「聖セバスティアヌス殉教者」のお話し [聖人・福者・尊者]

今日1月20日は、聖セバスティアヌス殉教者(フランス:不詳~287年)の祝日です。聖セバスティアノとも呼ばれ、フランスのナルボンの貴族の家に生まれました。若いころにキリスト信徒となりましたが、ローマ帝国の皇帝ディオクレティアヌスのキリスト教迫害が最も激しい時代で、セバスティアヌスは自ら信徒であることを隠してローマの軍隊に入隊しました。皇帝の目にとまって近衛兵となり、野心を抱かず皇帝への忠誠と神のために働くことだけに力を注いでいました。

キリスト教徒への迫害が激しくなってくると、セバスティアヌスは信者仲間を励ますために支援をしていましたが、ついに密告によってセバスティアヌスがキリスト信者であることを知った皇帝は激怒し、弓で彼を射殺すよう命じました。セバスティアヌスはかろうじて一命を取りとめ、皇帝のキリスト教徒に対する残虐な迫害を公然と非難し、再び死刑に処せられ殉教しました。遺体が発見されるとアッピア街道そばに葬られ、のちに聖セバスティアヌス教会が建てられました。

カトリック教会のクリスチャンである有名なピーテル・パウル・ルーベンス(ドイツ:1577年~ 1640年)作の「聖セバスティアヌス」です。中世ごろには、すでに<矢をあびる青年(矢がアトリビュート)>として絵画などに描かれ、兵士・弓術家の保護者になっていました。とにかく、セバスティアヌスの描かれている絵は多いのですが、裸で木に縛られて全身に矢が刺さり、血を流してしている描写のものばかりですから、とっても痛そうな絵になっていますΣ( ̄ロ ̄lll)
聖セバスティアヌス.jpg
【アトリビュート】
西洋絵画、特に宗教画(キリスト教絵画)には、「アトリビュート(=持物:じぶつ)」というものがあります。これは、絵を描く時の“約束事”として、特定の人物(聖人など)に密接に結びつけられたもの、例えば花、動物、小物、道具や背景などが画かれるのです。
例えば、聖母マリア様ですと、必ず画かれているのが純潔の象徴である「百合の花」ですね。「受胎告知」の絵で、大天使ガブリエルが百合の花を持っています。そして、天の真実を意味する「青色(濃紺色)のマント」です。「祈りの聖母」と「悲しみの聖母」の絵もそうですね。他にも、「12の星の冠」や足の下に「三日月」と「蛇」が画かれています。聖母マリア様の絵を見るときはよく観察しましょうね。
他にも、聖母マリアの夫である聖ヨセフは、大工であったことから大工道具がアトリビュートになっていますし、聖アガタは、乳房を切り取られたことから、乳房がアトリビュートになっています。旧約聖書の「トビト記」に出てくるトビアスを描いた絵は、必ず魚が画かれています。(「トビト記」を読めばわかります。)マグダラのマリアの絵は、必ず香油の壺とドクロが画かれています。
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