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「マスカーニのアヴェ・マリア 」のお話し [キリスト教と音楽]

今日は、5月の「聖母月」にちなんで、このブログに2020年6月16日に掲載したマスカーニのアヴェ・マリア のお話し」を一部加筆して掲載いたします。このマスカーニのアヴェ・マリアは、私が愛してやまない歌曲です。『アヴェ・マリア』という名称の曲は、たくさんの作曲家が作曲していますが、これは、ピエトロ・マスカーニ(イタリア:1863年~1945年)によって作曲された歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲に、後に『アヴェ・マリア』の歌詞がつけられたもので、歌詞がつけられてからは『マスカーニのアヴェ・マリア』と呼ばれるようになり、悲しみに囚われている”救済を求める歌“となっています。私は、高校時代に、この間奏曲を吹奏楽版にアレンジしたものを吹奏楽部の定期演奏会で演奏しました。思い出の曲ですね。

歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』は、イタリアの小説家、ジョヴァンニ・ヴェルガによる小説(1880年出版)、同人による戯曲(1884年初演)及びピエトロ・マスカーニが同戯曲に基づいて作曲した1幕物の歌劇(1890年初演)です。題名は「田舎の騎士道」といった意味です。ヴェルガの出身地シチリアの山間部を舞台として、貧しい人々の暮らし、三角関係のもつれから起きる決闘と殺人を描いたこの小説は、イタリアにおけるヴェリズモ(リアリズム文芸運動)の典型的作品とされています。マスカーニ作曲の歌劇は、1890年に完成し、楽譜出版社ソンゾーニョ社主催の1幕物オペラ・コンクールで圧倒的な支持を受けて優勝、マスカーニはたちまちオペラ界の寵児となりました。

◯歌劇のあらすじ
<時と場所> 
1890年頃、イタリアのシチリア島
<登場人物>
サントゥッツァ(若い村娘)
トゥリッドゥ(兵隊帰りの青年)
ルチア(トゥリッドゥの母)
アルフィオ(馬車屋)
ローラ(アルフィオの妻)
ほか
<第1幕>『カヴァレリア・ルスティカーナ』は1幕のみの作品です。
時は1890年頃、舞台はイタリアのシチリア島にある村。復活祭の朝、村娘のサントゥッツァは、恋人のトゥリッドゥの母である居酒屋の女将ルチアに会いに行きます。そして、恋人のトゥリッドゥはどこに行ったのかと問いました。実はサントゥッツァは昨夜、彼が昔の恋人ローラの家の近くにいたことを聞いていたのです。ローラはトゥリッドゥが戦争に行っているときに馬車屋アルフィオの妻となってしまい、トゥリッドゥはその気晴らしにサントゥッツァと付き合っていました。それはそれでうまくいっていたのですが、嫉妬深いローラは人妻にもかかわらず、再び彼に接近して彼の気を奪ったのでした。
 
トゥリッドゥを奪われたサントゥッツァは悲しみますが、彼の母ルチアとしても何もできません。やがて礼拝の時間となり、ルチアを始め人々は教会に入っていきます。サントゥッツァは結婚の前に男性と関係を持ったため教会には入れず、外にひとり残されました。
そこへトゥリッドゥがやってきます。サントゥッツァは彼に昨夜の居場所を問い詰めましたが彼は聞く耳を持ちません。それどころかそこへやって来たローラとともに教会に入っていこうとします。サントゥッツァは彼にすがりつきましたが、突き倒されました。
サントゥッツァが地に伏せて悲しんでいると、そこにローラの夫アルフィオが通りかかります。激昂していたサントゥッツァは、アルフィオに事の次第を打ち明けました。アルフィオはそれを聞いて激怒しトゥリッドゥへの復讐を誓いますが、我に返ったサントゥッツァはトゥリッドゥの命を心配して後悔しました。
 
教会から出てきたトゥリッドゥは、母ローラの居酒屋で友人達と酒を飲んでいました。そこへアルフィオが現れたので、トゥリッドゥは彼にも酒を勧めましたが、アルフィオはそれを拒みます。異様な雰囲気からトゥリッドゥは全てを察し、アルフィオに決闘を申し込みます。トゥリッドゥは酔ったふりをして母ルチアに別れを告げて、もし死んでしまったらサントゥッツァの面倒をみてほしいと頼み、決闘の場へ向かいました。
決闘の結果、人々の悲鳴と共に「トゥリッドゥが殺された」と村娘が叫ぶ声が聞こえ、母ルチアとサントゥッツァは気を失い、地に倒れたのでした。

『アヴェ・マリア』の歌詞を3分割にして説明します。
・.イタリア語
「Ave Maria,madre Santa,
Sorreggi il piè del miser che t'implora,
In sul cammin del rio dolor
E fede e speme gl'infondi in cor.」
・無謀ですがカタカナ読みです
「アヴェ マリア マドレ サンタ
ソーレッジ イル ピエ デル ミゼーロ ケ ティンプローラ
イン スル カンミン デル リオ ドロール
エ フェーデ エ スペーマ リンフォンディ イン コール」
・日本語訳
「アヴェ・マリア、聖なる母よ、
あなたに懇願する哀れな人間の足を支えて下さい、
苦しむ罪悪の道の上に
そして信仰と希望を彼の心に呼び覚まして下さい。」
・単語訳
Ave Maria/アヴェ・マリア
madre/母、母親
Santo/聖なる
sorreggere/支える、支援する
il/(英:the)
piè/足
del→di+il/~の+(英:the)
miser/貧困、惨めさ
che/~するところの
t'implora→ti+implorare/あなたに + 切に願う、懇願する
in/~の中に、~の中で
sul→su+il/~の上に
(in su/上に、上を)
cammino/歩行、道のり、歩み
rio/罪人、罪悪
dolore/苦痛、痛み、苦悩
e/そして
fede/信用、信仰
speme/希望、期待
gl'infondi→gli+infondi(infondere)/彼に+呼び覚ます、吹き込む
core/心

・イタリア語
「O pietosa, tu che soffristi tanto,
Vedi, ah! Vedi il mio penar.
Nelle crudeli ambasce d'un infinito pianto,
Deh! Non m'abbandonar.」
・無謀ですがカタカナ読みです
「オー ピエトッサ トゥ ケ ソッフリスティ タント
ヴェディ アー ヴェディ イル ミオ ペナール
ネレ クルデーリ アンバッシェ ドゥン インフィニート ピアント
デー ノン マッバンドナール」
・日本語訳
「おぉ、慈悲深い人よ、あなたは大いに苦しまれた
見て下さい、あぁ!私の苦しみを見て下さい。
とめどない涙のむごい苦悩の中に
お願いだから!私を見捨てないで下さい。」
・単語訳
o/おぉ
pietoso/慈悲深い(人)、哀れみ深い(人)
tu/君は、あなたは
soffrire/~に苦しむ
tanto/非常に、大いに、とても
vedere/見る
ah/あぁ
mio/私の
penare/苦しむ
nelle→in+le/~に+(英:the)
crudele/残忍な、むごい、つらい、苦しい
ambasca/苦悩
d'un→di+un/~の+(英:a)
infinito/無限の、限りない
pianto/涙
deh/お願いだから、あぁ、なんたることか
non/~ない
m'abbandonar→mi+abbandonare/私を+捨てる、見捨てる

・イタリア語
「Ave Maria! In preda al duol,
Non mi lasciar, o madre mia, pietà!
O madre mia, pietà preda al duol,
Non mi lasciar, o madre mia, pietà!」
・無謀ですがカタカナ読みです
「アヴェ マリア イン プレダ アル ドゥオール
ノン ミィ ラッシャー オー マドレ ミア ピエタ!
オー マドレ ミア ピエタ イン プレダ アル ドゥオール
ノン ミィ ラッシャー オー マドレ ミア ピエタ!」
・日本語訳
「アヴェ・マリア!悲しみの餌食の中に
私を放置しないで下さい、おぉ我が母よ、哀れみを!
おぉ我が母よ、哀れみを!悲しみの餌食の中に
私を放置しないで下さい、おぉ我が母よ、哀れみを!」
・単語訳
preda/餌食、犠牲
al→a+il/~に、~の+(英:the)
duolo/悲しみ、苦悩
mi/私を
lasciare/残す、置いておく
mio/私の
pietà/哀れみ

是非ともCDで聴いていただきたい歌ですね。私の大好きな世界三大テナーの一人で、スペインの大テナー歌手プラシド・ドミンゴが歌っている次のCDがお勧めです!このCDの最初に収録されているのが『アヴェ・マリア』ですが、ノルウェーのソプラノ歌手のシセル(Sissel:1969年~ )との共演で、とっても素晴らしい曲になっています。
◯『天使の糧~ドミンゴ・セイクリッド・ソングズ』
レーベル:DEUTSCHE GRAMMOPHON
発 売 元:ユニバーサルミュージック合同会社
発 売 国:日本
発 売 日:2002年9月1日
録 音 年:2002年2月
録音場所:イタリア:ミラノ
指 揮 者:マルチェロ・ヴィオッティ
演 奏 者:プラシド・ドミンゴ(テノール)
演奏楽団:ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団
合 唱 団:ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響合唱団
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CDの説明から
このディスクのテーマは祈りである。祈りにもいろいろあるが、ここでドミンゴが陶然と歌いあげているのは、甘美な恍惚を誘う、ロマンティックな祈りの世界。歌に濃密な感情を込めることにおいて、ドミンゴはまさに圧倒的なプロであり、それぞれの歌の深みは、聴くほどににじみ出てくる。バックのミラノ・ヴェルディ交響楽団がまた共感にあふれた最高の響きを聴かせる。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲のうっとりと悲しくせつないメロディは、百万言を費やしても讃えきれないほど永遠だと思うが、ここでアヴェ・マリアの歌詞をつけてドミンゴがしっとりと歌い、ノルウェー生まれの歌手・女優のシセルがしなやかな声でささやく語りを加えるアレンジは、誰にでも何の違和感もなく浸れる自然なもの。ジャンルを超えた、ひとつの素晴らしい歌としてあらゆる人に聴いてほしい。(以下省略)
収録曲
1.『アヴェ・マリア(マスカーニ) - 歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲からの編曲』
2.『キリエ(ルスティケッリ)』
3.『天使の糧(フランク)』
4.『祈り(3つの愛)(アルバレス)』
5.『アヴェ・マリア(J.S.バッハ/グノー) - J.S.バッハ《平均律クラヴィーア曲集》第1巻 第1番 プレリュードからの編曲』
6.『千人の天使の合唱(シューベルト) - 子守歌 D.498と《ロザムンデ》D.797のバレー音楽第9曲のメロディから』
7.『サンクトゥス(グノー) - 《聖チェチーリア祝日のためのミサ・ソレムニス》から』
8.『汝我とともにあれば(シュテルツェル) - 伝J.S.バッハ作《アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳》BWV 508(1725)から』
9.『なつかしい木陰 - オンブラ・マイ・フ(ヘンデル) - 歌劇《セルセ》HWV 40から』
10.『ドミネ・デウス(主なる神)(ロッシーニ) - 《小ミサ・ソレムニス》から』
11.『懺悔(グノー) - 祈りの形式での情景』
12.『すべての山に登れ(ロジャース) - 《サウンド・オブ・ミュージック》から』
13.『アヴェ・マリア(P.ドミンゴ Jr.)』
14.『天使(ワーグナー) - ヴェーゼンドンク歌曲集 第1曲』
15.『汝ら民よ、心を引き裂け - 汝ら心つくして我を求めれば(メンデルゾーン) - オラトリオ《エリヤ》作品70から』
16.『祈り(トスティ)』
<共演しているセシルの略歴>
1969年6月24日、ノルウェー西岸に位置する第2の都市ベルゲンに生まれ。8歳の時に聖歌隊に入り、徐々に歌唱力を磨き、やがてその歌唱力がノルウェー内で評判となり、1985年、アルバム「シセル」でCDデビュー、一躍国民的人気歌手となります。
そして1994年、リレハンメル冬季オリンピックで同オリンピックのテーマ曲“Fire in your Heart”を歌うと共に、開会式と閉会式で「オリンピック賛歌」の冒頭部分を民族衣装姿でアカペラで独唱。その澄んだ歌声が評判となり世界にその存在を知らしめることになりました。さらにプラシド・ドミンゴの目にも止まり、シャルル・アズナヴールを交えてのクリスマス・コンサートが行われるなど、実力派シンガーとしての評価を国際的に急上昇させていきます。
更に、1997年には映画「タイタニック」のサウンドトラックで、ヒロインの回想場面で使用されるスキャットを担当するなどして、より存在感を大きな物としており、一方、それまで数多く発売されたアルバムによって、ジャンルもクラシックからポップス、ジャズと幅広く対応できる事も証明しています。日本においても、TBS系のドラマ「Summer Snow」の主題歌や、日産自動車のCMでその歌声はおなじみです。
ちなみに、このCDの『アヴェ・マリア 』で、曲の中でセシルが朗読するとこれがありますが、日本語訳を掲載しておきますね。(これは「アヴェ・マリアの祈り」ですね)
「アヴェ・マリア !
恩寵(おんちょう)に満ちた乙女よ。
主はあなたとともにいます。
御身(おんみ)は女のうちにて祝福され
御胎内(ごたいない)の御子(おんこ)イエスも祝福されたもう。
神の御母(おんはは)なる、聖マリア、
私たちのためにお祈りください。」

また、少々古いですが、世界的に有名なソプラノ歌手キャスリーン・バルトが歌っている、SONYから出ているCD(写真左側)と盲目のテノール歌手で有名な新垣勉さんが歌っている、ビクターエンタテイメントから出ているCD(写真右側)もおすすめです。
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カトリック聖歌集第653番『まきびと』のお話し [キリスト教と音楽]

今日ご紹介する聖歌『まきびと』は、昨日(24日)カトリック成城・聖タデオ教会で20時から行われた「主の降誕夜半のミサ」で、ご聖体拝領時の〈拝領の歌〉として歌いました。
降誕祭・降誕節のミサで歌われる聖歌に『まきびと』があります。カトリック教会では、カトリック聖歌集に収録されています。この『まきびと』は、漢字で「牧人」と書きますが、つまり羊飼いのことですね。プロテスタント教会での名称は『牧人ひつじを(まきびとひつじを、英語The first noel)』で、元はクリスマスに歌われるイギリスのキャロルのことです。この曲の旋律は、イングランド西部地方に17世紀以前から伝わっている旋律で、ウィリアム・サンディーズが1833年に発表して以来、軽快な曲と共に世界に広まったそうです。なお、イギリス国教会由来の日本聖公会は、カトリック教会と同じ名称・歌詞です。

アブラハム・ダニエルス・ホンディウス作の『羊飼いへの告知』です。制作年は1663年から1663年で、アムステルダム国立美術館に所蔵されています。
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◯歌詞
1番:まきびとひつじを 守れるそのよい
たえなるみ歌は 天(あめ)よりひびきぬ
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

2番:仰げばみ空に きらめく明星(あかぼし)
よるひるさやかに 輝きわたれり
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

3番:その星しるべに みたりの博士ら
メシヤを尋ねて はるばる旅しぬ
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

4番:くすしき光の 導くまにまに
博士はまぶねの 主イエスにまみえぬ
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

この「まきびと」は、新約聖書の『ルカによる福音書』に書かれています。先ほどこのブログの「教会日記2022.12.24(カトリック成城・聖タデオ教会「主の降誕夜半のミサ」土曜日)」に掲載しましたが、再掲載いたします。
◯新約聖書:ルカによる福音書・第2章・第1~第20節
「そのころ、皇帝アウグストゥスによって、全世界の住民に登録をせよとの勅令が発布された。この登録は、キリニウスがシリア州の総督であった時に行われた、最初のものであった。人々はみな登録のために、それぞれ自分の町に帰っていった。
ダビデ家とその血筋に属していたヨセフも、すでに身籠もっていたいいなづけのマリアを伴って、登録のために、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
ところが、二人がそこにいる間に、出産の日が満ちて、マリアは男の初子を産んだ。そして、その子を産着にくるみ、飼い葉桶に寝かせた。宿屋には、彼らのために場所がなかったからである。
さて、その地方では、羊飼いたちが野宿をして、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の使いが羊飼いたちのそばに立ち、主の栄光が彼らの周りを照らし出したので、彼らはひどく恐れた。み使いは言った。「恐れることはない。わたしは、民全体に及ぶ、大きな喜びの訪れを、あなた方に告げる。今日、ダビデの町に、あなた方のために、救い主がお生まれになった。この方こそ、主メシアである。あなた方は、産着にくるまれて、飼い葉桶に寝ている乳飲み子を見出すであろう。これが徴である」。すると突然、み使いに天の大軍が加わり、神を賛美した。
「いと高き天には、神に栄光、地には、み心にかなう人に平和」
み使いたちが離れて天に去ると、羊飼いたちは語りあった。「さあ、ベツレヘムへ行って、主が知らせてくださった、その出来事を見て来よう」。そして、彼らは急いで行き、マリアとヨセフ、そして飼い葉桶に寝ている乳飲み子を捜しあてた。それを見た羊飼いたちは、この幼子について告げられたことを、人々に知らせた。羊飼いたちが語ったことを聞いた人々はみな不思議に思った。しかし、マリアはこれらのことをことごとく心に留め、思い巡らしていた。羊飼いたちは、見聞きしたことが、ことごとく告げられたとおりだったので、神をほめたたえ、賛美しながら帰っていった。」
『原文校訂による口語訳フランシスコ会聖書研究所訳注聖書』から
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「教皇ヨハネ・パウロ2世により挙行された荘厳ミサ」のお話し [キリスト教と音楽]

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このブログに過去3回掲載した記事ですが、3年ぶりに再掲載いたします。今夜は、妻が息子夫婦の家でお泊りですので、自宅で一人ワインを飲みながら、久しぶりにモーツァルト作曲の『 ミサ曲ハ長調 K.317戴冠式ミサ・「教皇ヨハネ・パウロ2世により挙行された荘厳ミサ」』のCDを聴きました(*^▽^*)

このミサ曲は、1779年3月23日に書き上げられ、同年の復活祭の祝日(4月4日)で初演されました。かつては、ザルツブルクの北側の丘の上に建設された教会の聖母戴冠像のために作曲されたことから、「戴冠ミサ」の名称がつけられたという記述がありますが、実際に戴冠の儀式が行なわれたのは6月であるという記述がなされているそうです。その後「戴冠ミサ」という名称(略称)は、1791年にプラハで行なわれたレオポルト2世の戴冠式で、サリエリが指揮して以後に定着したそうです。

CDに収録されているのは、前々教皇のヨハネ・パウロ2世によって司式されたミサで、毎日曜日に世界中のキリスト教カトリック教会で行われている「主日のミサ」のとおり行われています。モーツァルトと教皇とカラヤンによるコラボレーションミサですね。また、ソプラノのキャスリーン・バトルが美しい歌声を聴かせてくれます!毎日曜日にこのようなミサに与れたら最高ですよね!

クリスチャンでない方が聴いても素晴らしいと感動するミサ曲となっています。カトリック教会のミサは、グレゴリア聖歌のように教会音楽の原点なっています。ちなみに、このCDに収録されている言葉は、ほとんどがラテン語ですが、「共同祈願」だけは各国語です。日本人女性も祈願の奉献文を読み上げています。このCDは、日本語訳が付いていますからとても理解しやすいですね。

演奏日:使途聖ペトロ・聖パウロの祭日(1985年6月29日)
会場:ローマ、ヴァチカン市国の聖サン・ピエトロ大聖堂
指揮:カラヤン
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
レーベル:ユニバーサル・ミュージック
このCDは、カラヤン没後20年企画として発売されました。カラヤン80年代の代表的な名録音です。1985年6月29日、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂で行われた教皇ヨハネ・パウロ2世の司式によるミサの実況録音です。

【収録情報】
◯歌手
キャスリーン・バトル(ソプラノ)
トゥルデリーゼ・シュミット(アルト)
エスタ・ヴィンベルイ(テノール)
フェルッチョ・フルラネット(バス)
ウィーン楽友協会合唱団
◯モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
ウィーン楽友協会合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルムート・フロシャウアー(指揮)
◯聖歌
システィナ礼拝堂合唱団
教皇庁立教会音楽学院聖歌隊
◯録音
録音期日:1985年6月29日
録音場所:ヴァチカン、サン・ピエトロ大聖堂
録音方式:デジタル(ライヴ)

収録内容は次のとおりです。これはミサの司式順ですから、「主日のミサ」とまったく同じですね。
1. 入祭の歌(新約聖書:使徒言行録・第12章・第11節)
2. 挨拶および回心の祈り(司式:ヨハネ・パウロ2世)
3. キリエ(あわれみの賛歌) モーツァルト作曲
4. グローリア(栄光の賛歌) モーツァルト作曲
5. 集会祈願(司式:ヨハネ・パウロ2世)
6. 第1朗読(新約聖書:使徒言行録・第12章・第1〜第11節 司式:ヨハネ・パウロ2世)
7. 答唱詩篇
8. 第2朗読(新約聖書:テモテへの第二の手紙・第4章・第6〜第8節、第17〜18節 司式:ヨハネ・パウロ2世)
9. アレルヤ唱
10. 福音朗読(新約聖書:マタイによる福音書・第16章・第13〜第19節 司式:ヨハネ・パウロ2世)
11. クレド(信仰宣言) モーツァルト作曲
12. 共同祈願(司式:ヨハネ・パウロ2世)
13. 奉納の歌
14. 祈りへの招きと奉納礼願(司式:ヨハネ・パウロ2世)
15. 叙唱(司式:ヨハネ・パウロ2世)
16. サンクトゥス(感謝の賛美) モーツァルト作曲
17. ベネディクトゥス(ほむべきかな) モーツァルト作曲
18. 主の祈り(司式:ヨハネ・パウロ2世)
19. 平和の挨拶
20. アニュス・デイ(平和の賛歌) モーツァルト作曲
21. 拝領の歌:アヴェ・ヴェルム・コルプス モーツァルト作曲
22. 拝領祈願(司式:ヨハネ・パウロ2世)
23. 閉祭
以上です。
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『キエフの大きな門』のお話し [キリスト教と音楽]

今日は、戦争が行われているウクライナの平和を願い、首都キエフにある『キエフの大きな門』のお話しをします。『キエフの大きな門』とは、1874年にロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキーによって作曲されたピアノ組曲『展覧会の絵』にある曲です。このピアノ組曲は、ムソルグスキーがロシアの画家であるヴィクトル・ハルトマンの死を悲しみ、絵の展覧会(遺作展)を訪れた際の散歩(プロムナード)の情景を曲にしました。

組曲中の曲ごとに拍子が違うのは、展覧会場で、歩きながら絵を見ているという歩調を表現しているといわれています。後世になって、多くの作曲家によってオーケストラ(管弦楽)に編曲されましたが、その中でもフランスのモーリス・ラヴェル編曲のトランペット・ソロで始まるものが有名ですね。吹奏楽用にも編曲されており、日本ではオーケストラで演奏されるより、吹奏楽の演奏会やコンクールで演奏される方が多いかもしれません。

『キエフの大きな門』という名称のこの曲は、ムソルグスキーが、キエフ市に再建される予定だった門のデッサンに基づいて作曲され、大門の設計図にインスピレーションを得たと言われています。ムソルグスキーの親友である建築家ヴィクトル・ハルトマンの代表作になるはずだった門です。しかし彼は、その完成も着工さえも見ずに亡くなりました。組曲の最後(第9曲)にあり、曲の初めから徐々に盛り上がって壮大・荘厳に終わります。

ムソルグスキーの親友ヴィクトル・ハルトマンが描いた絵画「キエフの大門」です。この絵は、昔からレコードやCDのジャケットとして使用されています。
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この『キエフの大きな門』の由来は、1037年にキエフ大公国のヤロスラフ一世(ヤロスラフ賢公)が、キエフを開発し、町の境界線に土塁を盛ってその上に城壁を作らせ、西へ向かう入口に大門を構築しました。この門の名称は、当時の欧州にとって文化の源であったビザンツ帝国の首都コンスタンティノポリスの門にちなんで、「黄金の門」と呼ばれたそうです。この黄金の門が『キエフの大きな門』のことです。その後、1240年にモンゴル帝国の軍勢によって破壊され、それ以後再建されることはなく、18世紀に門の跡は完全に土に埋まってしまっていましたが、1832年に発掘調査があり、史跡として保存されました。黄金の門は、1982年に復元され今日に至っています。

ウクライナのキエフ市にある復元された「黄金の門」です。
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◯お薦めの一枚!(CD)
「展覧会の絵」のCDは、たくさんリリースされていますが、私がお薦めする一枚は、何と言っても次のCDです!ご堪能くださいませ!ちなみに、ここではご紹介しませんが、元の曲であるピアノ演奏のCDもたくさんリリースされています。
『ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲/ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》』
作曲・編曲:ラヴェル:
収録曲
1.ボレロ
2. スペイン狂詩曲
3. 組曲《展覧会の絵》
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
録音:1985年12月(1)、1986年2月(3)、1987年2月(2)
場所:ベルリン
レーベル:Universal Music
定価:1,870円(税込)
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カトリック聖歌集第653番『まきびと』のお話し [キリスト教と音楽]

今日ご紹介する聖歌『まきびと』は、先ほどカトリック成城・聖タデオ教会で10時から行われた「聖家族の祝日のミサ」で、ご聖体拝領時の〈拝領の歌〉として歌いました。
降誕祭・降誕節のミサで歌われる聖歌に『まきびと』があります。カトリック教会では、カトリック聖歌集に収録されています。この『まきびと』は、漢字で「牧人」と書きますが、つまり羊飼いのことですね。プロテスタント教会での名称は『牧人ひつじを(まきびとひつじを、英語The first noel)』で、元はクリスマスに歌われるイギリスのキャロルのことです。この曲の旋律は、イングランド西部地方に17世紀以前から伝わっている旋律で、ウィリアム・サンディーズが1833年に発表して以来、軽快な曲と共に世界に広まったそうです。なお、イギリス国教会由来の日本聖公会は、カトリック教会と同じ名称・歌詞です。

アブラハム・ダニエルス・ホンディウス作の『羊飼いへの告知』です。制作年は1663年から1663年で、アムステルダム国立美術館に所蔵されています。
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◯歌詞
1番:まきびとひつじを 守れるそのよい
たえなるみ歌は 天(あめ)よりひびきぬ
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

2番:仰げばみ空に きらめく明星(あかぼし)
よるひるさやかに 輝きわたれり
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

3番:その星しるべに みたりの博士ら
メシヤを尋ねて はるばる旅しぬ
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

4番:くすしき光の 導くまにまに
博士はまぶねの 主イエスにまみえぬ
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

このブログの先日24日の記事にも掲載しましたが、再掲載いたします。
◯新約聖書:ルカによる福音書・第2章・第1~第20節
「そのころ、皇帝アウグストゥスによって、全世界の住民に登録をせよとの勅令が発布された。この登録は、キリニウスがシリア州の総督であった時に行われた、最初のものであった。人々はみな登録のために、それぞれ自分の町に帰っていった。
ダビデ家とその血筋に属していたヨセフも、すでに身籠もっていたいいなづけのマリアを伴って、登録のために、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
ところが、二人がそこにいる間に、出産の日が満ちて、マリアは男の初子を産んだ。そして、その子を産着にくるみ、飼い葉桶に寝かせた。宿屋には、彼らのために場所がなかったからである。
さて、その地方では、羊飼いたちが野宿をして、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の使いが羊飼いたちのそばに立ち、主の栄光が彼らの周りを照らし出したので、彼らはひどく恐れた。み使いは言った。「恐れることはない。わたしは、民全体に及ぶ、大きな喜びの訪れを、あなた方に告げる。今日、ダビデの町に、あなた方のために、救い主がお生まれになった。この方こそ、主メシアである。あなた方は、産着にくるまれて、飼い葉桶に寝ている乳飲み子を見出すであろう。これが徴である」。すると突然、み使いに天の大軍が加わり、神を賛美した。
「いと高き天には、神に栄光、地には、み心にかなう人に平和」
み使いたちが離れて天に去ると、羊飼いたちは語りあった。「さあ、ベツレヘムへ行って、主が知らせてくださった、その出来事を見て来よう」。そして、彼らは急いで行き、マリアとヨセフ、そして飼い葉桶に寝ている乳飲み子を捜しあてた。それを見た羊飼いたちは、この幼子について告げられたことを、人々に知らせた。羊飼いたちが語ったことを聞いた人々はみな不思議に思った。しかし、マリアはこれらのことをことごとく心に留め、思い巡らしていた。羊飼いたちは、見聞きしたことが、ことごとく告げられたとおりだったので、神をほめたたえ、賛美しながら帰っていった。」
『原文校訂による口語訳フランシスコ会聖書研究所訳注聖書』から
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『アンナ・ネトレプコ・ベスト(CD)』のご紹介 [キリスト教と音楽]

今日ご紹介するのは、オペラ・ソプラノ歌手のアンナ・ネトレプコのベスト盤CDです。アンナ・ネトレプコは、“歌う女優"と称され、その演技・美貌・声の豊かさ・音楽表現の深さの全てに秀で、世界のオペラ界で名実ともに現代最高の歌姫として君臨しています。1971年にロシア南部のクラスノダールに生まれ、ロシアの名門サンクトペテルブルク音楽院で声楽を学んでいます。1993年、モスクワのグリンカ声楽コンクールで第1位、1994年、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場の「フィガロの結婚」スザンナ役でデビューしました。その後、日本を含む世界各地において数多くのオペラに出演し、2017年2月16日に、ヴェルディの『イル・トロヴァトーレ』の初日の後、ウィーン国立歌劇場内「グスタフ・マーラー・ホール」において、名誉ある「オーストリア宮廷歌手」の称号を授与されています。現在、ウィーンおよびニューヨークに在住。2006年にオーストリア市民権を得ています。
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『アンナ・ネトレプコ・ベスト(ドイツ・グラモフォン ベスト100 premium)』
演奏者:アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
楽団等:マーラー・チェンバー・オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデン、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団他
指揮者:クラウディオ・アバド他
共演者:エリーナ・ガランチャ(メッゾ・ソプラノ)、ローランド・ビリャソン(テノール )、トーマス・クヴァストホフ(バス・バリトン)、クリストフ・シュトレール(テノール)
レーベル:Universal Music
録音年:2004年~2008年
時 間:1時間14分
発売日:2016年9月7日
定 価:1,870円(税込み)
収録曲
1.「私のお父さん」
(プッチーニ:歌劇《ジャンニ・スキッキ》)
2.「わたしがちょっとひとりで街を行くと (ムゼッタのワルツ)」
(プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》 第1幕)
3.「ジャスミンとバラの厚く群れ咲くアーチ(花の二重唱)」
(ドリーブ:歌劇《ラクメ》 第1幕)
4.「やっと待ってた時がきた ― さあ早く来て、いとしい人よ」
(モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》 K.492 第4幕)
5.「あそこで二人は許し合おう」
(モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 第1幕)
6.「かぐわしい香りがくゆり(狂乱の場)」
(ドニゼッティ:歌劇《ランメルモールのルチア》 第2幕)
7.「清らかな女神よ」
(ベッリーニ:歌劇《ノルマ》 第1幕)
8.「深ぶかと空にかかっているお月さまよ(月に寄せる歌)」
(ドヴォルザーク:歌劇《ルサルカ》 第1幕)
9.「酒を酌もう、美しい人が(乾杯の歌)」
(ヴェルディ:歌劇《椿姫》 第1幕)
10.「私の唇のキスはいとも熱く(熱き口づけを)」
(レハール:喜歌劇《ジュディッタ》 第4幕)
11.「ああ神様、どうして ― 出て行って、ひどい人」
(モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 第1幕)
12..「そうですね、みんなわたしのことをミミっていいます」
(プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》 第1幕)
13.「優美なおとめよ」
(プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》 第1幕)
14.「美しい夜、おお、恋の夜よ」
(オッフェンバック:歌劇《ホフマン物語》 第2幕)
15.「ソルヴェイグの歌」
(グリーグ:劇音楽《ぺール・ギュント》)
16.「さよなら過ぎた日の美しく楽しい夢よ」
(ヴェルディ:歌劇《椿姫》 第3幕)
17..「私はこうして晴れの衣裳を ― ああ、いくたび天に」
(ベッリーニ:歌劇《カプレーティとモンテッキ》 第1幕)

このCDの1曲目にあるプッチーニ作曲の歌劇《ジャンニ・スキッキ》の「私のお父さん」は、亡くなった私の母が市民合唱団で歌っていたころ、台所で夕飯の支度をしながら歌っていたのをよく覚えています。思い出の曲ですね。歌詞を掲載しておきます。
◯「私のお父さん」日本語訳
ああ、私の愛しいお父さん
私は彼を愛しているの、彼は素敵、素敵
ポルタ・ロッサへ行きたいの
指輪を買いに
そうよ、そうなの、私は行きたい
そしてもし、彼への愛が無駄になったら
私はヴェッキオ橋に行って
アルノ川に身を投げてしまいたい
私は苦しんで、耐えてきたの
ああ、神様、私は死にたい
お父さん、許して、許して
お父さん、許して、許して

そして、なんと言っても13曲目にあるプッチーニ作曲の歌劇《ラ・ボエーム》 全4幕の第1幕「優美なおとめよ(ああ、麗しの乙女)」は最高です!ミミ(ソプラノ:アンナ・ネトレプコ)とロドルフォ(テノール:ローランド・ビリャソン)の二重唱ですが、聴きごたえがあります!歌詞を掲載しておきます。
◯「優美なおとめよ(ああ、麗しの乙女)」日本語訳
<ロドルフォ>
おお、うるわしい乙女よ、輝きはじめた月の光に、
穏やかに包まれたやさしい面影、
あなたの中に、私がいつも夢見ている夢がある
それが本当にわかった!
<ミミ>
(ああ、愛よ、あなただけが命令しているのよ!・・・)
<ロドルフォ>
もう心の底では、この上ない
甘美さがおののいている・・・
接吻の中に、愛がおののいているのだ!
<ミミ>
(ああ、んて甘美に、そのやさしいことばが
私の心を感動させるのでしょう・・・
愛よ、あなただけが命令しているのよ!)
だめ、お願いですわ!
<ロドルフォ>
あなたは僕のものだ!
<ミミ>
お仲間があなたを待っているわ・・・
<ロドルフォ>
もう僕を追い払うの?
<ミミ>
言ってもいいかしら・・・でもやめておいた方が・
<ロドルフォ>
言ってみて。
<ミミ>
もしあなたと、ご一緒に行くとしたら?
<ロドルフォ>
なんだって?ミミ!
ここにいればこんなに愉快だろうに。
外は寒いよ。
<ミミ>
あなたのそばにいるの!
<ロドルフォ>
で、帰ったときは?
<ミミ>
聞きたがりやさんね!
<ロドルフォ>
腕をよこしなさい、僕のかわいこちゃん・・・
<ミミ>
かしこまりました、ご主人様!
<ロドルフォ>
僕を好きだといってごらん・・・
<ミミ>
あなたが好きよ。
<ロドルフォ&ミミ>
愛よ、愛よ、愛よ
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フォーレの「レクイエム」のお話し [キリスト教と音楽]

今日は、ガブリエル・フォーレ(フランス・1845年~1924年)作曲の「レクイエム・ニ短調・作品48」をご紹介いたします。この曲は、フォーレの全作品の中でも最も演奏機会が多い曲で、モーツァルト、ヴェルディの作品とともに「三大レクイエム」の一つに数えられています。演奏時間は約40分です。
フランス・パリ市にあるマドレーヌ寺院(聖マグダラのマリアが守護聖人)での初演では、寺院の司祭から斬新過ぎると叱責されたらしいのです。「死の恐ろしさが表現されていない」とか、「異教徒的」などとの批判が出され、当時のカトリック教会の死者ミサでは必須であった「怒りの日」などを欠くなど、そのままではミサに用いることの出来ない形式をとっています。ちなみに、ヴェルディのレクイエムの「怒りの日」は、聴いているとあまりの恐ろしさに地獄に引き込まれてそうになります!( ̄◇ ̄;)

これに対してフォーレは1902年に次のような手紙を書いています。
「私のレクイエム………は、死に対する恐怖感を表現していないと言われており、なかにはこの曲を死の子守歌と呼んだ人もいます。しかし、私には、死はそのように感じられるのであり、それは苦しみというより、むしろ永遠の至福の喜びに満ちた開放感に他なりません」と。
現在では、この「怒りの日」はカトリック教会の第2バチカン公会議における典礼の刷新で、「死後の恐怖を不必要に強調することはキリスト教本来の思想から外れている」ことと、「葬儀は、キリスト信者の死の復活的性格をより明らかに表現」(『典礼憲章』第81条)するという理由で除かれています(以後、レクイエムを作曲する時は「怒りの日」を入れない)………ということは、フォーレには<先見の明>があったのですね。
◯楽曲構成は次のとおりです。
第1曲「イントロイトゥス(Introitus・入祭唱)」・「キリエ(Kyrie・憐みの賛歌)」
第2曲「オッフェルトリウム(Offertorium・奉献唱)」
第3曲「サンクトゥス(Sanctus・感謝の賛歌)」
第4曲「ピエ・イェズ(Pie Jesu・慈悲深いイエス)」
第5曲「アニュス・デイ(Agnus Dei・平和の賛歌)」
第6曲「リベラ・メ(Libera me・私をお救いください)」
第7曲「イン・パラディスム(In paradisum・楽園へ)」

フォーレのレクイエムのCDはたくさん出ていますが、私が推薦するのは安価で入手しやすい次のCD2枚です。録音は古いのですが、現在の録音再生技術によって当時の素晴らしい演奏が蘇っています。現在でも名演・名盤として販売が続いています。
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◯第一の推奨CD「フォーレ レクイエム」
指揮:アンドレ・クリュイタンス
演奏:パリ音学院管弦楽団
合唱:エリザベート・ブラッスール合唱団
独唱:ビクトリア・デ・ロスアンヘレス(ソプラノ)/ フィッシャー・ディースカウ(バリトン)
録音:1962年
レーベル:EMIクラッシックス
定価:1500円(税別)発売当時の定価
クリュイタンスは、フランスものを得意とするベルギーの指揮者ですが、たっぷりとした遅めのテンポで大きな波のようにうねる独特の抑揚があり、それでいて案外ダイナミックな一面も覗かせています。独唱は名ソプラノのビクトリア・デ・ロスアンヘレスと王者フィッシャー・ ディースカウです。
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◯第二の推奨CD「フォーレ レクイエム」
指揮:ミシェル・コルボ
演奏:ベルン交響楽団
合唱:聖ピエール=オ=リアン・ド・ビュル聖歌隊
独唱:アラン・クレマン(ソプラノ)/ フィリップ・フッテンロッハー(バリトン)
オルガン:フィリップ・コルボ
録音:1972年
レーベル:WARNER MUSIC JAPAN
定価:1545円(税込)発売当時の定価
古今の数多いレクイエムの中でもモーツァルトと並び立つ名曲中の名曲がフォーレの作品。その数多い録音の中でも、コルボ盤は人類の宝と言うべき決定的な評価を得ています。コルボ盤の特徴とされるボーイ・ソプラノを起用した理由、コルボの最初の師であったおじへの追悼として録音された経緯など、名盤誕生の感動秘話を含むコルボへの最新インタヴューをブックレットに掲載しています。最近まで4回録音して4枚のCDを出していますから、CDのジャケットはそれぞれ違います。

このブログの2021年1月1日の「レクイエムのお話し」に、三大レクイエム、レクイエムのミサ司式やお奨めの名盤を掲載しています。次のアドレスをクリックしてご覧ください。
https://jesus195876.blog.ss-blog.jp/2021-01-01-2
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『天使ミサ(Missa de Angelis)』CDのお話し [キリスト教と音楽]

大天使聖ミカエル、大天使聖ガブリエル及び大天使聖ラファエルなどの、大天使たちに捧げる祝祭日のミサ曲である『天使ミサ Missa de Angelis』(ミサ・デ・アンジェリス)は、グレゴリオ聖歌で捧げるミサ曲の一つで、『天使のミサ』とも表記されています。大天使に関連する祝祭日のミサ曲として用いられてきました。

グレゴリオ聖歌のミサ曲は18番まであり、この『天使ミサ Missa de Angelis』は第8番目に当たります。日本のカトリック教会における「カトリック聖歌集」では、第503番の聖歌として掲載されています。通常は「キリエ Kyrie」、「グロリア Gloria」、「サンクトゥス Sanctus」、「アニュス・デイ Agnus Dei」から構成され、これにクレド第3番(信仰宣言)カトリック聖歌集の第508番を組み合わせて歌われる機会もあります。

聴くところによると、日本のカトリック教会で、いわゆる『天使ミサ』という場合は、「カトリック聖歌集の第503番と第508番を使い、ミサ通常文、主の祈り、信仰宣言などをグレゴリオ聖歌で進め、それ以外の聖書朗読、答唱詩編などは日本語で司式することになる(日本語でできる)ミサ」ということになるのだそうです。
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今日ご紹介するCDは、先日このブログにご紹介したような古来からのグレゴリア聖歌の演奏(合唱)ではなく、現代風にアレンジした演奏となっております。聴いているうちに眠くなること必定です!それは、つまらない演奏ということではなく、素晴らしい演奏ですが、演奏自体に催眠効果があるのではないかと思うのです(⌒-⌒; )
◯『スタニスワフ・シチンスキ 天使のミサ(Missa de Angelis:ミサ・デ・アンジェリス)』
演奏者:
バルバラ・ソボレフスカ(Barbara Sobolewska):ソプラノ
ロベルト・ラワティ(Robert Lawaty):カウンター・テナー
クシシュトフ・シュミト(Krzysztof Szmyt):テノール
チェザリー・シュフマン(Cezary Szyfman):バリトン
ロベルト・ラワティ(Robert Lawaty):バリトン
スタニスワフ・シチンスキ(Stanislaw Szczycinski):バス
ヤーツェク・ウルバニアク(Jacek Urbaniak):フルート
ヤーツェク・ウルバニアク(Jacek Urbaniak:)オーボエ
Jaroslaw Zawadzki:ソプラノ・サクソフォン
Leslaw Matecki:ギター
Adam Cegielski:コントラバス
スタニスワフ・シチンスキ(Stanislaw Szczycinski):ピアノ
スタニスワフ・シチンスキ(Stanislaw Szczycinski):シンセサイザー
Jaroslaw Zawadzki:シンセサイザー
セザリ・コンラート(Cezary Konrad):打楽器
収録曲
1.入祭唱 組曲
2.入祭唱 守護天使への祈り1
3.入祭唱 守護天使への祈り1
4.感謝(Confiteor)
5.キリエ(Kyrie):憐れみの賛歌
6・グローリア(Gloria)栄光の賛歌
7.詩編・第91編
8.アレルヤ唱(Alleluja)
9.クレド(Credoz)信仰宣言
10.祈願(Oratio fidelium)
11.サンクトゥス(Sanctus)感謝の賛歌
12.主の祈り(Pater noste)
13.アニュスデイ(Agnus Dei)平和の賛歌
14.聖体拝領(Communio)
15.閉祭:派遣の祝福(Ite missa est) (Piosenka do Anioła Stróża)
レーベル : Dux Records (USA/Pol)
録音年:1995年
録音地:ポーランド:ワルシャワ・パウリニアン教会
価 格:2,731円(税込み)
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『グレゴリア聖歌「昇天と聖霊降臨」』CDのご紹介 [キリスト教と音楽]

今日ご紹介するグレゴリオ聖歌のCDは、ベルギー王国にある「プレモントレ会グリンベルゲン大修道院 の聖歌隊による『昇天と聖霊降臨~グレゴリオ聖歌~』です。グレゴリオ聖歌は、単旋律聖歌の基軸をなす単旋律、無伴奏の宗教音楽(聖歌)で、主にカトリック教会で用いられます。
主に9世紀から10世紀にかけて、西ヨーロッパから東に広がってフランク人の居住地域で発展し、後に改変を受けながら伝承したものです。教皇グレゴリウス1世が編纂したと広く信じられていましたが、現在では、カロリング朝にローマとガリアの聖歌を統合したものと考えられています。
グレゴリオ聖歌のCDは本当にたくさん出回っており、どのCDもよく似た感じを受けます。その中でも、このCDはお勧めの1枚です。歌詞はラテン語ですので意味はわかりません( ̄▽ ̄;) が、美しい単旋律の調べが静かな聖堂の中で響き、聴くものに神様の癒しを感じさせてくれます。
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CDのご紹介の前に、修道会「プレモントレ会」をご紹介しましょう。(ブログ掲載文献表示:日本大百科全書から引用)
「プレモントレ会は、1120年、聖ノルベルトSt. Norbert(1080ころ―1134)が、フランスのプレモントレに創立した修道参事会員の修道会。厳格な観想修道生活と13世紀の托鉢(たくはつ)修道会との間に生まれた司祭からなる修道会で、修徳と司牧とをあわせもった修道会を目的とし、その意味でドミニコ会の先駆となった。会律は、聖アウグスティヌス修道会律を採用し、かつ補足強化し、修道三誓願をたて、シトー会の影響も受けながら最初聖職者40名とともに出発した。1126年には教皇庁によって公認され、のちドイツを中心に西欧、東欧に発展した。生活は清貧を基調とし、手の労働、簡素な食物と衣服を厳守し、白い制服を身にまとい「白い修道会」または「白い参事会員」として知られる。近代では、宗教改革やフランス革命などによって破壊され、19世紀になって徐々に再興され、とくにベルギー、アメリカで再建された。」

◯『昇天と聖霊降臨~グレゴリオ聖歌~』
ベルギー グリンベルゲン大修道院グレゴリオ聖歌隊
HEMELVAART en PINKSTEREN
GREGORIAANS ABDIJKOOR GRIMBERGEN
曲目
<昇天>HEMELVAART
1.父よ、わたしは現した  Pater, Manifestavi
2.ガリラヤの人々  Viri Galilaei
3.キリストは昇られる  Ascendens Christus

<聖霊降臨>PINKSTEREN
4.主の霊は  Spiritus Domini
5.聖霊 来てください<アレルヤ唱>  Veni Sancte Spiritus(Alleluia)
6.聖霊 来てください<聖霊の続唱>  Veni Sancte Spiritus(Prosa)
7.天から音が響き  Factus Est Repente
8.造り主である霊 来てください  Veni Creator Spiritus

<キリストの聖体>SACRAMENTSDAG
9.なんと甘美な  O Quam Suavis Est
10.民を養い  Cibavit Eos
11.わたしの肉は  Caro Mea
12.そのたびことに  Quotiescumque

<年間第18主日>18de ZONDAG NA PINKSTEREN
13.平和をお与えください  Da Pacem
14.主よ、祈りを聞き入れてください  Domine, Exaudi Orationem
15.聖なるものとした  Sanctificavit
16.献げ物をもって  Tollite Hostias

<聖母の被昇天>ONZE-LIEVE-VROUW HEMELVAART
17.大いなるしるし  Signum Magnum
18.わたしを幸せなものと呼ぶ  Beatam Me Dicent
19.みごとな器  Haec Est Praeclarum Vas

<年間23主日>23ste ZONDAG NA PINKSTEREN
20.主は仰せになる  Dicit Dominus
21.地の淵から  De Profundis
22.あなたがたにアーメン  Amen Dico Vobis
23.うるわしい女王  Salve Regina
全23曲 55分36秒
発行:女子パウロ会
定価:2,776円(税込)
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『聖母マリアの夕べの祈り』のご紹介 [キリスト教と音楽]

『聖母マリアの夕べの祈り』は、クラウディオ・モンテヴェルディ(イタリア:1567年5月15日洗礼~1643年)による1610年頃に作曲されたモンテヴェルディ初の教会音楽作品です。 それまでのルネッサンス音楽からバロック音楽へと変わる時期に活躍した作曲家です。この曲は、カトリック教会での「聖務日課」の一部である「晩課」が元になっており、教会での典礼に使用されてきた聖母マリアに関する複数の聖書のテキストから構成されています。演奏に90分を要し、ソロと合唱とオーケストラが擁する大規模な作品で、バッハ以前の教会音楽としては、最大のものであったと考えられています。世俗音楽ばかり書いていたモンテヴェルディは、この作品を作曲したのち、サン・マルコ寺院の楽長に就任し、その一生を神に捧げました。とにかく一度お聴きください!聖母マリア様の崇敬が生んだ美しい調べに癒されること間違いなしです!
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◯『聖母マリアの夕べの祈り(晩課)』CD2枚組
モンテヴェルディ生誕450年記念<アルヒーフ NEW BEST 50>
このアルバム(CD)は、1991年レコード・アカデミー大賞を受賞したもので、モンテヴェルディが楽長を務めていたサン・マルコ大聖堂でライヴ録音されたものです。ガーディナー2度目の録音で、もっとも理想的な演奏として各国で高い評価を得た決定盤です。
指揮者:ジョン・エリオット・ガーディナー
楽団:イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(イギリス・バロック管弦楽団)、イアン・ワトソン(通奏低音)
合唱:モンテヴェルディ合唱団、ロンドン・オラトリー少年合唱団
アン・モノイオス(ソプラノ)
マリネッラ・ペンニッキ(ソプラノ)
マイケル・チャンス(カウンターテナー)
マーク・タッカー(テノール)
ナイジェル・ロブソン(テノール)
サンドロ・ナグリア(テノール)
ブリン・ターフェル(バス)
アラステア・マイルズ(バス)
録音月日:1989年5月・7月
録音場所:ヴェネツィア:サン・マルコ寺院
録音方式:ライヴ・レコーディング
レーベル:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売:2002年6月26日
定価:3,772円(税込み)

曲目
[CD1]
1.序詞:神よ、慈悲もてわれを助けたまえ
2. 詩篇109:主はわが主に言いたまえり
3.コンチェルト:われは黒し
4.詩篇112:しもべらよ、主を讃めたたえよ
5.コンチェルト:麗しきかな
6.詩篇121:われ、喜びに満てり
7.コンチェルト:二人のセラピムが
8.詩篇126:主が建てたまわずば
9.コンチェルト:天よ、わが言葉を聞きいれたまえ
10.詩篇147:エルサレムよ、主を讃めたたえよ
[CD2]
11.「聖マリアよ われらのために祈りたまえ」にもとづくソナタ
12.讃歌:めでたし、海の星
13a.マニフィカト I - マニフィカト / わが霊魂は / わが精神は / そは御召使の / 全能に / その御あわれみは / みずから御腕の / 権力ある者を / 飢えたる者を / 御あわれみを / われらの祖先に / 願わくは父と子と / 初めにありしごとく
13b.マニフィカト II - マニフィカト / わが霊魂は / わが精神は / そは御召使の / 全能に / その御あわれみは / みずから御腕の / 権力ある者を / 飢えたる者を / 御あわれみを / われらの祖先に / 願わくは父と子と / 初めにありしごとく
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