『十字を切る祈り』のお話し [祈り]

「父と子と聖霊の御名(みな)によって アーメン」

過去に、このブログに何回か掲載した記事を一部修正・加筆して再掲載しています。
キリスト教のカトリック教会には、「十字を切る」という行為があります。聖堂に入る時、ミサの初めに、お祈りの前に、祝福する時、食事の初める時と終わる時、寝る時と起きる時、家を出る時、仕事を始める時と終わる時、その他にもいろいろと十字を切る機会があります。自称<ビビリ(怖がり)>な私の場合は、暗い夜道を一人で歩く時、危険な感じがする時、とにかく怖い時は十字を切っています。なぜって?怖いからです( ̄▽ ̄;)

いつどこでも最初に唱えますので、一番簡単な『信仰宣言』だと言われています。それを私の場合は『十字を切る祈り』と称しています。ある意味「お祈りのためのお祈り」とも言うべきものです。私は朝の祈り、ロザリオの祈り、始業・終業の祈り、就寝前の祈りを含めて一日に20回以上は十字を切ります。毎日続けていると、意識せず自然と十字を切るようになるのですが、とにかく十字を切ると落ち着くこと間違いなしです(*^▽^*)

◯祈祷文は次のとおりです。
「父と
子と
聖霊(せいれい)の
御名(みな)によって
アーメン」

次にラテン語で表記します。
「In Nomine Patris,
et Filii,
et Spiritus
Sancti、
Amen.」

無謀なことと知りつつもカタカナで表記します。
「イン ノ-ミネ パトリス
エト フィーリイ
エト スピーリトゥース
サンクティ
アーメン」
以上のとおりです。

◯このお祈りの意味は、次のとおりです。
父とは、創造主であるイエス・キリストの父なる神様のことです。父なる神様は、私たち信徒の父でもあります。子とは、父なる神様の子であるイエス・キリストのことです。聖霊とは、父なる神様と子であるイエス・キリストから出る私達の救いとなる霊のことです。キリスト教の神様は、父なる神様と子であるイエス・キリストと聖霊の3つのペルソナ(位格)が一体となる『三位一体』の神様です。意味は、「父なる神様と子であるイエス・キリストと聖霊の尊い御名(みな)をもって神様の愛と一つになります。」となります。「アーメン」は、「そのとおりになりますように。」という意味ですね。

キリスト教の信徒は、古代キリスト教の初代教会時代から、『信仰宣言』で「十字架にかけられ、死んで、葬られ、黄泉(よみ)に降り、3日目に死者のうちから復活されたイエス・キリストを救い主(メシア)を信じます。」ということを信じてきました。この「信じています。」ということを表すため、また、十字架上ですべての人間の罪を背負って死んでいかれたイエス・キリストを十字を切る度に思い起こすために、<十字架のしるし>を行ってきました。このしるしは、このお祈りをする時に右手で十字を切りながら「父と子と聖霊の御名(みな)によって。アーメン」と唱えながら表現します。

この「父と、子と、聖霊のみ名によって。アーメン」は、キリスト教における最強、完璧かつ究極的なお祈りです。カトリック教会には多くのお祈りがありますが、キリスト教の「三位一体」の神を表し、その御名(みな)をもっての祈祷文ですから、これ以上のお祈りは最高である『主の祈り』を除いて他にはありません。闇の支配者サタンの勢力もこの祈りの言葉の前では勝てません。ちなみに、プロテスタント教会のほとんどの教派は十字を切りません。ですから、海外のサッカー、バスケットや野球などのスポーツで、十字を切っている選手を見かけたら、ほぼカトリック教会の信徒ということですね。

ちなみに、アイススケートで冬季オリンピック2大会連続金メダリストで超有名な羽生結弦選手は、演技をスタートさせる前に胸の前で十字を切っています。テレビで観ていて「あっ!羽生選手はクリスチャンなんだ~。十字を切るくらいだから私と同じカトリック教会のクリスチャンなんだ~。」と思いましたが、後でよく調べてみたら、羽生選手は身体の軸(中心線となる縦軸と横軸)を意識し、身体を保つため(おまじない?)で十字を切っているということが分かました。そういう意味での十字の切り方というか、使用方法もあったのですね。 ということで、クリスチャンではなかったのでした(⌒-⌒; )

◯それでは、実際にお祈りをします。順を追って見てみましょう。
このお祈りをする時は、
①「父と、子と、聖霊のみ名によって。アーメン」と祈祷文を唱えながら、
②右手で十字を切ります。
要領は次のとおりになります。
1.まず最初に左右両方の手のひらを胸の前で合わせて一礼します。この場合は、仏教のような左右の手のひらをピッタリと密着させるようなことではなく、両手の指先と手元はひっつけますが、手のひらはひっつけず、ふっくらとさせます。左右の親指は交差させます。右手の親指を上して✕印にします。

2.次に左手は、最初から手のひら(指)を真っ直ぐに伸ばして胸に当てます。下の図では、なぜか左手をお腹に当てていますが、一般的には胸に当てます。

3.右手の手のひら(指)を揃えて(指を伸ばし過ぎず)、手の一番先の人差し指と中指の先を “ 額の中央 ” に触れて「父と」と唱えます。

4.次に、その手をお腹の辺りに持っていき “ みぞおち ” 部分に触れて「子と」と唱えます。

5.次に、その手を左肩の辺りに持っていき “ 左肩の前面 ” に触れて「聖霊の」と唱えます。

6.次に、その手を右肩の辺りに持っていき “ 右肩の前面 ” に触れて「み名によって」と唱えます。

7.左右両方の手のひらを胸の前で合わせて「アーメン」と唱えます。
以上です。

◯上記の1~7の動作を次の絵を見ながら連続して行います。
十字を切る.png
この絵では、左上の絵から → 右 → 右 → 左下→ 右 → 右の順番です。十字を切る手順は、上(額) → 下(みぞおち) → 左(左肩前) → 右(右肩前) となります。ただし、キリスト教の正教会(ギリシャ正教会、ロシア正教会、日本正教会など)は、上 → 下 → 右 → 左となり、カトリック教会とは左右が逆になります。私がある神父様から聞いた話しでは、カトリック教会も元は正教会と同じ上 → 下 → 右 → 左だったそうです。

注意したいことは、十字を小さく早く切る人が案外といるのです。それがいかにも謙虚で控えめのような姿勢で、いかにもそれが美徳であるように受けとられているようですが、これはまったくの間違いですね。きちんと大きく(=正確に)ゆっくりと十字を切ることが大切です。前教皇の故ベネディクト16世は、神学生が小さく十字を切っているのを見て、正確にきちんと大きく十字を切るように厳しく指導されたとのことですよ。
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