2023クリスマス・シリーズ:その14「クリスマス文学③・シークレット・サンタ」のお話し [キリスト教と読書]

今年もこのブログに「クリスマス・シリーズ(特集)」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっています。今日は、その14「クリスマス文学③・シークレット・サンタ」のお話しです。
アメリカで、ある町にラリーという青年がいました。1971年11月、23歳のラリー・スチュワートは、会社が倒産して路頭に迷ってしまいました。彼は貧しい家で育ち、「いつかお金持ちなってやる!」という野望を抱き、「お金持ちになれば幸せになれる!」と固く信じて会社を設立したのでした。
一週間余も何も食べていなかった彼は、気がつくとレストランで食事をしていました。お腹いっぱいになった彼の前には、19ドル少々の数字がかかれた伝票があります……が、お金はまったく持っていません。このままでは無銭飲食で捕まってしまう!……逃げようか?正直に話そうか?と思っていた彼に、レストランの店主が……。
「あの、これ落としましたよ。」と言って、20ドル札を差し出したのでした。内心<これは店主の勘違いだ!>と思ったラリーは平常心を装って、その20ドル札を受け取って無事に勘定をすませたのでした。無銭飲食の難を逃れた。「ラッキー!」と、その時はただそう思いました。

そして4年後……そして再び会社を設立しますが、また倒産してしまいます。莫大な借金を負ってしましまって今度こそもう駄目だと思い、銀行強盗をしようとします。そして、銀行に行ってピストルを出そうとしたまさにその時!ある記憶がよみがえりました……あのレストランでのことが……<あの20ドル札は本当に落し物だったのか?>、<本当に店主の勘違いだったのか?>と。
そこで、あの時のレストランに行って確かめたら、店主は意外なことを話しました。「クリスマスは誰もが幸せになれる日なんだよ。」と……彼は本当のことを知って号泣しました。無銭飲食で捕まらなかったのも、銀行強盗をしなくてすんだのも、あの20ドル札のおかげ……。

ラリーは今度こそ回心し、貧しくてもコツコツと働くことを決心しました。やがて結婚して子どもにも恵まれました。そんなあるクリスマスの日、ラリーはサングラスと帽子で素顔を隠し街に出ました。そして銀行の預金を全額おろして、20ドル札に替えたのです。そうです!お金に困っている人たちに20ドル札を配り歩いたのでした。人々に感謝されてラリーは嬉しさや喜びを感じました。
ところが、妻に黙ってやっていたものですから、ある時、気づかれてしまいます。<これは怒られるだろうな……>と思いましたが、予想外に妻の言葉は「あなたを誇りに思う。素敵なことじゃない。これからはもっと節約してたくさんの人を助けられるように協力するわ。」と。ラリーは、人々の役に立つ仕事をしたいと長距離電話の会社を設立しましたが、今度は大当たりして年収もかなり稼ぐ会社になりました。裕福になってからも、ラリーは27年間、名前を明かさず20ドル札を配り続けました。およそ約700万人の人に、総額約130万ドル(日本円で約1億8千万円)も!

名前を明かさない彼を、人々はいつしかこう呼びました。「シークレット・サンタ」と。そして、2007年1月12日、ラリーは癌のため58歳で静かに帰天(きてん:死ぬこと)しました。シークレット・サンタはもういなくなるのか……しかし、その年のクリスマスにもシークレット・サンタは現れたのです!彼の遺志を引き継いだ人達が、20ドル札を配ったのでした。
” クリスマスは全ての人が幸せになれる日 ” といわれています。経済的な貧困による不安定な社会、生活難からくる心理的苦痛等々、世の中にはそのような人々がたくさんいるのです。自分だけが幸せならばそれでいいと思う人は仕方ないのかもしれません。しかし、苦しい大変な時はお互い様です。そのような時にこそ人の為に尽くしせば、それ以上のものが返ってくるのではないでしょうか?!このクリスマスをあなたも誰かのために想いを馳せ、幸せがくるようお祈りしましょう!

【帰天】
天から授かった命が天に帰ること。つまり死ぬこと。

◯2023クリスマス・シリーズ(特集)の過去の記事は、次のアドレスをクリックして読んでください。
1.2023クリスマス・シリーズ:その1「クリスマス・マーケット」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-11-16
2.2023クリスマス・シリーズ・その2「アドベント・キャンドル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-02-1
3.2023クリスマス・シリーズ・その3「クリスマス・ツリー」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-03
4.2023クリスマス・シリーズ・その4「クリスマス・リース」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-04
5.2023クリスマス・シリーズ・その5「クリスマス・ケーキ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-05
6.2023クリスマス・シリーズ・その6「クリスマス・デコレーションの緑色と赤色」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-09
7.2023クリスマス・シリーズ:その7「クリスマス料理の七面鳥」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-10-1
8.2023クリスマス・シリーズ:その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-11
9.2023クリスマス・シリーズ:その9「クリスマス・キャンドルサービス」のお話し 
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-12-1
10.2023クリスマス・シリーズ:その10「クリスマス・イルミネーション」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-13-1
11.2023クリスマス・シリーズ:その11「シュトーレン」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-15
12.2023クリスマス・シリーズ:その12「クリスマス文学①・クリスマスキャロル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-16
13.2023クリスマス・シリーズ:その13「クリスマス文学②・クリスマスの鐘」
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-17
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。