小説『クオ・ワディス』と映画『クオ・ヴァディス』のご紹介! [キリスト教と読書]

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写真は、2016年に読んだ岩波文庫の『クオ・ワディス(上中下の3巻)』と2017年に購入したワーナー・ホーム・ビデオから発売された『クオ・ヴァディス』DVD(2枚組)です。
正式には『クォ・ヴァディス: ネロの時代の物語(Quo Vadis: Powieść z czasów Nerona)』というそうです。ポーランドのノーベル文学賞作家ヘンリク・シェンキェヴィチによる、西暦1世紀のローマ帝国を舞台とした歴史小説です。一般には単に『クォ・ヴァディス』として知られていますが、「クォ・ヴァディス」とはラテン語で「(あなたは)どこに行くのですか?」を意味し、これに「ドミヌ(主よ)」を最後につけて、小説の主題となる「主よ、どこに行かれるのですか?」となりす。新約聖書の『ヨハネによる福音書』13章36節の引用です。

この小説は、ローマ帝国時代における暴君として悪名高い皇帝ネロ治世下のローマを舞台として、若いキリスト教徒の娘リギアと、ローマの軍人マルクス・ウィニキウスの恋愛を生き生きと描写し、当時のローマ帝国の上流階級に見られた堕落して享楽にふけった生活や社会、キリスト教徒への残虐な迫害の様子を描いています。作者のシェンキェヴィチは、この作品を執筆するのに当たって、ローマ帝国の歴史について徹底的に研究し、ネロ皇帝時代に実在した人物や史実を創作と絡めながら、読み応えのある素晴らしい小説に仕上げています。

◯「Quo Vadis 」の意味
この言葉は、登場人物でイエス・キリストの12使徒(12人の弟子)の一人だった聖ペトロの運命を決めたばかりでなく、その後のキリスト教の苦難と栄光の歴史を象徴するものとして作中のクライマックスで用いられています。
当時のローマ帝国におけるキリスト教徒への迫害は、日を追うごとに激しくなり、虐殺を恐れた者たちが国外へ脱出する事も当たり前になっていました。ペトロは最後までローマに留まるつもりでいましたが、周囲の人々の強い要請により、渋々ながらローマを離れるのに同意しました。夜中に出発してアッピア街道を歩いていたペトロは、夜明けの光の中に、こちらに来るイエス・キリストを目にします。エルサレムで十字架の磔刑で死に、3日目に復活されて天に昇られたはずのイエス・キリストの姿を見るのです。
ペトロは驚き、ひざまずいて尋ねました。
Quo vadis, Domine? 「主よ、どこに行かれるのですか?」
キリストは言います。
「そなたが私の民(ローマにいるキリスト教徒)を見捨てるのなら、私はローマに行って今一度十字架にかかるであろう。」
ペトロはしばらく気を失っていましたが、すでにキリストの姿はありません。起き上がると迷うことなく元来た道を引き返しました。そしてローマで迫害されているキリスト教徒を励まし、ついには捕らえられ、十字架(逆さ十字架の磔刑)にかけられて殉教しました。ペトロは死にましたが、それはキリスト教の発展の契機となり、彼はキリスト教カトリック教会において初代のローマ教皇とされています。
なお、クォ・ヴァディスの物語とペトロの逆さ十字架の磔刑の物語は、新約聖書正典として一応の確定を見た西暦397年の第3回カルタゴ教会会議で、正典から外された外典福音書である『ペトロ行伝』から採られています。また、この小説は1951年にロバート・テイラー主演で映画化(カラー)され、現在はワーナー・ホーム・ビデオからDVD(2枚組)が発売されています。約3時間ほどの長編スペクタクルです( ̄▽ ̄;)
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