『お告げの祈り』のお話し [祈り]

『お告げの祈り』は、『アンジェラス(Angelus)』と言います。聖母マリア様への “ 受胎告知 ” を記念するキリスト教カトリック教会の祈祷(きとう:お祈りのことば)です。一年365日を毎日午前6時(7時)、正午12時、午後6時の3回唱えます。“ Angelus Domini ” の句で始まるお告げの祈りですが、この祈りの時刻を知らせる鐘を「アンジェラスの鐘(お告げの鐘)」といいます。この鐘の音を聞いた信徒たちは、その場で胸の前で手を組み、目を閉じて聖母マリア様に『お告げの祈り(『アヴェマリアの祈り』を含む)』を捧げます。私が所属するカトリック成城・聖タデオ教会も、土曜日と日曜日の主日のミサの前にお祈りしています。

カトリック教会の鐘の音は、そのほとんどがアンジェラスの鐘です。日本では、長崎市の浦上天主堂にあるアンジェラスの鐘が有名ですね。東京の四ツ谷にあるカトリック麹町・聖イグナチオ教会のアンジェラスの鐘の音は大きく、『告げの祈り』が始まるのとほぼ同時に鳴りますから、聖堂の中までビンビン響いて聴こえてきます。ちなみに、仏教のお寺の鐘ですが、一般的に時報として鳴らす鐘は朝と夕方についているそうです。鐘をつく時刻はお寺により異なり、鐘をつく回数にも特に決まりはないそうです。でも、仏教の宗派や地域によりルールが決められている場合があるそうです。そして、大晦日につく「除夜の鐘」は、鎌倉時代に中国から伝わったそうですが、毎年12月31日の23時くらいから年を越した1日の深夜1時前あたりまで鐘をつくそうです。つく回数は、煩悩(ぼんのう)の数である108回というのが一般的ですが、200回もつくお寺もあるそうです。

◯掲載した絵は、ジャン=フランソワ・ミレーが1857年に制作した「晩鐘(ばんしょう)」です。フランスのパリにあるオルセー美術館の所蔵です。有名な絵画ですね。
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この絵の説明をします。
①バルビゾンのジャガイモ畑で収穫作業をする貧しい夫婦が、絵の右側遠くにフォンテーヌブローの森のはずれ、シャイイ村にある教会(尖塔が描かれています)から聞こえてくる午後6時のアンジェラスの鐘(お告げの鐘)に合わせ、敬虔に祈りを捧げているところを描いています。
②この絵は、厳粛に祈る敬虔な信徒の姿を象徴している絵として有名ですね。たぶん、当時の人々がそうであったように、この祈りを唱えた後は家路を急いだことでしょう。
③当時は、時計がまだ一般家庭にないころでしたので、この「お告げの祈り」を知らせる「アンジェラスの鐘(お告げの鐘)」が、時を知る大切な手段でもあったのですね。
④ちなみに、この絵の情景の細部ですが、一輪の荷車にある収穫物は地主に納めるためのものなのか、生活費を得るために売るジャガイモか、そのどちらかだと思われます。
⑤女性の前にある手さげ籠にあるジャガイモは、夫婦が食べるために持ち帰るものです。この絵が描かれた当時、ジャガイモはパンを食べられない貧しい人々の主食でした。

◯祈祷文は次のとおりです。
「主のみ使いのお告げを受けて、
マリアは聖霊によって神の御子を宿された。
『アヴェ・マリアの祈り』
アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、
主はあなたとともにおられます。
あなたは女のうちで祝福され、
ご胎内の御子イエスも祝福されています。
神の母聖マリア、
わたしたち罪びとのために、
今も、死を迎える時も、お祈りください。
アーメン。

わたしは主のはしため、
おことばどおりになりますように。
(引き続き『アヴェ・マリアの祈り』を唱えます。)

みことばは人となり、
わたしたちのうちに住まわれた。
(引き続き『アヴェ・マリアの祈り』を唱えます。)

神の母聖マリア、わたしたちのために祈ってください。
キリストの約束にかなうものとなりますように。

<祈願>
神よ、み使いのお告げによって、御子が人となられたことを知ったわたしたちが、キリストの受難と十字架をとおして、復活の栄光に達することができるよう、恵みを注いでください。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。 」
以上です。

◯そこで、実際は次のようにお祈りします。
先唱:「主のみ使いのお告げを受けて、」
会衆:「マリアは聖霊によって神の御子を宿された。」
先唱:「アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、主はあなたとともにおられます。あなたは女のうちで祝福され、ご胎内の御子イエスも祝福されています。」※『アヴェ・マリアの祈り』
の前半部分
会衆:「神の母聖マリア、わたしたち罪びとのために、今も、死を迎える時も、お祈りください。アーメン。」※『アヴェ・マリアの祈り』の後半部分

先唱:「わたしは主のはしため、」
会衆:「おことばどおりになりますように。」
(引き続き、上記の『アヴェ・マリアの祈り』の前半部分を先唱 → 後半部分を会衆の順で唱えます。)

先唱:「みことばは人となり、」
会衆:「わたしたちのうちに住まわれた。」
(引き続き、上記の『アヴェ・マリアの祈り』の前半部分を先唱 → 後半部分を会衆の順で唱えます。)

先唱:「神の母聖マリア、わたしたちのために祈ってください。」
会衆:「キリストの約束にかなうものとなりますように。」

<祈願>
先唱:「神よ、み使いのお告げによって、御子が人となられたことを知ったわたしたちが、キリストの受難と十字架をとおして、復活の栄光に達することができるよう、恵みを注いでください。わたしたちの主イエス・キリストによって。
一同:「アーメン。 」
以上です。
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