「聖アガタ」のお話し&キリスト教と美術 [聖人・福者・尊者]

聖アガタ.JPG

聖アガタ(又は「シチリアのアガタ」)はキリスト教の聖女です。カトリック教会・正教会・非カルケドン派で聖人となっています。イタリアのシチリア島・カターニアの裕福な貴族の家庭に生まれ、250年頃に殉教したとされています。15歳の時にはすでに神に身をささげ、信者として生きる決意を固めてました。正教会では「聖致命女アガフィヤ」です。

そのような美しい娘アガタと彼女の財産に目をつけた当時シチリアでも支配力を持っていたローマ総督は彼女にプロポーズします。しかし、彼女はカトリックの信徒として純潔な身でありたいという意思を貫き、申し出を頑なに拒んだため、総督の権力により迫害を受けることになります。牢屋に入れられ暴力を受け、最後には乳房を切り落とされます。

彼女は、それでも祈り続けることをやめず、奇跡的に乳房は完治します。ところが、更に総督の反感を買った彼女は火あぶりの刑にされることになりました。火あぶりにされた際に彼女を包んでいた赤いヴェールだけは、奇跡的に無傷のまま残っていたそうです。この赤いヴェールは、その後、彼女の聖遺品として現在も大切に保存されているそうです。

現在、カターニアの守護聖人、カトリック教会のミサの中で名前が読み上げられる七人の女性の一人(「聖母マリア」は除く)となっています。また、両方の乳房を切り落とされ、そのために彼女は切り落とされた乳房を皿の上に乗せて持つ姿で描かれることが多いのです。(写真:フランシスコ・エ・スルバラン作)聖アガタの絵はたくさんありますが、胸に布を当て出る血を押さえる絵や自分の乳房をお盆にのせているという、すごく猟奇的な絵になってますね。(汗) 

彼女が捧げ持つ乳房の形との関連から、聖アガタは鐘職人やパン屋の守護聖人とされているのですが、近代に入ると、乳房と言うことで乳癌患者の守護聖人ともされていますね。また、1551年にオスマン帝国がマルタ島に侵攻したときは、人々はアガタにとりなしを祈りました。結果的にマルタ島は守られたため、彼女はマルタの守護聖人となっています。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0