『貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死』のご紹介 [貧困問題]

日本の貧困問題について、先々月からいろいろな本を読んでいますが、これから順次ご紹介いたします。まず、今日は『貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死』のご紹介です。本書の内容について、中央公論社のホームページから掲載いたします。
「<日雇労働者の町>と呼ばれ、高度経済成長期に頻発した暴動で注目を集めた大阪のあいりん地区(釜ヶ崎)。現在は高齢化が進むなか、「福祉の町」として知られる。劣悪な住環境、生活保護受給者の増加、社会的孤立の広がり、身寄りのない最期など、このエリアが直面している課題は、全国の地域社会にとっても他人事ではない。本書は、貧困の地域集中とその対策を追った著者による現代のコミュニティ論である。」と本書の概要(内容)を説明しています。
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大阪の「あいりん地区」は、全国的に有名ですので、東京の「山谷地区」や横浜の「寿町」と同じように、ホームレスの方などの生活困窮者が集まるところだと知ってはいました。しかし、それ以上の詳細についてはわかりませんでした。著者の白波瀬氏は、あいりん地区で10年以上も地道に現地調査を続けられた方で、「現在の状況が続けば、行政の負担は増して貧困は社会から見えない場所に追いやられる。生活困窮者を特定の地域に集中させるのではなく、各地域の受け入れを増やしていかねば、問題は根本的に解決しないのではないか。」と説いておられます。

私は東京の山谷地区でホームレス支援活動を行っていますが、物的支援だけでは根本的な支援にはならず、<焼け石に水>ではないかと思ってしまう時もあります。本書を読んで、なんとかして行政と民間が一体となって解決策を見出していかないと、根本的な生活困窮者への救済策は見出せないのではないかと思いました。それでも、自分たちの現状の活動能力を自覚して、今できる生活困窮者の救済のための支援活動を継続することが急務であると強く感じ入ったしだいです。イエス・キリストは、「隣人をあなた自身のように愛しなさい」と説いておられます。(新約聖書:『マタイによる福音書』第22章・第39節)大切なことは「隣人への愛」とそのための「善き行い」ですね。

著者:白波瀬 達也
1979年京都府生まれ。2008年、関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程単位取得退学。大阪市立大学都市研究プラザ博士研究員などを経て、関西学院大学社会学部准教授。社会学博士。専門社会調査士、社会福祉士。2007年から2013年にかけて地域福祉施設「西成市民館」でソーシャルワーカーとして活動。専門は福祉社会学、宗教社会学、質的調査法。論文「あいりん地域における居住支援―ホームレス支援の新たな展開と課題」が2016年度日本都市社会学会若手奨励賞を受賞
出版:中央公論新社(中公新書)
発行:2017年2月19日
定価:880円(税込み)
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