「聖マルタ、聖マリア、聖ラザロ」のお話し [聖人・福者・尊者]

今日7月29日は、「聖マルタ、聖マリア、聖ラザロの記念日」です。
一昨年までは「聖マルタの記念日」でしたが、カトリック中央協議会のホームページに、次のとおり変更になった理由が掲載されています。
「(イタリア・ローマにあるヴァチカンの)教皇庁典礼秘跡省は、2021年1月26日付の「教令」をもって、7月29日の聖マルタの記念日の名称を「聖マルタ、聖マリア、聖ラザロ」に変更することを発表しました。ベタニアでイエスをもてなしたマルタ、マリア、ラザロについて、ローマ暦にはマルタの名前のみが記載されてきましたが、改訂された「ローマ殉教録」にはマリアとラザロの名前も記載されており、いくつかの特殊暦ではすでに三人の兄弟姉妹が祝われています。これらをふまえ、典礼秘跡省は記念日の名称変更を教皇フランシスコに提案し、教皇は、三人が主イエスを家に迎え、そのことばに注意深く聞き入り、イエスが復活でありいのちであることを信じたという福音書の重要な証言を考慮して、7月29日に三人の名前を記載することを決定しました。」

イエス・キリストが生きた同時代、エルサレムの近くのベタニアに、聖マルタは兄弟であるマリアとラザロ共に住んでいました。兄弟(姉妹)は、信仰に厚い敬虔な生活を送っており、聖書には「イエスは、マルタとその姉妹とラザロを愛しておられた。(ヨハネによる福音・第11章・第5節)」とあります。弟のラザロが死んだときには、聖マルタはイエス・キリストのもとに使いを送って信仰と信頼を表して、洞穴に埋葬されてから4日も経っていたラザロを生き返らせていただきました。その後、聖マルタはマリアと共にイエス・キリストに従ったのでした。死後に3人とも聖人となっています。

ジョット・ディ・ボンドーネ(イタリア:1267年頃~1337年)作の『ラザロの復活』です。左側に立っているイエス・キリストの前で伏し拝んでいる2人が、マルタとマリアです。もちろん、包帯でグルグル巻きになっているのがラザロです。
giotto_di_bondone_021.jpg
新約聖書には聖マルタの死にまつわる出来事は書かれていませんが、中世のころよりフランス・プロヴァンス地方で宣教したとする伝承があり、聖マルタの聖遺物は1187年にタラスコンで発見されました。絵画などで表現される場合、そのアトリビュートとして聖書ないし聖人伝の記述が含まれた図像で描かれ、ひしゃく、箒、鍵束などを持っています。また、主婦や手伝いをする姉妹の守護聖人とされています。これとは別に、聖マルタを象徴する図像にドラゴンがありますが、これはタラスコンに表れたドラゴンにマルタが聖水を飲ませ、サッシュを巻いて捕らえたという伝承によります。すごい!

「真珠の耳飾りをつけた少女」で有名なフェルメール作の「マリアとマルタの家のキリスト」です。1655年に製作されています。本作品は、フェルメールの最も初期の作品で、知られている彼の作品の中で唯一聖書に関する主題を描いたものです。新約聖書の『ルカによる福音書』の中に姉妹の家へのイエス・キリストの訪問を伝えるシーンを題材にし、マリアが座って話をじっと聞いている一方で、マルタはイエス・キリストのために食事の用意をしています。この絵のイエス・キリストは、マリアは「よい方を選んだ」を褒め、マルタには家事よりも話を聞くことの大切さを諭しているところです。
聖マルタ.jpg
◯新約聖書:ルカによる福音書・第10章・第38~第42節
「さて、「一行が旅を続けていく途中、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女がイエスを迎え入れた。彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足元に座って、その話に聞き入っていた。しかし、マルタは数々のもてなしのため、忙しく立ち働いていた。そこで、彼女はイエスのそばに来て言った。「主よ、わたしの姉妹は、わたし一人にもてなしをさせておりますが、何ともお思いになりませんか。手伝うように言いつけてください。」すると、 主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い煩い、気を使っている。しかし、必要なことは、ただ一つだけである。マリアはその善いほうを選んだ。それを彼女から取り上げてはならない。」」
『原文校訂よにる口語訳フランシスコ会聖書研究所訳注聖書』から

◯新約聖書:ヨハネによる福音書・第11章・第19~第27節
「マルタとマリアの所には、大勢のユダヤ人が兄弟のことで慰めに来ていた。 マルタは、イエスが来られたと聞いて、迎えに行ったが、マリアは家の中に座っていた。 マルタはイエスに言った。 「主よ、もしあなたがここにいてくださったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。 しかし、あなたが神にお願いになることは何でも、神はかなえてくださると、 今でも私は知っています。」 イエスは仰せになった、「あなたの兄弟は復活する」。 マルタは言った、「終わりの日の復活の時に、復活することは存じております」と言った。 イエスは仰せになった、 「わたしは復活であり、命である。 わたしを信じる者は、たとえ死んでも生きる。 生きていて、わたしを信じる者はみな、永遠に死ぬことはない。 このことをあなたは信じるか。」 マルタは答えた、 「はい、主よ、あなたがこの世に来られるはずの神の子、 メシアであると、わたしは信じております。」」
『原文校訂よにる口語訳フランシスコ会聖書研究所訳注聖書』から
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