新約聖書:マタイによる福音書・第12章・第31〜第32節 [聖書]

◯新約聖書:マタイによる福音書・第12章・第31〜第32節
「だから、言っておく。人が犯す罪や冒涜は、どんなものでも赦される。しかし、霊に対する冒涜は赦されない。また、人の子に言い逆らう者は赦される。しかし、聖霊に言い逆らう者は、この世でも来るべき世でも赦されることはない。」
『聖書協会共同訳聖書』から

◯新約聖書:マルコによる福音書・第3章・第28~第30節
「よく言っておく。人の子らが犯す罪やどんな冒涜の言葉も、すべて赦される。しかし、聖霊を冒涜する者は永遠に赦されず、永遠の罪に定められる。イエスがこう言われたのは、「彼は汚れた霊に取りつかれている」と人々が言っていたからである。」
『聖書協会共同訳聖書』から

◯新約聖書:ルカによる福音書・第12章・第10節
「人の子の悪口を言う者は皆赦される。しかし、聖霊を冒涜する者は赦されない。」
『聖書協会共同訳聖書』から

今日は、聖霊に関係するお話しです。
マタイによる福音書の他に、マルコによる福音書及びルカによる福音書の共観福音書(きょうかんふくいんしょ)に共通する「聖霊に対する冒涜は許されない。」という趣旨の聖句は、イエス・キリストの根本的に重要な教えです。正統なキリスト教の教えでは「父である神、子であるイエス・キリスト、父である神と子であるイエス・キリストから出る聖霊」が、キリスト教でいう神様のことです。これを「三位一体(さんみいったい)の神」と言います。つまり3つの位各(ペルソナ)が一体となって一つの神様であるということです。これはキリスト教の根本教義です。

【共観福音書】
共観福音書は、新約聖書の四つの福音書のうち、ヨハネによる福音書を除くマタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書のことを指します。この3つの福音書は、共通する記述が多く同じような表現がみられるため、聖書学の研究の結果、本文を相互に比較した聖句(聖書中の言葉など)を一覧にした共観表(シノプシス)が作られたことから共観福音書と呼ぶようになりました。
【三位一体】
三位一体とは、キリスト教で重視される教義の一つです。 三位(さんみ)とは、父である神と子であるイエス・キリストと聖霊のことです。 すなわち、父なる神、そこから生まれ出た御子のイエス・キリスト、さらに、父や御子から出た者や御子を通して信者に注がれた霊などを意味する聖霊のことです。 これらは互いに区別された位格ですが、本質的には一つの神であるとするものです。

この聖句(イエス・キリストの言葉)で、「人の子」とあるのはイエス・キリストのことです。つまり、人の子としてこの世に来られた、イエス・キリストの働きの根源は、まさに聖霊の力そのものです。これをサタン(悪魔・悪霊)のせいにすることは、根本的に神を否定することになります。悪霊に支配された人の心を解放し、悔い改めに至らせる聖霊を拒否することは、とりもなおさず、永遠に神から引き離されることになるということを意味するのです。特に、このことを知っていながら聖霊の働きを拒否し、悪霊とすりかえようとする新約聖書に登場する律法学者やファリサイ派の人たちは、イエス・キリストの最も唾棄(だき)すべき存在だったのです。

ちなみに、「三位一体の神」の教義を否定する立場をとっている「ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)」、「末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)」や「世界平和統一家庭連合(旧名称:世界基督教統一神霊教会)」は、キリスト教を名乗っていますが、これらの団体は宗教団体であってもキリスト教の教派ではありません。要は、正統なキリスト教を信仰している団体ではないということです。日本ではカトリック教会(ローマ教皇を中心とする教派)をはじめ、日本ハリスト正教会(ロシア正教会をルーツとする教派)、日本聖公会(イングランド国教会をルーツとする教派)やプロテスタント教会諸派(日本基督教団など)の正統なキリスト教会は、これらの団体をキリスト教ではない宗教団体としています。

【ファリサイ派】
ファリサイ派とは、ユダヤ教の指導者の一派で、昔から伝わる律法を厳格に守り、細部に至るまで忠実に実行することによって神の正義の実現を追求していますが、その結果、形式主義に陥り、人間が作った掟を大切にして神の教えをないがしろにしている人達のことです。偽善者ですね。新約聖書に登場する律法学者や祭司長なども同類の人達です。この人たちは、イエス・キリストが悪霊に取り憑かれた人々から悪霊を追い出したり、病気を治癒したり、死人を生き返らたりする奇跡的な行為を信じず、悪霊の頭であるベレゼブルの力を借りて、このような行為をしていると非難したため、イエス・キリストは、霊を冒涜する者は赦されないと述べているのです。
【唾棄】〔つばを吐き捨てる意〕
けがらわしいとして嫌い、軽蔑したりすること。「-すべき男」
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