「聖タルチシオ助祭殉教者」のお話し [聖人・福者・尊者]

今日8月15日は、「聖母の被昇天」の祭日ですが、「聖タルチシオ助祭殉教者」の記念日でもあります。聖タルチシオ(タルチジオ、タルチシウス)は、3世紀のカトリック教会の殉教者です。カトリック教会での霊名日は8月15日(聖母の被昇天と同日)です。
◯アレクサンドル・ファルギエール作の「聖タルチシオの殉教(1868年)」です。胸にご聖体を抱いている姿です。フランスのパリ市にあるオルセー美術館に収蔵されています。
聖アルチシオ.jpg
聖タルチシオは、「聖体の奉仕者」です。ローマ帝国の治世下では、キリスト教は弾圧され迫害されていたため、キリスト教の信仰を持った人たちはカタコンベ(地下墓地)などで密かに集まり、祈りを捧げて信仰を守っていました。その祈りで重要になるのは司祭によって聖別されたご聖体であり、ミサを捧げるのに必要なものでした。聖タルチシオは、この聖体を運ぶ役割を司祭から受け、密かに信者のもとへ運び届けていたのですが、ある日聖体を運んでいる途中に見つかってしまい、石で打ち殺されて殉教しました。石で打たれる最中も聖体を胸に抱いて守り続け、決して奪わせなかったということです。そのため、肖像画や彫刻は、胸にご聖体を抱いているようなポーズが多いですね。ご聖体がアトリビュートになっています。少年であったと言われたほか、聖体を運んでいる最中に殉教したため、侍者の守護聖人として知られますが、助祭としての役割を担っていたそうです。
ちなみに、カトリック東京大司教区の菊地功大司教の洗礼名は、この聖タルチシオです。

【アトリビュート】
西洋絵画、特に宗教画(キリスト教絵画)には、「アトリビュート(=持物:じぶつ)」というものがあります。これは、絵を描く時の“約束事”として、特定の人物(聖人など)に密接に結びつけられたもの、例えば花、動物、小物、道具や背景などが画かれるのです。
例えば、聖母マリア様ですと、必ず画かれているのが純潔の象徴である「百合の花」ですね。「受胎告知」の絵で、大天使ガブリエルが百合の花を持っています。そして、天の真実を意味する「青色(濃紺色)のマント」です。「祈りの聖母」と「悲しみの聖母」の絵もそうですね。他にも、「12の星の冠」や足の下に「三日月」と「蛇」が画かれています。聖母マリア様の絵を見るときはよく観察しましょうね。
他にも、聖母マリアの夫である聖ヨセフは、大工であったことから大工道具がアトリビュートになっていますし、聖アガタは、乳房を切り取られたことから、乳房がアトリビュートになっています。旧約聖書の「トビト記」に出てくるトビアスを描いた絵は、必ず魚が画かれています。(「トビト記」を読めばわかります。)
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