クリスマス特集2019:その15「クリスマスの鐘」のお話し [キリスト教と読書]

今年もこのブログに「クリスマス特集」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっていますが、昨年の掲載記事を一部加筆・修正して今年も掲載させていただきます。今日は、その15「クリスマスの鐘」のお話しです。

「昔々、アメリカのある町に、大きな教会がありました。
教会には天にそびえる高い塔があって、立派な鐘(かね)がつるされています。
その鐘には『クリスマスの夜にだけ鳴る』という、不思議な言い伝えがありました。
ところがまだ一度も、この鐘が鳴る音を聞いた人はありませんでした。
クリスマスが近づくと、町の人たちは塔を見あげて話し合います。
「今年こそは、あの鐘の鳴る音が聞けるかなあ?」
「わしは八十年も生きているが、まだ一度も聞いたことがない。なんでも、わしのじいさんが子どもの頃に聞いたそうだが、それは素晴らしい音色だったそうだ」
「どうすれば、あの鐘はなるのだろう?」
「神さまに贈り物をすれば、鳴るという話だよ」

さて、この町のはずれの小さな村に、ペドロという男の子と弟がいました。
ある日、ペドロは弟に言いました。
「クリスマスの教会って、とってもにぎやかなんだってさ」
すると弟は、目を輝かせてせがみました。
「わあ、ぼく、行ってみたいなあ」
「よし、連れて行ってあげるよ」
ペドロは、弟と約束しました。
そして、待ちに待ったクリスマスの前の夜。
ペドロと弟は、しっかりと手をつなぐと町へ向かいました。

町の入り口までいった時、二人は女の人が倒れているのを見つけました。
「どうしたのかな? この人、動かないよ。お兄ちゃん、どうしよう?」
「このままほうっておいたら、凍え死んでしまう。困ったなあ?」
あたりには、誰もいません。
ペドロはポケットから銀貨を取り出すと、弟に差し出しました。
「この銀貨は、神さまへの贈り物だよ。ぼくはこの人を助けるから、一人で行っておいで」
「えっ、ぼく、一人で行くの? お兄ちゃんだって、あんなに行きたがっていたじゃないか」
「いいんだ。さあ、行っておいで」
弟は仕方なく、一人で町の中へ入っていきました。

教会の中は、たくさんの人でにぎわっていました。
どの人も神さまへの立派な贈り物を、得意そうに持っています。
キラキラと、まぶしく光る宝石。
山のような、金貨。
立派な、銀食器。
誰もが素晴らしい贈り物をして、鐘を鳴らそうと考えていました。
けれど、鐘は鳴りません。
「今年こそ、鐘を鳴らしてみせるぞ!」
最後に王様も、命の次に大切にしている金の冠をささげました。
(さすがに、これで鐘が鳴るだろう)
みんなはジッと、耳をかたむけました。
でも高い塔の上は、シーンと静まり返ったままです。
「ああ、なんと、王さまの金の冠でもだめなのか」
「きっとあの鐘は、永久に鳴らない鐘なんだ」
「そうだ。そうに違いない」
人々があきらめて帰りかけた、その時です。

♪カローン、コローン、カローン、コローン・・・・・・。
突然、塔から美しい鐘の音が響いてきたではありませんか。
「あっ!鳴った。とうとう鳴ったぞ!」
「なんて、美しい音色なんだ」
「それにしても、鐘を鳴らすほどの贈り物をしたのは、いったい誰だろう?」
王様をはじめ、人々はいっせいに振り返りました。
するとそこにはペドロの弟が、はずかしそうに立っていました。
「ぼく、お兄ちゃんから預かった銀貨を一枚、神さまにささげただけだよ」
弟は、そう言ったあと、
お兄ちゃんの助けてあげたあの女の人は、きっと大丈夫だろうな
と、思いました。
素晴らしい贈り物というのは、高価だからよいのではありません。
大した物ではなくても、贈る人の心がこもっていればよいのです。
メリークリスマス」
う~ん!アメリカには王様はいないのですが………。
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