新約聖書:エフェソの信徒への手紙・第4章・第25〜第28節 [聖書]

「ですから、偽りを捨て、一人一人か隣人に真実を語りなさい。私たちは互いに体の部分だからです。怒ることがあっても、罪を犯してはなりません。日が暮れるまで怒ったままでいてはいけません。また、悪魔に隙を与えてはなりません。盗みを働く者は、もう盗んではいけません。むしろ、労苦して自分の手で真面目に働き、必要としている人に分け与えることができるようにしなさい。」
『聖書協会共同訳聖書』から

この言葉の中に、「日が暮れるまで怒ったままでいてはいけません。」とありますが、これは当時のユダヤ社会では、一日の始まりは“日没後からで、終わりは翌日の日没前まででした。つまり“日没”が一日の境目になっています。その一日の内に何事も納めて次の日に持ち越さないということです。

話しは変わりますが、当時は上着を「質」に入れた者には、お金を返すことができなくても、日没までに上着を本人に返さなければならなかったのです。旧約聖書の「申命記」第24章・第12~第13節に、次のとおり書いてあります。
「…もし、その人が貧しい場合には、その担保を取ったまま床に就いてはならない。 日没には必ず担保を返しなさい。そうすれば、その人は自分の上着を掛けて寝ることができ、あなたを祝福するであろう。あなたはあなたの神、主の御前に報いを受けるであろう。」
当時は、上着というのは非常に重要なもので何枚もあるようなものでなく、現在のように布団があったわけでもないので、この上着が布団や毛布代わりになるわけです。また、地べたに寝るわけですから、冬は当然ですが夏でも昼と夜の寒暖の差が激しいので、上着がないと寒くて寝られません。他はともかく上着だけは必要なわけです。訴えられて裁判になって他のものは質に取られたとしても、上着だけはその日の夕方までに返さなければならなかったのです。そういう社会だったのですね。
また、「悪魔にすきを与えてはなりません」とありますが、これは、“誘惑に落ちてはなりません”と私は解釈します。
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