「洗礼」のお話し [キリスト教関係事項・用語等]

◯キリスト教における「洗礼」の根拠は、次の新約聖書の福音書に記載がある2つです。
<根拠その1>
「イエス・キリストが、ヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受けられたこと。」
マタイによる福音書:第3章・第13~第17節
マルコによる福音書:第1章・第9~第11節
ルカによる福音書:第3章・第21~第22節
ヨハネによる福音書:第1章・第30~第34節
<根拠その2>
「イエス・キリストが、復活後に使徒たちに「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊のみ名によって洗礼(バプテスマ)を授けなさい。」と使命を与えたこと。」
マタイによる福音書:第28章・第16~第20節
マルコによる福音書:第16章・第14~第16節

◯キリスト教における「洗礼」を受ける意味は、次の2つです。
<意味その1>
「原罪とそれまでの自罪が赦されること、今まで生きてきたすべての罪の赦しです。」
<意味その2>
「キリスト者(クリスチャン)になって、神の子として生きるということです。」
注釈ですが、この「神の子として生きる」は、まず①唯一の神を信じること。そして②福音を述べ伝えること。注意!勧誘することではありません!③隣人を自分のように愛すること。④善き行いをすること。⑤人を赦すことです。

さて、宗教団体というと、無理をしてでも信者を増やそうと、しつこく勧誘して信者にし、お金を集めるものだというイメージが一般的になっているようですが、キリスト教カトリック教会は違います。カトリック教会に行ったからといって、いきなり入信を迫られたりすることはまったくありません。むしろ、今すぐ入信したい(洗礼を受けたい)と言っても、「幼児洗礼か、病気で死が目前に迫っていて時間がないというような、特別な事情がない限りすぐに入信はできません。入門講座を受講して勉強をしてからです。まぁ、1年はかかりますね。」と司祭(神父様)に言われるのが落ちですね。

それから、カトリック教会の信徒は、亡くなってから仏式(仏教)のお墓にはいることが許されていますし、神社仏閣に参拝することも許されています。キリスト教の唯一の神様である三位一体の神様を信じて信仰していれば大丈夫なのです。これを”いい加減”という人がいますが、カトリック教会は神様と同じで昔から寛容なのです。それから、カトリック教会の信徒は、日本国中、世界中のどこのカトリック教会でも同じ司式のミサに与ることができます。ただし、言語は違いますよ。

そこで、クリスチャンになる(洗礼を受ける)までの流れは、だいたい次のようになります。
1.キリスト教カトリックの信徒(クリスチャン)になりたいと思ったら、まず自分の住んでいる近くのカトリック教会に行き、その教会の主任司祭(神父様)又は知っているカトリックの信徒の方に相談します。結果、教会の様子を見てみようと興味があれば見学することです。ミサにも出席することが(与ることが)できます。その場合、ご聖体(イエス・キリストの体=ホスチア:丸い小さなウェハースのようなもの)を拝領することはできませんが、神父様から祝福してもらえます。

2.神父様の許可を得れば、入門講座(キリスト教全般・聖書の勉強)に出席することになります。もちろん無料です。教会によって違いがありますが、週1回(だいたい土曜日か平日の夜)、だいたい1回60分~90分で、全部で15回~20回くらいです。全てに出席する人は稀で、仕事の関係で2/3や半分くらいしか出席できない人も案外いますね。それでも神父様が「この方は洗礼を受けても大丈夫」と判断すれば洗礼は受けれます。できなかった勉強は、洗礼を受けてからで大丈夫!

3.ここから入信式の段階に入っていきます。まず入門式があります。ここから洗礼志願式まで求道期となり、「求道者(ぐとうしゃ)」と呼ばれたりします。

4.入門講座期間の終わり頃に、洗礼を受けたいと思ったら神父様に相談します。だいたい神父様から「洗礼をうけますか?」と聴かれます。そうしたら、神父様と面談して、洗礼を受けるかどうか決めます。この段階で、「やめます。」と言って洗礼を受けない人が出てきますが、神父様は引き留めません。まぁ、少々寂しいことですが、誰も引き留めたりしないですね( ̄▽ ̄;)

5.洗礼を受けるとなると洗礼志願式があります。

6.洗礼名を考えて神父さんと相談します。だいたい「12使徒(ペトロ、パウロ、ヤコブ、ヨハネなど)」、「聖人(「聖人事典」なるものがあります!)」、「天使(四大天使のミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル)など」又は「聖書(イサク、ダビデ)など」から選ぶということになります。女性は、なんといっても一番はマリアですね。後はセシリア、テレジア、ベルナデッタなど。複数の洗礼名をつけたりもします。例えば聖母マリア様に、聖クララ・聖アナスタシアの2聖人を洗礼名にしたい場合、福島安子さんでしたら、マリア・クララ・アナスタシア福島安子となります。また、男性名のパウロを女性名に変化させてパウラにしたりします。私の洗礼名は、「アウグスティヌス」です。キリスト教の教義の基礎を築いた偉大な聖人で、四大教父の一人です。教会博士の称号を与えられています。

7.入信式(洗礼式)
だいたい「復活祭(「イースター」:年によって日が違いますが、だいたい3月末から4月上旬です)」の前日にある“復活徹夜祭”で行われます。洗礼は、基本的には1年間をとおして受けることができます。
①洗礼式の中で、信仰宣言の前に受洗者(洗礼を授けられる人)は、神父様から3つの質問を受けます。
まず一つ目は、「あなたは、神の子として自由に生きるために罪のわざを退けますか。」
二つ目は、「罪に支配されることがないように、悪を退けますか。」
三つ目は、「神に反するすべてのものを退けますか。」
上記の3つに、すべて「退けます。」と答えることによって、罪の赦しの前提となる「悪霊の拒否」が行われます。
②続いて、神父様から信仰宣言として3つの質問を受けます。
まず一つ目は、「あなたは、天地の創造主、全能の神である父を信じますか。」
二つ目は、「父のひとり子、おとめマリアから生まれ、苦しみを受けて葬られ、死者のうちから復活して、父の右におられる主イエス・キリストを信じますか。」
三つ目は、「聖霊を信じ、聖なる普遍の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、からだの復活、永遠のいのちを信じますか。」
上記の3つに、すべて「信じます。」と答えることによって、受洗者は信仰宣言をすることになるのです。
③そして、神父様が「◯◯さん、父と、子と、聖霊のみ名によって、あなたに洗礼を授けます。」と言いながら、3度、洗礼用に聖別された聖水を頭に注ぎます。これで洗礼を受けたことになります。おめでとうございます!となります。この後で、女性は白いベールを頭にかけてもらいます。

9.洗礼式に引き続いて堅信式(けんしんしき)を受けて、使徒行伝(第2章)に出てくる聖霊降臨の出来事と同じように、はっきりした形で聖霊が受堅者に下ると言われています。洗礼においても聖霊の恵みは完全に与えられますが、堅信においてはその恵みがよりはっきりした形を伴って確認されます。そのことを、「洗礼の恵みの完成」と表現することもあります。神父様が額に油(聖別したオリーブオイル)で十字の印をつけます。

入信式で洗礼を授けられ、教会に籍を置くことになります。入門講座に出席し始めてから洗礼を受けるまで、人によって違いがありますが、通常は1年~1年半のようです。でも、数年間入門講座に通っても洗礼を受けない人もいますね。だからといって別に責められたりもしません。「神の存在は信じていないが生き方を学びたい。」という人もいれば、「洗礼は受けたいけれど、いまひとつ神の存在を信じられない。」という人もいます。私の友人に、入門講座を途中まで受講し、それから8年も洗礼を受けずに毎週教会に来てミサに与る人がいました。洗礼は人に強要されるものではないので、本人が受けたいというまでは受けられません。やはりこれは神様の“招き”ですね。
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