「聖十字架発見」のお話し [キリスト教関係事項・用語等]

今日5月4日は、「聖十字架発見」の記念日です。なお、現在は教会暦・典礼暦にはありません。
312年の「ミラノ勅令」で、信教の自由を保証したローマ帝国のコンスタンティヌス大帝(皇帝)の母親である聖ヘレナ皇后は、熱心なキリスト教の信徒でした。皇后は、イエス・キリストが釘付けられた十字架を一目見たいという望みにかられ、イエス・キリストが磔刑(たっけい:十字架の刑)になった場所であるエルサレムのゴルゴダの丘を発掘させ、3つの十字架を見つけました。その中の一つに触れると病気が治ったりするなど、数々の奇跡が起こりましたから、その十字架こそがイエス・キリストが磔(はりつけ)られた聖十字架であるということが確証されたそうです。コンスタンティヌス大帝は、イエス・キリストが十字架に付けられた場所と復活された場所に、キリストの死と復活を記念する十字架聖堂と復活聖堂を建てました。

◯次の絵は、ピエロ・デラ・フランチェスカ(イタリア・フィレンツェ:1412年〜1492年)作の『聖十字架伝説:十字架の発見と検証』です。イタリアルネサンス期の画家で、有名なボッティチェッリなどより一世代前の、イタリア初期ルネサンスを代表する画家です。遠近法や数学に造詣が深く、『絵画の遠近法』などの著作も残しています。
この絵は、左右2枚になっています。左側の絵は、ゴルゴタの丘で十字架を発掘している情景を描いています。右側の絵は、イエス・キリストが磔刑された十字架かどうか調べるために、遺体の上にかざしたら死者が生き返ったところを描いています。
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◯この聖十字架の発見は、ヤコブス・デ・ウォラギネ(イタリア:1230年?〜1298年)の著作である『黄金伝説』の第64章にあります。ヤコブスは、中世イタリアの年代記作者でジェノヴァの第8代大司教です。ヨーロッパで最も広く読まれたキリスト教の聖者・殉教者たちの列伝である『黄金伝説』の作者として後世に名を残しました。洗礼を受ける前の洗礼志願者の時に読みました。古代キリスト教時代からの話しですから、今となっては真偽のわからない話しもありますが、とても興味を引く内容で毎日楽しみにして読みました。
写真の『黄金伝説』4巻は、1979年に京都市にある人文書院から初版されたものです。神田・神保町にあったキリスト教専門古書店の友愛書房で購入しました。現在は廃業して閉店しました。
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