『神曲 地獄編』のご紹介 [キリスト教と読書]

今日は、ダンテ・アリギエリ作の『神曲 地獄編』のご紹介です。
8年ぶりに読み始めました。
まず『神曲』の「地獄編」をご説明しますね。
<神曲の概要>
『神曲(しんきょく)』は、13世紀から14世紀にかけてのイタリアの詩人・政治家であるダンテ・アリギエリの代表作です。この『神曲』は長編詩で、原題を『神聖喜劇(Divina Commedia)』といいます。当時、ヨーロッパの共通語であったラテン語ではなく、イタリア語の方言(トスカーナ方言)で書かれています。
全体を通して読んでいると “ 3 ” という数字がよく出てきますね。これはキリスト教の “ 三位一体 ” の教義を讃美する内容となっていますので、当時のカトリック教会の神話的世界観を具象化しているとのことです。全体を3部で構成し、「地獄編」34歌、「煉獄(れんごく)編」33歌、「天国編」33歌となっております。
第1部の「地獄編」の第一歌は、地獄界に入る以前、ダンテが暗い森で道に迷っていると、ダンテがかねて私淑していた古代ローマの大詩人ウェルギリウスの霊と出会い、その導きで、地獄・煉獄・天国へと旅を開始する発端が歌われています。したがって、3つの篇それぞれ33歌づつの構成になっています。
〇この絵は、ボッティチェッリ作「地獄の図」(1490年)です。後でご紹介する映画にも出てきます!
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<地獄編の内容>
ダンテ達は、まず地下に降ります。地獄は、地下にある大きな空洞で、すり鉢の形をしており、すり鉢の表面に棚のように幾つもの段があってそこはかなり広くなっています。この段にある世界が地獄で、地上に近い部分から地下の最深部まで段=地獄の圏が続いています。ここでダンテ達は、段を1つずつ下に降りながら、罪を犯したが故に永遠に天国には行けないで、苦しむ罪人たちの悲惨な姿を見ることになります。様々な罪に応じて各々の圏があり、下に降りれば降りるほど重い罪となっていきます。
地獄の最深奥部の、地球の中心に当たる、すり鉢の一番底には、地獄の中心ジュデッカのさらに中心、地球の重力がすべて向かうところに神に叛逆した堕天使のなれの果てである魔王ルチフェロ(サタン)が氷の中に永遠に幽閉されています。魔王は、かつては天界において最も美しい天使でしたが、今は醜悪な三面の顔を持った姿となり、半身をコキュートスの氷中に埋めています。
魔王は、イエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダ、カエサルを裏切ったブルータスとカッシウスの三人をそれぞれの口で噛み締めていました。ダンテ達は魔王の体を足台とし、そのまま真直ぐに反対側の地表に向けて登り、岩穴を抜け地球の裏側に達します。
すると……そこは煉獄山の麓でした。
以上です。だいたいはご理解いただけましたでしょうか?(⌒-⌒; )

〇お奨め本のご紹介です。
『神曲 地獄編』
著者:ダンテ・アリギエリ
訳者:原 基晶
全頁:633ページ
定価:1620円(税別)
出版:株式会社講談社(講談社学術文庫)
※「地獄篇」及び「煉獄篇」も同様に出版されています。他にも角川ソフィア文庫、集英社文庫からも3冊で出版されています。私は講談社学術文庫版で読んでいます。ダンブラウンの『インフェルノ』は角川文庫から上中下の3分冊で出版されています。是非お読みください!
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〇関連映画のご紹介!
この『神曲 地獄編』をストーリーの題材にした映画が2016年に公開されました。それは、ダン・ブラウンの小説を映画化したトムハンクス主演の『インヘェルノ』です。この年に映画館で観ました、
私はダン・ブラウンの小説が大好きです。『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの第3弾(第2弾は『天使と悪魔』)として、ダンテの『神曲』の“地獄篇”を題材としているというところがよかったですね。それに、信仰するキリスト教にまつわる内容で、イタリアの有名な寺院や絵画・彫刻にふれることができるから最高です。ですから早く映画化されることを熱望していました。
〇DVDで観ることができます!
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<映画の解説から>
「記憶喪失状態でフィレンツェの病院で目覚めたロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、何者かに命を狙われるも医師のシエナ・ブルックス(フェリシティ・ジョーンズ)の手引きで事なきを得る。やがて二人は、人口増加を危惧する生化学者バートランド・ゾブリスト(ベン・フォスター)が、人類の半数を滅ぼすウイルス拡散をたくらんでいることを知る。彼らは邪悪な陰謀を阻止すべく、ゾブリストがダンテの叙事詩「神曲」の「地獄編」に隠した謎の解明に挑むが……。
人気作家ダン・ブラウンのベストセラー小説を映画化した『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの第3弾。主演のトム・ハンクス、監督のロン・ハワードが続投し、これまで数々の歴史や名画の謎を解明してきた宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授が、詩人ダンテの「神曲」の「地獄篇」に絡んだ世界を揺るがす陰謀に挑む。ラングドンと共に謎を追う医師を『博士と彼女のセオリー』などのフェリシティ・ジョーンズが演じるほか、『ジュラシック・ワールド』のオマール・シーとイルファン・カーンらが共演。」
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緒方貞子のことば(第5日目) [キリスト者(クリスチャン)]

「最後は理論ではない。一瞬のカンです。」

緒方貞子氏のことは、2024年4月20日掲載の「緒方貞子のことば(第1日目)」をご覧ください。
この言葉は、勉強家であり理論では誰にも負けない緒方氏の言葉ですが、“ 最後は一瞬のカン ” というところがすごいですね。これにはよほどの経験を積んでいないと、絶対にカンというものは当たりません。経験がものを言う言葉だと思います。いろいろな場面で修羅場をくぐり抜け、ご苦労を重ねられてきたご経験のある緒方氏ならではの言葉ですね。やはり、最後の最後に詰まるところまでくると理論では埒が明かないもので、最後は理論よりも経験が勝るのですね。経験は大切です!私は今も経験を積んでいるところです!(⌒-⌒; )
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