Dies iræ, dies illa
solvet sæclum in favilla:
teste David cum Sibylla
Quantus tremor est futurus,
quando judex est venturus,
cuncta stricte discussurus.

怒りの日、その日は
ダビデとシビラの預言のとおり
世界が灰燼に帰す日です。
審判者があらわれて
すべてが厳しく裁かれるとき
その恐ろしさはどれほどでしょうか。

次の5つは省略します。
・奇しきラッパの響き (Tuba mirum)
・恐るべき御稜威の王 (Rex tremendæ)
・思い出したまえ (Recordare)
・呪われたもの (Confutatis)
・涙の日 (Lacrimosa)

◯奉献唱 (Offertorium)
司祭がパンとぶどう酒を捧げる時に歌われます。固有文。
・主イエス・キリスト (Domine Jesu)
Domine Jesu Christe, Rex gloriæ,
libera animas omnium fidelium defunctorum
de pœnis inferni,
et de profundo lacu;
libera eas de ore leonis,
ne absorbeat eas Tartarus,
ne cadant in obscurum.
Sed signifer Sanctus Michæl
repræsentet eas in lucem sanctam,
quam olim Abrahæ promisisti
et semini ejus.

主イエス・キリストよ、栄光の王よ、
全ての死せる信者の魂を
地獄の罰と深淵からお救いください
彼らの魂を獅子の口からお救いください
彼らが冥府に飲み込まれぬように
彼らが暗黒に落ちぬように。
旗手たる聖ミカエルが
彼らの魂を聖なる光へと導きますように。
かつてあなたがアブラハムとその子孫に
約束したように。

・賛美の生け贄と祈り (Hostias)
Hostias et preces Tibi,
Domine, laudis offerimus.
Tu suscipe pro animabus illis,
quarum hodie memoriam facimus.
Fac eas, Domine, de morte transire ad vitam,  
quam olim Abrahæ promisisti
et semini ejus.

賛美の生け贄と祈りを
主よ、あなたに私たちは捧げます。
彼らの魂のためにお受け取りください。
今日、私たちが追悼するその魂のために。
主よ、彼らの魂を死から生へとお移しください。
かつてあなたがアブラハムとその子孫に
約束したように。

◯サンクトゥス (Sanctus)※通常のミサと同じですが、後半の「ベネディクトゥス (Benedictus)」と一緒になっています。
日本では「感謝の賛歌」といいます。神を賛美し感謝する聖歌です。通常文。
・聖なる (Sanctus)
Sanctus, Sanctus, Sanctus
Dominus, Deus Sabaoth
Pleni sunt cæli et terra gloria tua
Hosanna, in excelsis.

聖なる、聖なる、聖なる神、
すべてを治める神なる主
主の栄光は天地に満つ
天には神にホザンナ(ホザンナは「救い給え」の意)

・祝福されますように (Benedictus)
Benedictus qui venit in nomine Domini
Hosanna, in excelsis

主の名によって来られるかたに賛美
天には神にホザンナ

◯神羊誦 (Agnus Dei)(※しんようしょう)
日本では「平和の賛歌」といいます。聖別(聖体変化)したパンを切り分ける際に歌い、神の小羊であるキリストに世の平安を祈る聖歌です。通常文。

Agnus Dei, qui tollis peccata mundi:
dona eis requiem.
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi:
dona eis requiem.
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi:
dona eis requiem sempiternam.

世の罪を除く神の子羊
いつくしみをわたしたちに
世の罪を除く神の子羊
いつくしみをわたしたちに
世の罪を除く神の子羊
平和をわたしたちに

◯聖体拝領唱 (Communio)
聖体となったパンとぶどう酒を拝領する際に歌われます。死者が永遠の光に照らされることを神に祈る聖歌です。固有文。死者ミサの聖体拝領唱は冒頭を取り Lux æterna とも呼ばれます。

Lux æterna luceat eis, Domine:
Cum Sanctis tuis in æternum,
quia pius es.
Requiem æternam dona eis Domine:
et lux perpetua luceat eis.
Cum Sanctis tuis in æternum,
quia pius es.

主よ、彼らを永遠の光でお照らしください。
聖者たちとともに永遠に
あなたは慈悲深くあられるのですから。
主よ、永遠の安息を彼らに与え、
絶えざる光でお照らしください。
聖者たちとともに永遠に
あなたは慈悲深くあられるのですから。

◯赦祷文 (Responsorium)
ミサの終了後の赦祷式(Absolutio ad Tumbam)で歌われます。ミサには含まれませんが、葬儀に関連するため、曲がつけられることがあります。フォーレ、ヴェルディ等。通常のミサで使われる嘆願(Libera nos)と区別するため Libera meと呼ぶことが多いです。

Libera me, Domine, de morte æterna,
in die illa tremenda.
Quando cœli movendi sunt et terra,
Dum veneris judicare sæculum per ignem.
Tremens factus sum ego et timeo,
dum discussio venerit atque ventura ira.
Quando cœli movendi sunt et terra.
Dies illa, dies iræ
calamitatis et miseriæ,
dies magna et amara valde.
Requiem æternam dona eis, Domine
et lux perpetua luceat eis.

主よ、永遠の死から私をお救いください
恐るべきその日に。
天と地が揺れ動き、
主が炎を持ってこの世を裁く日、
来るべき裁きと怒りの時に
私は恐れおののく。
天と地が揺れ動く。
その日は怒りの日、
災いと不幸の日
大いなる嘆きの日。
主よ、永遠の安息を彼らに与え、
絶えざる光でお照らしください。

◯楽園へ (In Paradisum)
出棺、埋葬時に歌われる。ミサには含まれませんが、葬儀に関連するため、曲がつけられることがあります。フォーレなど。(この歌での「あなた」は死者を指す。)

In Paradisum deducant te Angeli;
in tuo adventu suscipiant te martyres
et perducant te in civitatem sanctam Jerusalem.
Chorus Angelorum te suscipiat,
et cum Lazaro quondam paupere,
æternam habeas requiem.

天使があなたを楽園へと導きますように。
楽園についたあなたを、殉教者たちが出迎え、
聖なる都エルサレムへと導きますように。
天使たちの合唱があなたを出迎え、
かつては貧しかったラザロとともに、(ルカ16:19-22)
永遠の安息を得られますように。
以上です。
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聖マザー・テレサの祈り(第3日目) [祈り]

「主よ、わたしは信じきっていました。
わたしの心が愛にみなぎっていると。
でも、胸に手を当ててみて
本音に気づかされました。
わたしが愛していたのは他人ではなく
他人の中の自分であった事実に。
主よ、わたしが自分自身から解放されますように。

主よ、わたしは思いこんでいました。
わたしは与えるべきことは何でも与えていたと。
でも、胸に手を当ててみて
真実がわかったのです。
わたしのほうこそ与えられていたのだと。
主よ、わたしが自分自身から解放されますように。」

聖マザー・テレサのことは、このブログの2023年5月23日に掲載した「聖マザー・テレサの祈り(第1日目)」をご覧ください。
この祈りには『自己からの解放』という題がついています。この祈りの言葉の謙遜さに頭が下がります。相手・他人のためにとやっている行為だと思っていたら、実は自分自身のためだったということです。それでは「自己満足でしょ!」というになりますね。人間というものは、あくまでも謙虚でなければなりません。よく考えない行為は、まったくのお節介焼きだけになってしまいます(⌒-⌒; ) 私の自戒とするところです。
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