「聖母マリアの被昇天(記念日)」のお話し [キリスト教関係事項・用語等]

今日8月15日は、「聖母マリアの被昇天」の記念日です。このブログの昨年8月2日に掲載したものを一部加筆・修正して再掲載いたします。キリスト教カトリック教会の記念日(8月15日)に「聖母マリアの被昇天(ひしょうてん)」があります。これは、「聖母マリア様が、霊魂も肉体もともに天に上げられた。」というカトリック教会の教義で、1950年11月1日に、ローマ教皇ピオ十二世(在位1939~1958)が、処女聖マリアの被昇天の教義を荘厳に公布したことにより制定されました。

教義が制定される以前、教皇レオ十三世(在位1878~1903)の命令で、検邪聖省(現在の教理省)の記録庫に多くの請願が特別に集積され、また、第一バチカン公会議(1869~1870)において、204名の教父が聖母の被昇天を決定するように提案し、1921~1937年に「被昇天の定義促進運動」が盛んになった背景があります。それほど古くはないですね。
教皇ピオ十二世は次のように宣言しています。「我々の主イエズス(イエス)・キリストの権威と、使徒聖ペトロと聖パウロの権威、および私の権威により、無原罪の神の母、終生処女であるマリアが地上の生活を終わった後、肉身と霊魂とともに天の栄光にあげられたことは、神によって啓示された真理であると宣言し布告し定義する。」との力強い宣言です。

これは「おめでとう、恵まれたかた」(新約聖書:ルカによる福音書・第1章・第28節)と神の使いからのあいさつを受け、神が共におられるという恵みに満ちたものであるが故に、その生涯においてキリストと最も深く結ばれ、死後においてもキリストの復活と栄光にあずかっていることを意味します。つまりマリアは復活の恵みを受け、キリストを通しての神における人間の完成に到達したことを確信をもって宣言しているのです。
聖書の中で、聖母の被昇天については直接記されていませんが、カトリック教会では何世紀にもわたって伝達されてきた「聖伝(伝承)」を聖書とともに大切にしてきました。この聖母の被昇天の教義も神から啓示された伝承の一部分であることをかつての司教たちが一致して認めており、ピオ十二世が公に教会の教義であることを公布することにより、聖母マリアが神の母であることを特に強調しています。重要なことです。
ルーベンス作の「聖母の被昇天」です(1630年)。
ドイツ・デュッセルドルフにあるクンストパラスト美術館所蔵です。
聖母マリアの被昇天.jpg
この毎年8月15日は、聖母マリア様の祝日であることについて、歴史的に次のように言われています。5世紀のエルサレムでこの日に祝われていた神の母マリアの記念は、6世紀には、マリアの死去の日として東方教会(中東・ギリシャ・アナトリア・東ヨーロッパに広がり、成長したキリスト教諸教派(正教会、東方諸教会)の総称のこと。)で祝われるようになりました。この死去は、聖母マリア様が天に召された(帰天)ことと永遠の命のうちに誕生したことを記念されていたようです。これも重要なことです。

やがて7世紀半ばに西方教会にも受け継がれ、教皇セルジオ一世(在位687~701)は、徹夜祭やハドリアヌス教会からサンタ・マリア・マジョーレ教会までの行列などで盛大に祝っています。マリアの被昇天の名で知られるようになったのは、8世紀末になってからです。こうして1950年のピオ十二世の教義宣言に至るまで聖母マリアへの信心の深まりと同時に、次第にこの日を特別な日として祝うようになりました。聖母の被昇天への信仰は、聖母マリア様だけが特別な存在だと言うのではありません。

キリストによる救いに与る人達の象徴として、信じるすべての人達の救いへの希望を表現するものです。ミサの集会祈願はこのことを教えます。「全能永遠の神よ、あなたは、御ひとり子の母、汚れのないおとめマリアを、からだも魂も、ともに天の栄光に上げられました。信じる民がいつも天の国を求め、聖母とともに永遠の喜びに入ることができますように」とお祈りするのです。(カトリック中央協議会のホームページから引用・一部加筆)・このブログの「聖母マリアのお話し2016.5.7」をご参照ください。
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