クリスマス特集2019:その6「きよしこの夜」のお話し [キリスト教関係事項・用語等]

今年もこのブログに「クリスマス特集」を掲載する季節になりました。数年前からこの時期の恒例となっていますが、昨年の掲載記事を一部加筆・修正して今年も掲載させていただきます。今日は、その6「きよしこの夜」のお話しです。

数あるクリスマス・キャロルの中で、おそらく世界中で最も知られているのは、「きよしこの夜(サイレント・ナイト)」ではないでしょうか。クリスマス・キャロルにして聖歌であり賛美歌です。約300ヵ国語に訳され、カトリック教会、プロテスタント教会の別なく歌われています。キリスト教徒でなくても、この世の中に生きている限り、この曲に触れたことのない人はまずいないでしょうね。1818年12月25日に、オーストリアのオーベルンドルフ
の聖ニコラウス教会で初演されました。
昨年(2018年)11月27日の日本経済新聞に「きよしこの夜 生誕200年」という記事が掲載されていましたのでご紹介いたします。(ブログ掲載文献「日本経済新聞2018年11月27朝刊」から)
きよしこの夜2.jpg
「きよしこの夜」の原譜です。
きよしこの夜.jpg
写真は、新しい聖ニコラ教会にある2人の記念像です。下がモーア神父様、発掘された頭骨からイメージされたと言われています。上のグルーバーは肖像画をベースに作られたそうです。おしゃれな記念像ですね。
記念像.jpg
実は、この歌の誕生にはある物語があったのです。1818年のクリスマスが近づいたある日、オーストリア、ザルツブルグ近郊の村オーベルンドルフでのことです。この村には、聖ニコラウス教会がありました。クリスマスの準備がすっかり整った教会に、オルガン奏者が練習にやって来ました。しかし、ちっとも音がでません。ネズミがこの古いオルガンの“ふいご”をかじってしまって穴をあけてしまい、音を出すための空気を送れなくなっていたのです。これでは無理ですね。
オルガンが壊れてしまっては、とにかくクリスマス・キャロルは歌えませんね。そこで主任司祭(神父様)に訳を話すと、ジョゼフ・モールという神父様は、しばらく考えて、クリスマスの短い詩を書きました。それから、友だちでオルガニストのフランツ・クサーヴェー・グルーバーに、ギターの演奏で歌えるクリスマス・キャロルの作曲を頼みました。そして、クリスマス・イブの夜半のミサの最後に、ギターの演奏で作曲された美しい歌が歌われました。これが、現在世界中で歌われている「きよしこの夜」なのです。元はギターの伴奏なのですね。
それから、【聖歌】と【賛美歌】の違いですが、同じ「きよしこの夜」でも、カトリック教会は”聖歌(せいか)”、プロテスタント教会は”賛美歌(さんびか)”となり、曲(音符)は同じでも歌詞が違いますね。ちなみに、3年前に亡くなった私の父(享年88歳)は、数あるクリスマス・キャロルの中でも、この「きよしこの夜」だけは終わりまで歌えました!

【ふいご】
金属やガラスなどの精錬、加工用に使う簡単な送風装置のこと。空気ポンプの一種で、小さな手風琴型ふいごは手工業用、実験室用のほか、ビニルプールの空気入れなどに使われています。古語では「ふきかわ」(吹皮)とよぶように、元々は皮袋を意味し、タヌキやシカの皮がおもに使われていました。紀元前1500年ごろのエジプト王の墓標にもすでに皮袋型のふいごが刻まれているそうです。
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