『交響的印象「教会のステンドグラス」』のご紹介 [キリスト教と音楽]

今朝、このブログに「新約聖書:ヨハネの黙示録・第12章・第7~第9節」を掲載いたしましたが、この聖書の聖句(聖書の言葉)を楽曲にした作曲家がいます。それはオットリーノ・レスピーギで、その楽曲とは『交響的印象「教会のステンドグラス」』です。
先日13日(土)の夜、久しぶりに愛蔵版のCDを聴きました。オーケストラはオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団、指揮はウラディミール・アシュケナージです。この曲のご紹介は、このブログに2020年3月1日に掲載して以来、なんと5回目の掲載となりました。

1.作曲者のこと
曲の解説の前に、作曲者のオットリーノ・レスピーギをご紹介いたしましょう。
オットリーノ・レスピーギ(イタリア・ボローニャ生まれ:1879年~1936年)は、作曲家、音楽学者で指揮者です。1908年までは演奏家、特にヴァイオリン奏者やヴィオラ奏者として活動し、1913年からはローマに出て教育者としても活動しましたが、その後は作曲家として活動しました。近代イタリア音楽における器楽曲の指導的な開拓者の一人として特に有名で、「ローマ三部作」と呼ばれる一連の交響詩『ローマの噴水』、交響詩『ローマの松』及び交響詩『ローマの祭り』が広く知られています。

2.曲のこと
『交響的印象「教会のステンドグラス」』は、レスピーギが1925年に完成させた4楽章からなる管弦楽(オーケストラ)曲で、各楽章には次のタイトルが付いています。
第1楽章:「エジプトへの逃避」
第2楽章:「大天使ミカエル」
第3楽章:「聖クララ」
第4楽章:「偉大なる聖グレゴリウス」
この曲は、キリスト教・聖書を題材にしています。もっとも教会のステンドグラスですからね。聖書から題材がとられている第1楽章と第2楽章を解説します。この2つの楽章は、日本ではオーケストラの演奏よりも、吹奏楽で「全日本吹奏楽コンクール」の自由曲としてたびたび演奏されたことから有名になりました。
ちなみに、レスピーギは、実際に教会にあるこの4つのステンドグラスを見て、そこからインスピレーショを得て作曲したと思いますが、ちなみに、このステンドグラスのある教会は、どこの教会でしょうか?(*^▽^*)

(1) 第1楽章
イエス・キリストがベツレヘムで生まれたすぐのことで、父親のヨセフ、母親のマリアとともに、天使のお告げによって、ヘロデ王の迫害(メシアの殺害計画)からエジプトに逃避するところをもの悲しげな旋律で描いています。
聖書では次のようになっています。
◯新約聖書:マタイによる福音書・第2章・第1~21節
「イエスがヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、東方の博士たちがエルサレムにやって来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。私たちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。王は祭司長たちや民の律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。彼らは王に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。『ユダの地、ベツレヘムよ、あなたはユダの指導者たちの中で、決して最も小さなものではない。あなたから一人の指導者が現れ、私の民イスラエルの牧者となるからである。』」
そこで、ヘロデは博士たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。そして、こう言ってベツレヘムへ送り出した。「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。私も行って拝むから。」
彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子がいる場所の上に止まった。博士たちはその星を見て喜びに溢れた。
家に入ってみると、幼子が母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。 それから、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分の国へ帰って行った。
博士たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、幼子とその母親を連れて、エジプトに逃げ、私が告げるまで、そこにいなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ退き、ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「私は、エジプトから私の子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われたことが実現するためであった。
さて、ヘロデは博士たちにだまされたと知って、激しく怒った。そして、人を送り、博士たちから確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいる二歳以下の男の子を、一人残らず殺した。その時、預言者エレミヤを通して言われたことが実現するためであった。「ラマで声が聞こえた。激しく泣き、嘆く声が。ラケルはその子らのゆえに泣き、慰められることを拒んだ、子らがもういないのだから。」
ヘロデが死ぬと、主の天使が、エジプトにいるヨセフに夢で現れて、言った。「起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ行きなさい。幼子の命を狙っていた人たちは、死んでしまった。」そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れてイスラエルの地へ入った。」
以上『聖書協会共同訳聖書』から

(2) 第2楽章
天上界で、天使軍団の総帥である大天使聖ミカエルが率いる天使軍団と、竜(サタン)とその手下との戦いを描いています。曲の冒頭部分から弦楽器のめまぐるしい演奏が続きますが、これは天使の翼の羽ばたきの音を表しており、低音の旋律は竜(サタン)との戦いのテーマを表しています。終わりの部分で、祈りのようなトランペットのソロがありますが、これは『ヨハネの黙示録』に出てくる第7のラッパが鳴っている描写で、いよいよ最後の審判が始まろうとしているところに龍(サタン)が現れ、それを天使の軍団が天から追い払うという場面です。曲の最後の部分でドラの音が響くのですが、それは、戦いに敗れた竜(サタン)とその手下どもが、大天使聖ミカエルが率いる天使軍団によって地上に投げ落とされた場面をドラの音で表現しています。
聖書では次のようになっています。
◯新約聖書:ヨハネの黙示録・第12章・第7~第9節
「さて、天で戦いが起こった。ミカエルとその天使たちが竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちもこれに応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。この巨大な竜、いにしえの蛇、悪魔ともサタンとも呼ばれる者、全人類を惑わす者は、地上に投げ落とされた。その使いたちも、もろともに投げ落とされた。」
以上『聖書協会共同訳聖書』から

3.私が特にお勧めするこのCDの紹介いたします!(CDにある紹介文から)
「『ローマ三部作』で鮮烈な初共演レコーディングを果たしたアシュケナージ&オランダ放送フィル。同時期に録音されたレスピーギの秘曲集の登場です。吹奏楽版で有名な『教会のステンドグラス』『シバの女王、ベルキス』に『ベルファゴール』序曲を加え、名手ぞろいの超級オーケストラでレスピーギのオーケストレーションを豪快に鳴らします。巨匠アシュケナージはレスピーギの極彩色の管弦楽法を的確に捉え、各楽器の特徴を生き生きと蘇らせ、絢爛豪華音の大伽藍を現前させます。(EXTON)
前作同様、今回もハイブリッドSACDでのリリースで、通常のCDプレーヤーでも再生可能ですが、ブラスが大活躍する作品だけに5チャンネル再生には要注目。膨大なパーカッション群を伴う『シバの女王、ベルキス』の「戦いの踊り」、最後のドラの余韻も印象的な『教会のステンドグラス』の「大天使ミカエル」などが聴きどころでしょう。」
教会のステンドグラス.jpg
◯タイトル名:『RESPIGHI』
収録曲:
1.『ベルファゴール』序曲
2.『組曲『シバの女王、ベルキス』
 1 ソロモンの夢
 2 戦いの踊り
 3 夜明けのベルキスの踊り
 4 狂宴の踊り
3.『交響的印象・教会のステンドグラス』
 1 エジプトへの逃避
 2 大天使ミカエル
 3 聖クララの朝の祈り
 4 聖グレゴリウス・マグヌス
録音:2004年3月30-31、2005年4月26日
ヒルヴェルサム、MCOスタジオにて収録。
レーベル:オクタヴィア・レコード
定価:3,086円(税込み)※2017年10月4日現在の定価です。

◯メディア掲載レビュー『CDジャーナル(山田治生) 2006年02月号』から
「アシュケナージ&オランダ放送フィルが「ローマ三部作」と同時期に録音したレスピーギの管弦楽曲集。今回は、「ベルファゴール」序曲、「シバの女王、ベルキス」、「教会のステンドグラス」という珍しい作品が並ぶ。この3曲、オーケストラではめったに採り上げられないが、吹奏楽の世界では編曲ものがしばしば演奏されているという。曲は、レスピーギの古代へのまなざしと派手な近代的管弦楽法という点で「ローマ三部作」と共通している。ただこのアルバムの三作は、その標題の通り、エキゾティックな雰囲気が漂う。演奏は、作品の魅力を十分に引き出している。特にトランペットなど管楽器のソロには耳を惹きつけられる。そして演奏だけでなく録音に至るまでのすべてが、ライヴの一発録りでは絶対にできない、さすがセッションで録られたと思わせられる、丁寧でハイレベルな仕上がりである。アシュケナージと録音スタッフとのコラボレーションの勝利といえよう。 」
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。