『パステルによるシャガールの聖書』のご紹介 [聖書]

◯シャガールの作品『イサクの燔祭(はんさい)』の絵です。
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◯レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン(ネーデルラント連邦共和国(現在のオランダ):1606年~1669年)の作品『イサクの犠牲』です。
レンブラント.jpg
今日は、『パステルによるシャガールの聖書(写真上)』のご紹介です。解説はピエール・プロヴォワユール、邦訳は幸福 輝氏です。岩波書店から1986年に出版され(現在は絶版)、全172ページの大型本です。定価は14000円+税です。この聖書は、ある方から受洗(洗礼を授かること)の記念にいただいたものです。
マルク・シャガール(フランス(ロシア生まれ・現在のベラルーシ)1887年~1985年)は20世紀に活躍した画家です。シャガールにとって聖書は最も重要な霊感源であり,彼の芸術を支える詩でもありました。この本(聖書)は、「シャガール聖書美術館」に収蔵されているエスキース97点のパステル画のうち79点をカラー図版で再現し、収録している全作品の目録を付したものです。

見開きで映っている写真(写真中)の絵は、旧約聖書の創世記にある有名な「イサクの燔祭(はんさい)」を画いたものですね。「燔祭(はんさい)」とは、供物が供壇で焼尽されて神に捧げる儀式のことです。旧約聖書の「レビ記」で、モーセが定めた供犠の1つのことです。供物として、雄牛、羊、やぎ、ハトのみが用いられました。その目的は神の崇敬と賛美、神への感謝、祈願、贖罪の4つに大別されています。

◯旧約聖書:創世記・第22章・第1~第18節
「これらのことの後で、神はアブラハムを試された。神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、「はい」と答えると、神は命じられた。「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」
次の朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き、献げ物に用いる薪を割り、二人の若者と息子イサクを連れ、神の命じられた所に向かって行った。三日目になって、アブラハムが目を凝らすと、遠くにその場所が見えたので、アブラハムは若者に言った。「お前たちは、ろばと一緒にここで待っていなさい。わたしと息子はあそこへ行って、礼拝をして、また戻ってくる。」アブラハムは、焼き尽くす献げ物に用いる薪を取って、息子イサクに背負わせ、自分は火と刃物を手に持った。二人は一緒に歩いて行った。イサクは父アブラハムに、「わたしのお父さん」と呼びかけた。彼が、「ここにいる。わたしの子よ」と答えると、イサクは言った。「火と薪はここにありますが、焼き尽くす献げ物にする小羊はどこにいるのですか。」アブラハムは答えた。「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の小羊はきっと神が備えてくださる。」二人は一緒に歩いて行った。
神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。そのとき、天から主のみ使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。彼が、「はい」と答えると、み使いは言った。「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」
アブラハムは目を凝らして見回した。すると、後ろの木の茂みに一匹の雄羊が角をとられていた。アブラハムは行ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。アブラハムはその場所をヤーウェ・イルエ(主は備えてくださる)と名付けた。そこで、人々は今日でも「主の山に、備えあり(イエラエ)」と言っている。
主のみ使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。み使いは言った。「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。」
『新共同訳聖書』から

このイサクの燔祭(はんさい)は、アブラハムの前に立ちはだかった試練の物語です。その試練とは、不妊の妻サラとの間に年老いてからもうけた愛すべき一人息子イサクを生贄に捧げるよう、彼が信じる神によって命じられるというものでした。この試練を「行い」として乗り越えたことにより、アブラハムは模範的な信仰者としてユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラーム(イスラム教)によって現在でも讃えられています。信仰には行いが伴なうのです。シャガールの絵をよく見ると、右上の方に十字架のイエス・キリストも画かれています。これは、イエス・キリストも父なる神によって燔祭(はんさい)とされたからですね。
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