文語訳聖書と口語訳聖書における聖句の比較(その3) [聖書]

私の大好きな新約聖書の「マタイによる福音書」第7章・第7節の聖句を2つの口語訳聖書と2つの文語訳聖書で比較をします。この聖句の要旨としては、「諦めずに求め続けなさいと説く、イエス・キリストの《祈り求める大切さ》の教え」となります。聖句の説明は、このブログの「新約聖書:マタイによる福音書・第7章・第7〜11節 2019.2.14」をご覧下さい。
◯現在、一般的に広く多くの人が使用しているカトリック教会とプロテスタント教会が共同訳した口語訳の『新共同訳新約聖書』は次のとおりとなっています。
「求めなさい。そうすれば、与えられる。」

◯カトリック修道会のフランシスコ会聖書研究所が訳した『原文校訂による口語訳 フランシスコ会聖書研究所訳注 新約聖書』は次のとおりとなっています。
「求めなさい。そうすれば与えられる。」

◯プロテスタント教会の信徒が使用した『文語訳 舊新約聖書』は、次のとおりとなっています。
「求めよ。さらば與(与)えられん。」

◯カトリック教会の信徒が使用した『ラゲ訳 イエズス・キリストの新約聖書』は次のとおりとなっています。
「願え、さらば与えられん、」

以上の4つを比較すると、口語訳では、新共同訳聖書もフランシスコ会訳聖書も同じですね。意味のよくわかる訳だと思います。また、文語訳では、『文語訳 舊新約聖書』の方は、「求めよ。」となっているのが、『ラゲ訳 新約聖書』では、「願え、」となっています。両方の聖書を見ると、この第7章・第7節のところに、『文語訳 新舊約聖書』には副題はついていませんが、『ラゲ訳 新約聖書』には「希望をもって祈るべし」と書いてあります。ちなみに、新共同訳聖書には、「求めなさい」とあり、フランシスコ会訳聖書には、「祈りの力」と副題が書いてあります。

私には、主(神)に「祈り求める」という観点からみると、『ラゲ訳 新約聖書』の「願え」というのが適していると思います。しかし、『日本語対訳 ギリシア語新約聖書』を見ると、「(1)あなたがたは求めよ、(2)すると、(4)それはあたえられる、(3)あなた方に、」とあり、順番につなげると「あなた方は求めよ。するとあなた方にそれはあたえられる。」となります。ちなみに、ギリシア語新約聖書は、現在の新約聖書の原文です………となると、新共同訳聖書にある「求めなさい」が適当であり、訳も「求めよ」が的確な訳であることがわかります。
いずれにしても、文語訳の「求めよ。さらば与えられん。」が力強く、文語訳聖書の名句の象徴であると思います。

上記に書いた『日本語対訳 ギリシア語新約聖書』は、現在の新約聖書の原文であるギリシア語新約聖書を日本語対訳したもので、原文がどう書かれているかよくわかります。写真にあるとおり、文章を文節ごとに、単語の読む順番に番号をつけてありますので、日本語の文章として読めますからとても分かりやすいですね。
「マタイによる福音書」の表紙です。他に「マルコによる福音書」、「ルカによる福音書」、「ヨハネによる福音書」、「使徒言行録」及び「ローマの信徒への手紙」が出版されています。
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現在は、4福音書しか保有していません。
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文章の文節ごとに、単語に読む順番の番号をつけてありますから、とても分かりやすいですね。
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◯『日本語対訳 ギリシア語新約聖書』
発行:1991年5月15日初版
出版:教文館
定価:3,000円(税込)初版当時の価格
4冊とも7年前にWebサイトの「日本の古本屋」で購入しました。
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