小泉信三のことば [キリスト者(クリスチャン)]

「練習ハ不可能ヲ可能ニス」

小泉信三の言葉です。このブログに2回目の登場です。小泉 信三(こいずみ しんぞう:1888年~1966年)は、キリスト教日本聖公会のクリスチャンで、経済学者、今上天皇(現在の天皇陛下)の皇太子時代の師父です。戦前の1933年から1946年まで慶應義塾長(慶応義塾大学)を務めました。1954年にコロンビア大学から人文学名誉博士号を贈与され、1959年には文化勲章を受章されています。

1943年10月16日開催の出陣学徒壮行早慶戦(通称「最後の早慶戦」)は、「学徒出陣に赴かざるを得ない学生らに、せめてもの最後の餞を残したい。それには早慶戦が相応しい。」との小泉信三の思いから始まったそうです。小泉は慶大野球部の部長・主将を通じ、早稲田大学野球部(飛田穂洲監督)に試合を頼み込みました。早稲田大学野球部はこれを快諾しましたが、早稲田大学側は軍部や文部省の圧力に屈して、試合の申し出を承諾出来ずにいました。

そのため、早稲田大学野球部は大学当局の反対を押し切って試合を挙行し、試合が行われた戸塚球場に招かれた小泉は、早稲田大学側による特別席への案内を「私は学生と一緒の方が楽しいです。」と断り、学生席で観戦したそうです。当時、敵国アメリカのスポーツであった野球に対する弾圧をただ一人体育審議会でその無意味さを説き、強烈な反対の論陣をもって軍部や官僚たちを沈黙させたのも小泉信三の功績です。1976年に野球殿堂入りしています。

後に、『ラストゲーム 最後の早慶戦』として、試合から65年にあたる2008年に映画化されました。(小泉信三役を石坂浩二が演じました。石坂浩二は、慶應中、慶應高、慶應大卒です。)この言葉は、慶応義塾大学日吉キャンパスにある碑に刻まれています。学者らしい整然とした言葉のようにも聞こえるのですが、私には、この言葉の奥底にある、氏の学生を“叱咤激励”するような情熱ある言葉に聞こえます。この世の中のすべてのことに当てはまる言葉ですね。
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