ミサの「感謝の典礼」と「感謝の賛歌」のお話し [キリスト教関係事項・用語等]

この記事は、カトリック教会の信徒でないと分からない内容となっています。予めご了承ください。
以前、ある信徒の方から、「ミサの中で、「ホザンナ」って言うところがあるけど、何のこと?」とのご質問を受けたことがあります。ミサの中に、最も重要な「感謝の典礼」というところがあり、その中に「感謝の賛歌」があります。まずはその説明からお話しいたします。

ミサの第2部である「感謝の典礼」は、叙唱への招きの中にあるように「心を込めて、神を仰ぎ、賛美と感謝を捧げましょう。それは尊い大切な努め」です。奉納(パンとぶどう酒)と奉納祈願が終わると、司祭によって叙唱 が唱えられます。叙唱は、「これから私たちは何について賛美と感謝を捧げるか」という説明であり宣言です。そして叙唱は(いくつかバリエーションがありますが)次のように結ばれます。
「聖なる父、全能永遠の神、いつ、どこでも、主キリストによって、賛美と感謝を捧げることは、まことに尊い大切な務めです。権能を敬う全ての天使と共に、わたしたちもあなたの栄光を終わりなくほめ歌います。」
この言葉によって、感謝の賛歌の意味はハッキリします。感謝の賛歌は、叙唱によって唱えられた神の愛と恵みの業に対する私たち人類の感謝の歌です。そして私たちが感謝の賛歌を歌う時、天使たちも共に歌っているということです。感謝の賛歌は、『ミサ典礼書の総則』によると「感謝の祈り(奉献文)そのものの一部をなして」いるものです。決して「式文の中に挿入された音楽」という程度のものではないということです。

『感謝の賛歌(サンクトゥス) 』は、神への感謝を捧げ、その栄光を称える賛歌です。
◯サンクトゥス (Sanctus)
サンクトゥスは、ラテン語で「聖なる」という意味です。
Sanctus, sanctus, sanctus,
dominus deus sabaoth.
Pleni sunt caeli et terra gloriatua.
Hosanna in excelsis.
聖なる、聖なる、聖なる神、
すべてを治める神なる主。
主の栄光は天地に満つ。
天には神にホザンナ。

◯ベネディクトゥス (Benedictus)
ベネディクトゥスは、ラテン語で「祝福があるように」という意味です。
Benedictus qui venit in nomine domini.
Hosanna in excelsis
主の名によって来られる方に賛美。
天には神にホザンナ。

短い賛歌ですので、ミサでは「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」を併せて『感謝の賛歌(サンクトゥス)』として一つにまとめられています。これは、マタイによる音書・第21章・第9節から採られています。ちなみにHosanna (ホサンナ)はヘブライ語の音訳で、原義は「救いたまえと(我らは)祈る」となります。ホザンナ又はホサナとも音訳されます。
◯新約聖書:マタイによる福音書・第21章・第9節
「群衆は、イエスの前を行く者も、後に従う者も叫んでいった。『ダビデの子にホサンナ。主の名によって来られる方に祝福があるように。いと高きところにホサンナ。』」
『原文校訂による口語訳フランシスコ会聖書研究所訳注聖書』から
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教会日記2023.1.18(カトリック成城・聖タデオ教会「平日のミサ」水曜日) [教会日記]

今朝は、出勤する前に小田急線成城学園前駅で途中下車し、カトリック成城・聖タデオ教会での早朝7時からの「平日のミサ」に与りました。寒いですね〜今週末にかけて寒さが厳しくなるようです!今日も清々しい朝を迎えています。

ミサでは、まず、主を讃えるお祈りです。
「栄光の全能永遠の父よ、
御名(みな)が讃えられますように、
崇められますように、
アーメン」
と祈りました。
そして、主に感謝です。
「今日も清々しい朝を迎えさせていただき、ご聖体を拝領させていただいたことを感謝申し上げます。」

次に、主により頼むお祈りです。
「天におられる私達の父よ、
どうかこの祈りを聴き入れてください。
慈しみ深く憐れみ深い主よ、
主に救いを求める人々に主の平安をお与えください。
病に苦しむ人々に主の癒しをお与えください。
貧困にあえぐ人々に主の豊かな恵みをお与えください。
主よ、どうか主に救いを求める人々がすべて救われますように。
私達の主イエス・キリストによって。
アーメン」
と祈りました。

次に、派遣のお祈りです。
「主よ、ここに私がおります。
この私を遣わしてください。
アーメン」
と祈りました。

終わりに、『大天使聖ミカエルへの祈り』です。
「大天使聖ミカエル、
悪との戦いにおいて、私たちを守り、
凶悪な企みに打ち勝つことが出来ますように。
神の命令によって
悪魔が人々を害することが出来ないようにお願い致します。
天軍の総帥、
人々を惑わし、食いつくそうと探し回っているサタンと
他の悪霊を神の力によって地獄に閉じ込めて下さい。
アーメン。」
と祈りました。
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「キリスト教一致祈祷週間」のお話し [キリスト教関係事項・用語等]

2023年のキリスト教一致祈祷週間は、1月18日(水)~25日(水)の期間で全世界で行われます。今回のテーマは、「善を行い、正義を追い求めなさい」(旧約聖書:イザヤ書・第1章・第17節)です。キリスト教の諸教会では、毎年この1週間を“キリスト教一致祈祷週間”と定めています。切に祈られたイエス様の心を大事にして祈る期間です。
キリスト教会の歴史では、16世紀にルターによる宗教改革が起こり、キリスト教世界に対して、聖書(福音)の純粋な精神に立ち戻るように呼びかけました。しかし、歴史の中で政治や民族抗争などが絡み、教会分裂と混乱が生じました。20世紀になって、世界各地でキリスト者が教派を超えて一致しようという運動が盛んになり、1968年以来、毎年テーマを決めて、一致のための祈りがささげられています。

毎年、キリスト教一致祈祷週間で使われる資料は、世界教会協議会(WCC)と教皇庁キリスト教一致推進省の共同事業として、各国から選ばれたキリスト教諸教会が協力して作成しています。2023年のキリスト教一致祈祷週間のテーマは、ミネソタ教会協議会が招集した米国のキリスト者グループによって選ばれ、資料が準備されました。このグループは、2020年12月に最初のオンライン会合を持ち、その後も検討を重ねてきました。2021 年9月19 日から23 日の間、キリスト教一致祈祷週間の資料をまとめる国際グループが、スイスのシャトー・ドゥ・ボッセーでミネソタ教会協議会の代表者と会合をもち、最終的な資料の準備を進めてきました。ミネソタ州は、長年にわたって全米における最悪の人種間格差を抱えてきましたが、ミネソタ教会協議会はこの歴史的な人種差別の問題に熱心に取り組み、最近では、ミネソタは人種差別撤廃の発信地となっています。キリスト教一致のための祈りは、ミネソタでの取り組みに見られるように、神の似姿としての尊厳をもって創造された人間であるわたしたちの間を隔てるものと格闘する中で行われるとき、さらに重要な意味をもつのです。
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日本でも、世界に広がる教会と心を合わせてキリスト者の一致を祈るため、カトリック中央協議会と日本キリスト教協議会が共同で翻訳した資料を小冊子『キリスト教一致祈祷週間』として発行し、ポスターとともにご案内しています。小冊子には以下の内容が盛り込まれています。
・その年のテーマの解説
・エキュメニカル礼拝式文
・八日間の聖書の黙想と祈り
・作成担当国のエキュメニズムの現状
この小冊子は、キリスト教一致祈祷週間の期間だけでなく、一致を求める個人の祈りや共同の祈りのために年間を通して用いることができるよう配慮されています。各教会にこの小冊子(写真)が届いているのではないかと思います。小冊子の内容は、今年のテーマの解説、エニュメニカル礼拝式文、8日間のお祈りと黙想の聖句などが載っています。
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「聖マルガリタ」のお話し [聖人・福者・尊者]

今日1月18日は、聖マルガリタ(ハンガリ:1242年1月27日~1270年1月18日)の祝日です。
ハンガリー王国アールパード朝の王女で、ハンガリー国王ベーラ4世とマリア・ラスカリナ王妃の第9子です。28歳の若さでこの世を去りました。1943年11月19日、教皇ピウス12世によって列聖され、祝日は命日の1月18日と定められました。
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クロアチア王国のクリスの要塞において、10人兄弟の9番目の娘として生まれ、モンゴル帝国のハンガリーへの侵攻による政情不安のため、両親はブダペストのドミニコ会修道院に4歳のマルギトを預けました。マルガリタは12歳になると修道女になることを決意して、ボヘミア王オタカル2世からの結婚の申し込みを始め、全ての縁談を断り、修道女としてのつましい暮らしを望みました。
マルガリタは、四旬節の間はほとんど何も食べず眠らずに過ごし、自ら進んで汚い仕事を行いました。祈りと苦行に励み、謙遜な態度を保ち、貧しい人々への寛大な愛を行なった彼女は、人々から慕われました。マルガリタが王女のころ、彼女のもとで働き使えていた召使いのアグネスは、「王女でありながら、私たちより謙遜な方であった。」と語っています。マルガリタは、絵画では通常、「手に本と白い百合の花(アトリビュート)」を持った姿で描かれています。遺物の一部はハンガリーのエステルゴム、パンノンハルマ、ジェールに保存されています。

【アトリビュート】
西洋絵画、特に宗教画(キリスト教絵画)には、「アトリビュート(=持物:じぶつ)」というものがあります。これは、絵を描く時の“約束事”として、特定の人物(聖人など)に密接に結びつけられたもの、例えば花、動物、小物、道具や背景などが画かれるのです。
例えば、聖母マリア様ですと、必ず画かれているのが純潔の象徴である「百合の花」ですね。「受胎告知」の絵で、大天使ガブリエルが百合の花を持っています。そして、天の真実を意味する「青色(濃紺色)のマント」です。「祈りの聖母」と「悲しみの聖母」の絵もそうですね。他にも、「12の星の冠」や足の下に「三日月」と「蛇」が画かれています。聖母マリア様の絵を見るときはよく観察しましょうね。
他にも、聖母マリアの夫である聖ヨセフは、大工であったことから大工道具がアトリビュートになっていますし、聖アガタは、乳房を切り取られたことから、乳房がアトリビュートになっています。旧約聖書の「トビト記」に出てくるトビアスを描いた絵は、必ず魚が画かれています。(「トビト記」を読めばわかります。)マグダラのマリアの絵は、必ず香油の壺とドクロが画かれています。
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