2023クリスマス・シリーズ:その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話し [キリスト教と音楽]

今年もこのブログに「クリスマス・シリーズ(特集)」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっています。今日は、その8「クリスマス音楽・きよしこの夜」のお話しです。
数あるクリスマス・キャロルの中で、おそらく世界中で最も知られているのは、『きよしこの夜(サイレント・ナイト)』ではないでしょうか。クリスマス・キャロルにして聖歌であり賛美歌です。約300ヵ国語に訳され、キリスト教の宗派の別なく、キリスト教会であれば歌われています。キリスト教徒でなくても、この世の中に生きている限りこの曲に触れたことのない人はまずいないでしょうね。1818年12月25日にオーストリアのオーベルンドルフの聖ニコラウス教会で初演されました。

実は、この歌の誕生には次の物語(実話)があったのです。
1818年のクリスマスが近づいたある日、オーストリア、ザルツブルグ近郊の村オーベルンドルフでのことです。この村には、カトリックの聖ニコラウス教会がありました。クリスマスの準備がすっかり整った教会に、オルガン奏者が練習にやって来ました。しかし、ちっとも音がでません。ネズミがこの古いオルガンの “ ふいご ” をかじってしまって穴をあけてしまい、音を出すための空気を送れなくなっていたのです。これでは無理です。オルガンが壊れてしまっては、とにかくクリスマス・キャロルは歌えません。そこで主任司祭(神父様)に訳を話すと、ジョゼフ・モーア(モール)という神父様は、しばらく考えて、クリスマスの短い詩を書きました。
それから、友だちでオルガニストのフランツ・クサーヴェー・グルーバーに、ギターの演奏で歌えるクリスマス・キャロルの作曲を頼みました。そして、クリスマス・イブの夜半のミサの最後に、ギターの演奏で作曲された美しい歌が歌われました。これが、現在世界中で歌われている「きよしこの夜」なのです。作詞はカトリック教会のジョゼフ・モーア(モール)神父様、作曲はオルガニストのフランツ・クサーヴェー・グルーバー氏です。ちなみに、日本では明治時代にキリスト教の宣教が認められるようになって広まったそうです。一時は、小学校の教科書にも載りました。
【ふいご】
金属やガラスなどの精錬、加工用に使う簡単な送風装置のこと。空気ポンプの一種で、小さな手風琴型ふいごは手工業用、実験室用のほか、ビニルプールの空気入れなどに使われています。古語では「ふきかわ」(吹皮)とよぶように、元々は皮袋を意味し、タヌキやシカの皮がおもに使われていました。紀元前1500年ごろのエジプト王の墓標にもすでに皮袋型のふいごが刻まれているそうです。

◯2018年11月27日の日本経済新聞に「きよしこの夜 生誕200年」という記事が掲載されていましたのでご紹介いたします。(「日本経済新聞2018年11月27朝刊」から)
きよしこの夜2.jpg
◯『きよしこの夜』の原譜です。
きよしこの夜.jpg
◯写真は、新しい聖ニコラウス教会にある2人の記念像です。下がモーア神父様、発掘された頭骨からイメージされたと言われています。上のグルーバーは肖像画をベースに作られたそうです。ユニークな記念像ですね。
記念像.jpg
ところで、同じメロディーの『きよしこの夜』でも、カトリック教会の「聖歌」とプロテスタント教会の「讃美歌」では歌詞に違いがあります。それでは、①ドイツ語原詩、②英語歌詞、③カトリック教会聖歌の歌詞、④プロテスタント教会讃美歌の歌詞を掲載します。私の知っている歌詞(1番だけ掲載)は次のとおりです。
◯ドイツ語原詩
Stille Nacht, heilige Nacht,
Alles schläft; einsam wacht
Nur das traute hochheilige Paar.
(Nur das traute heilige Paar.)
Holder Knabe im lockigen Haar,
Schlaf' in himmlischer Ruh'!
(Schlafe in himmlischer Ruh'!)
Schlaf' in himmlischer Ruh'!
◯英語
(John Freeman Youngによる訳詞)
Silent night, holy night
All is calm, all is bright
Round yon virgin mother and child.
Holy infant, so tender and mild,
Sleep in heavenly peace,
Sleep in heavenly peace.
◯カトリック教会:カトリック聖歌集第111番『しずけき』
静けき真夜中
貧し厩(うまや)
神のひとり子は
御母(みはは)の胸に
眠り給う
安らかに。
◯プロテスタント教会:讃美歌『きよしこの夜』
きよしこの夜
星は光り
救いの御子(みこ)は
馬槽(まぶね)の中に
眠りたもう
いと安く。

余談ですが、私の三重県四日市市の実家は浄土真宗(真宗高田派)で、まったくキリスト教とは縁のない家でした。しかし、12月だけは「クリスマス」という行為?だけはやりました。それは、大きな鉢に植えたクリスマス・ツリー専用のもみの木にオーナメントを飾り付け、24日のクリスマス・イヴにはクリスマス・ケーキを家族で食べ、御多分に漏れずクリスマス・プレゼントもありました。それに父(88歳で他界)は、この『きよしこの夜』だけは歌詞の書いている紙を見ずに歌うことができました。
ちなみに、母(74歳で他界)は、市民合唱団に入ってメゾソプラノを担当して普段から讃美歌を歌っていましたから、『きよしこの夜』も市民合唱団のクリスマス・コンサートで歌っていました。ところが、父と母の歌う歌詞が違ったのを覚えています。私の記憶では、母が「この讃美歌の歌詞はいろいろあるんよ。」と言っていたと思います………ということは、母は讃美歌で父は聖歌を覚えていたのか?今となっては謎ですね( ̄▽ ̄;)

◯2023クリスマス・シリーズ(特集)の過去の記事は、次のアドレスをクリックして読んでください。
1.2023クリスマス・シリーズ:その1「クリスマス・マーケット」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-11-16
2.2023クリスマス・シリーズ・その2「アドベント・キャンドル」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-02-1
3.2023クリスマス・シリーズ・その3「クリスマス・ツリー」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-03
4.2023クリスマス・シリーズ・その4「クリスマス・リース」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-04
5.2023クリスマス・シリーズ・その5「クリスマス・ケーキ」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-05
6.2023クリスマス・シリーズ・その6「クリスマス・デコレーションの緑色と赤色」のお話し
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-09
7.2023クリスマス・シリーズ:その7「クリスマス料理の七面鳥」
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2023-12-10-1
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