「聖母子(ピエタ)」と「聖家族」のお話し [キリスト教関係事項・用語等]

今日12月27日は、「聖家族」の祝日です。このブログの2019年12月29日に掲載した記事を再掲載いたします。
ミケランジェロ作の「ピエタ」像です。
ピエタ像.jpg
ラファエロ作の「子羊の聖家族」てす。
聖家族.jpg
「聖母子」とは、子であるイエス・キリストと母マリア(聖母マリア)のことです。たくさんある「聖母子像」の一種で、特に有名なのが「ピエタ像」です。「ピエタ」とは、イタリア語(Pietà)で哀れみ・慈悲などの意味のことです。「ピエタ像」は、磔刑に処されたのちに十字架から降ろされたイエス・キリストと、その亡骸を腕に抱く母マリア(聖母マリア)をモチーフとする宗教画や彫刻作品のことを指します。この作品は大理石などで製作されています。

多くの芸術家がピエタ像を製作していますが、ミケランジェロが1499年に完成させた、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂にあるものが最も有名ですね(写真上)。この作品は、ミケランジェロが署名を入れた唯一の作品として知られていますが、実は、ミケランジェロはピエタ像を4体製作しているのです。だたし、サンピエトロ大聖堂のピエタ像以外の3つは未完成作品なのだそうです。他にティツィアーノ、ドラクロワなどが製作したピエタ像が有名です。

この作品ですが、よく見ると聖母マリアが非常に若々しく表現されています。これは、さまざまな解釈がなされていますが、ミケランジェロ自身が彼の伝記作家であり彫刻家仲間でもあったアスカニオ・コンディヴィに語ったところによると、マリアの若さは彼女の不滅の純潔を象徴しているのだということだそうです。
ミケランジェロが言うのには、「純潔な女性がそうでない女性よりも瑞々しいままでありつづけるということを君は知らないのか?いわんやマリアにおいてもだ。彼女は肉体を衰えさせるような劣情を一度も抱いたことがないのだからな。」ということです。他にもいろいろと解釈はありますが、ミケランジェロ自身は6歳のときに母親をなくし、その後里子に出されていますので、亡き母親を思い描いて聖母に投影したという見方もありますね。

カトリック教会では、乙女マリアが、原罪なくイエス・キリストを懐妊したという教義(聖母の無原罪の御宿り)があります。したがって聖母マリアは死を免れることになるため、カトリック圏で描かれる聖母マリアはほとんどすべて若い女性の姿であり、年老いた聖母の図像は皆無です。なぜなら、老いは死の前兆であるので、「死を免れた聖母マリアは老いることもない。」ということになるからです。ピエタの聖母が、処刑当時、30歳前後と推定されるイエスの母としては、若すぎる表現になる背景には、このような神学的観念も影響していたのですね。

カトリック教会の神学的観念といえば、子であるイエス・キリスト、母マリア(聖母マリア)と父ヨセフの3人を「聖家族」と言いますが、この3人を描いた絵画(写真下)も反対の意味で同じようなことが言えます。妻であるマリアは、夫ヨセフと性行為によってではなく、天からの聖霊によってイエス・キリストを宿したのですから、ヨセフをマリアのように若く画かず、年老いて性行為ができなくなった老人風に画いています。多くの「聖家族」は、よく見るとヨセフは老人となっています。妻であるマリアと親子みたいで違和感がありますね。
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