「聖ヨハネ使徒福音記者」のお話し [聖人・福者・尊者]

今日12月27日は、「聖ヨハネ使徒福音記者」の祝日です。
イエス・キリストの12使徒(弟子)の一人、ゼベダイの子使徒聖ヤコブの兄弟で、使徒聖ペテロと使徒聖ヤコブと共に、イエス・キリストの<主の変容>、<ゲッセマネでの祈り>や<イエス・キリストの磔刑>など、重要な場面では必ず証人として立ち会っており、聖霊降臨の後は、使徒聖ペトロと共にエルサレム教会の指導者でした。特にイエス・キリストに愛された弟子でした。

私の大好きな画家のエル・グレコの「福音書記者聖ヨハネ」です。スペイン・マドリードにあるプラド美術館蔵です。絵の左下の盃に龍のような生物が入っているようですが、これは、聖ヨハネを描く際のアトリビュートになっています。聖ヨハネがエフェソで宣教活動をしている時に、盃に毒を入れられたにもかかわらず、無事であったという故事に基づいています。
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今日のミサでの朗読は『ヨハネの第一の手紙』の初めが読まれ、『ヨハネによる福音』の冒頭を想起させます。『ヨハネによる福音書』の第1章・第1節には、「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」とあり、「初め」、「言」、「共に」は、ミサの朗読にも使われています。これは、キリストが天地創造の初めから存在していたことを私たちに知らせています。

第1節~第2節でこのキリストがこの世に誕生し、人間として生きたことが述べられています。「わたしたちが聞いたもの、目で見たもの、よく見て、手で触れたもの」からイエスがこの世に誕生し、福音を宣べ伝えたことは、確かな事実と分かります。そして、これを見、聞いた人は、聞き見たままに伝えます。それが、大きな喜びとなっていくことを希望して手紙を書いています。

◯新約聖書:ヨハネによる福音書・第20章~第21章は、イエス・キリストの復活とその顕現が述べられていますが、今日の朗読は、その最初の箇所になっています。
マグダラのマリアから、「主が墓から取り去られました」と知らされた使徒聖ペトロともう一人の弟子(聖ヨハネ使徒のこと)は、墓に向かって走ります。「もう一人の弟子」と4回も書かれていますが、それは2節にあるように、「イエスが愛しておられた」弟子です。彼は、最後の晩餐では「イエスの胸もとに寄り」(第13章・第25節)、十字架のそばで、「イエスの母を自分の家に引き取り」(第19章・第27節)、「…わたしの来るときまで彼が生きていることを、わたしが望んだ…」(第21章・第22節)と言われたヨハネ福音の著者と言われています。彼は、イエスの愛に気づき、支えられ、復活の証人となったのです。

【アトリビュート】
西洋絵画、特に宗教画(キリスト教絵画)には、「アトリビュート(=持物:じぶつ)」というものがあります。これは、絵を描く時の“約束事”として、特定の人物(聖人など)に密接に結びつけられたもの、例えば花、動物、小物、道具や背景などが画かれるのです。
例えば、聖母マリア様ですと、必ず画かれているのが純潔の象徴である「百合の花」ですね。「受胎告知」の絵で、大天使ガブリエルが百合の花を持っています。そして、天の真実を意味する「青色(濃紺色)のマント」です。「祈りの聖母」と「悲しみの聖母」の絵もそうですね。他にも、「12の星の冠」や足の下に「三日月」と「蛇」が画かれています。聖母マリア様の絵を見るときはよく観察しましょうね。
他にも、聖母マリアの夫である聖ヨセフは、大工であったことから大工道具がアトリビュートになっていますし、聖アガタは、乳房を切り取られたことから、乳房がアトリビュートになっています。旧約聖書の「トビト記」に出てくるトビアスを描いた絵は、必ず魚が画かれています。(「トビト記」を読めばわかります。)マグダラのマリアの絵は、必ず香油の壺とドクロが画かれています。
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