典礼聖歌集第352番「聖霊の続唱」のお話し [聖歌日記]

今日3月31日の「復活の主日」と、その後の復活節最終日にあたる5月19日の「聖霊降臨の主日」で、両日とも「続唱(ぞくしょう)」が歌われます。この続唱についてカトリック中央協議会のホームページから説明文を引用いたします。

「復活の主日と聖霊降臨の主日のミサでは、アレルヤ唱の前に続唱が歌われます。続唱とはラテン語の「セクエンツィア(Sequentia)」の訳で、「連続」、「続き」という意味です。中世のころ、アレルヤ唱の「アレルヤ(Alleluia)」の最後の「ヤ(ia)」の母音aに、装飾的な旋律が付けられるようになりました。9世紀以降、装飾的に音符が続く部分に後から歌詞を当てはめ、後にこの部分のみがアレルヤ唱から独立して「続唱」として歌われるようになったといわれます。かつてはアレルヤ唱に続けて歌われましたが、現在はアレルヤ唱と福音朗読の結びつきを重視して、アレルヤ唱の前に歌うことになっています。

復活の主日のミサでは、復活の続唱(Victimae paschali laudes)を歌います。この続唱は、ブルグンドのヴィポ(Wipo Bulgundus、10世紀末~1050年ごろ)によって11世紀初めに作られたといわれます。復活の続唱は、復活の月曜日から復活節第2主日までのミサでも任意で歌うことができます。
聖霊降臨の主日のミサでは、「聖霊の続唱(ヴェニ・サンクテ・スピリトゥス:Veni, Sancte Spiritus)」を歌います。この続唱は「黄金の続唱」とも呼ばれる代表的な続唱です。作者に関しては諸説がありますが、イギリスのカンタベリー大司教であったステファヌス・ラングトン(Stephanus Langton、1155年頃~1228年)とする説が有力です。」とあります

今日は、「聖霊の続唱」について書いてみました。まず、典礼聖歌集352番「聖霊の続唱」の歌詞を見てみましょう。この歌詞は、聖霊降臨を願う祈りの祈祷文でもあります。
「聖霊来てください。
あなたの光の輝きで、
わたしたちを照らしてください。
貧しい人の父、心の光、証の力を注ぐ方。
やさしい心の友、さわやかな憩い、ゆるぐことのないよりどころ。
苦しむ時の励まし、暑さの安らい、憂いの時の慰め。
恵み溢れる光、信じる者の心を満たす光よ。
あなたの助けがなければ、すべてははかなく消えてゆき、
だれも清く生きてはゆけない。
汚れたものを清め、すさみをうるおし、受けた痛手をいやす方。
固い心を和らげ、冷たさを温め、乱れた心を正す方。
あなたのことばを信じてより頼む者に、尊い力を授ける方。
あなたはわたしの支え、恵みの力で、救いの道を歩み続け、
終わりなく喜ぶことができますように。
アーメン。
アレルヤ。」

前述した説明文にありましたように、続唱(セクエンツィア:Sequentia) は、アレルヤ唱(Alleruia)に続けて歌われるため、"Sequentia" はラテン語の “sequor"「〜に続く」という言葉が由来になっています。現在はアレルヤ唱の前に歌われます。9世紀から15世紀にかけて多くの曲が作られましたが、16世紀半ばのトリエント公会議で4つの曲を残して廃止されたそうです。その後、1727年に聖母マリアの祝日の「悲しみの聖母」が追加され、次の5曲が公認の曲になりました。
5つの続唱(セクエンツィア:Sequentia)
1.「復活のいけにえに」:復活祭
"Victimae paschali laudes"
2.「来たりたまえ聖霊」:聖霊降臨祭
“Veni Sancte Spiritus"
3.「シオンよ汝の救い主を讃えよ」:聖体の祝日
“Lauda Sion"
4.「怒りの日」:レクイエム
“Dies irae"
5.「悲しみの聖母」:聖母マリアの祝日
“Stabat Mater"

聖霊降臨の主日に歌うのは典礼聖歌の「聖霊の続唱」です。この聖霊の続唱の旋律は、なんとなくグレゴリオ聖歌の"Veni Sancte Spiritus"の旋律を感じることができます。作曲した方が「グレゴリオ聖歌の旋律を遠く思い起こして」作曲されたそうです。典礼聖歌の「聖霊の続唱」は日本語、"Veni Sancte Spiritus"はラテン語ですが、の歌詞の内容はほぼ同じです。
◯ 『聖霊来たりたまえ(ヴェニ・サンクテ・スピリトゥス:Veni Sancte Spiritus)』
[A]
Veni, Sancte Spiritus, 聖霊来たり給え
Et emitte coelitus 天より御光の輝きを放ち給え
Lucis tuae radium.
Veni, Pater pauperum,  貧しき者の父、
Veni, dator munerum, 恵みの与え主、
Veni, lumen cordium. 心の光にます御者来たり給え。

[B]
Consolator optime, いと優れたる慰め主、
Dulcis hospes animae,  霊魂の甘美なる友、
Dulce refrigerium: 心の和やかなる楽しみ。
In labore requies, 疲れたる時の憩い、
In aestu temperies, 暑き時の涼しさ、
In fletu solatium. 憂うる時の慰め。

[C]
O lux beatissima, 至って幸いなる光よ、
Reple cordis intima, 主を信じる者の心に来たり満ち給え。
Tuorum fidelium. 
Sine tuo numine, 主の御助けあるにあらざれば、
Nihil est in homine, 人には罪ならざる所なからん
Nihil est innoxium,

[D]
Lava quod est sordidum, 乞い願わくば汚れたるを清め、
Riga quod est aridum, 乾けるを潤し、
Sana quod est saucium. 傷つけられたるを癒し給え。
Flecte quod est rigidum, 固きを和らげ、
Fove quod est frigidum, 冷えたるを暖め、
Rege quod est devium. 曲がれるを直くし給え。

[E]
Da tuis fidelibus, 主を頼む信者に
In te confidentibus,
Sacrum septenarium. 神聖なる七つの賜を施し給え。
Da virtutis meritum, 善徳の功を積み、
Da salutis exitum, 救霊の彼岸に至り、
Da perenne gaudium. 永遠に喜ぶを得しめ給え。

[F]
Amen, アーメン、
Alleluia.  アレルヤ。
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